December 2006
December 31, 2006
2006年終了/今年もお世話になりました。

画像はNASA作成の惑星図です。
地球のなんと小さいことでしょう。
そして、宇宙のなんと広大なことでしょう。
近代文明は人口爆発と環境破壊と加速させました。地球は大きなターニング・ポイントを通過してしまったようです。2006年、小さい羽虫のような私は、耳障りな雑音をネットに刻みました。
“人が人として、幸せな未来を刻むために、何は必要なのか?”
“どこで悩むべきか?”
考えなけらばならない大切なことがたくさんあります。
◆◆◆
来年も、小さい羽虫は、サブ・カルチャーの中に点在する“悩むべきこと=ハテナ?”を書き綴っていきたいと思います。至らぬことも多いブログ管理人ですが、これからもよろしくお願いいたします。
良いお年を!
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December 29, 2006
一万三千余りの英霊の最後と、未来への課題/『硫黄島からの手紙』

●硫黄島からの手紙●
●監督;クリント・イーストウッド
●出演;渡辺謙/二宮和也/伊原剛志/加藤亮/裕木奈江/中村獅童 他
『父親たちの星条旗』を見逃してしまい、本作『硫黄島からの手紙』は封切すぐに鑑賞。悲惨な戦渦を見て、なかなか感想が書けなかった。
●あらすじ
2006年、硫黄島。日本から調査員が派遣される。ここは大平洋戦争末期の激戦地だった。戦争遺跡を調査する中、人工洞窟の床から、麻袋に入れられた数百通の手紙が発見される。それは、この島で戦死した兵士の家族への最後の手紙だった。
西郷はパン屋だったが、徴兵され、この島に送られた。マラリアの流行する中、日課は砂浜の塹壕掘り、つい愚痴ばかりこぼれる。「こんな島、アメ公にくれればいい」、その愚痴を士官に聞かれ、殴られる羽目に陥る。ヒステリックに棒を振り上げる上官、そこに声が掛かる。「君は大切な兵士二人を失ってもなお、上回る戦力が自分にあると思っているのかね?」。その声は、優しく、凛として威厳があった。声の主は栗林忠道中将、時は1944年6月、着任したばかりの総司令官だった。
栗林中将はアメリカで暮らしたこと(米留学、その後カナダ勤務)もあり、知性に優れた司令官だった。彼の着任前の硫黄島防衛は、海岸線の防衛だった。蒸し暑い炎天下、すぐに崩れる砂場、毎日の塹壕掘りが兵士達には苦役に過ぎない。島を歩いた栗林中将の作戦は、山での防御。兵士達の作業は硫黄島北部の擂鉢山でのトンネル掘りに変更される。旧来の将校達は、栗林中将の行動を苦々しく思う。
ロサンゼルスオリンピックで金メダル(乗馬)を獲得したバロン(男爵)西が、硫黄島に愛馬とともに着任する。ともにアメリカ文化を知る西中佐と栗林中将は、ウイスキーを飲み、ひとときの憩いを持つことが出来た。しかし、島にアメリカ軍の空爆が始る。西中佐の愛馬ジュピターも犠牲になってしまう。
硫黄島には、わずかな島民がいた。開戦当初は優位にいた日本軍だったが、1942年のミッドウェイ海戦の敗北以来、戦局は一転、日本軍の前線は大平洋をどんどん北上する。退路も絶たれ、補給の少なくなる中、栗林中将は島民の全員離島を命じる。戦局悪化の中、大本営は硫黄島を見捨てた。
1945年2月19日、アメリカ艦隊が海を埋め尽くし、米兵の硫黄島上陸が開始される。アメリカ軍は「5日でこの島を陥落できる」と予想していた。しかし、栗林中将の作戦下、日本軍は補給も援軍も無い中、39日間の死闘を繰り広げるのだった。西郷たちは、絶望した仲間の自決を目前にしつつも、栗林中将の命令「一日でも長く、本土の子供達が安らかな夜を迎えることの出来ること」を心に、戦い続ける。>>> 感動は劇場で!!

常々、戦争映画は悲惨なので「見たくない」と思っている。だが、見ると一生懸命になる、考え込む。この悲惨なくして「今の日本=世界はないのだ」と強く感じるからだ。
『硫黄島からの手紙』は、二等兵西郷から見た硫黄島と、栗林中将の見た硫黄島、司令官と一兵卒、2つの視点で描かれる。西郷は「絶対に生きて、故郷で待つ妻子に会う」と必死に生き抜き、栗林中将は、本土の多くの子供達を守るために、死を覚悟して戦う。色彩を画像加工で抑え、カラーでありながらモノトーンのような画面からは、日本軍の敗色、救いようにない現実がひしひし伝わる。しかし、映画の中を漂う空気感は、他の日本軍戦記にはない、ドライで爽やかな風が吹いているのだ。それは、アメリカを知るインテリジェンスのある栗林中将と、バロン西の存在、妻子の幸せを一番に考えることの出来る西郷の存在にあると思う。
◆◆◆
実際の栗林中将が家族に残した多くの絵や手紙が存在する。彼の生涯は紹介され、この映画へと繋がる。この近代性を持った軍の司令官を、アメリカ人のクリント・イーストウッド監督が描く。感謝の気持ちを感じながら、日本映画人が見逃していたことに大きなため息をついてしまう。しかし、感傷的で戦争賛美になりがちな日本映画ではなく、敵国だったアメリカの監督が、硫黄島の最後を描いてくれたのは、本当に良かったとも思う。加えて、イーストウッド監督で良かった。彼の卓抜した手腕は、戦争によって、失われる優れた感性、優しさ、人間らしさ、個人が狂った国家に埋没し、犠牲になる真実が明確に描かれる。
西郷二等兵と行動をともにする元憲兵出身の清水(懲罰で士官から二等兵)、死ぬこと、殺すことに執着する伊藤中尉、それぞれがそれぞれの硫黄島玉砕を経験する。この玉砕と云う美名の何と惨いことだろう。「死んで神様になる」と云われようが、敵の弾丸を受け、血肉が飛び散り、手足が吹き飛ぶ惨劇…。この悲惨さに心が凍る。過度の悲惨を避けるために、イーストウッド監督は赤を抑えた色調を採用している。しかし二万に近い将兵が犠牲になった硫黄島の地獄を、映画は十二分に描いた。監督がインタビューで答えているが、「硫黄島はスピリチュアルなものが溢れている」。画面からも、この島で今の故郷に帰ることの出来なかった兵士の無念が伝わるようだった。
◆◆◆
山に隠れる日本軍を、アメリカ兵は狭い銃眼から火炎放射器で焼き払う。火だるまになり、死んでいく日本兵…。圧倒的な軍備、物量の差は、眼をおおうばかりだ。なんで真珠湾を攻撃したのか?なんでアジアを侵略したのか?歴史は戻すことが出来ない、それが心に痛い。硫黄島陥落したとほぼ同時期、B29の大軍は東京に焼夷弾の雨を降らす。多くの無辜の民間人が殺戮される現実!それは戦争犯罪だが、戦勝国にその視点はなかった。
←クリックすると拡大します。第二次世界大戦当時、アメリカ首脳の言葉を紹介する。
「我々は1人のアメリカ兵を救うために、日本人五万人を犠牲にするだろう」
虫けらのように殺される敵対国の一般国民、それはベトナムでもイラクでも同様だった。大平洋戦争で、日本の過ちはたくさんあるが、その1つは、アメリカを世界帝国にする動機づけをしたことかもしれない。イーストウッド監督の目は、アメリカを冷静に観察、そして非難している。この視点は軍事国家アメリカにあって、大いなる反骨!!勇気ある行動だと思う。
◆◆◆
世界は、見えない謀略に操られている。陰謀史観で歴史を見る人たちにとって、アメリカは巨大な悪の枢軸だ。戦争に正義はない!国家と個人は遊離するが、個人の集合が国家である矛盾…。そのことを強く感じるとともに、戦争の中にあっても、素晴らしい個人、個性があったことに感動する。この映画に感傷的な涙は似合わない。未来永劫、戦争に加担しない日本になって欲しいと思うだけだ。
すべての俳優が素晴らしい演技をいている。監督の手腕に脱帽&ブロボー!!
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December 28, 2006
酸っぱい蜜柑、食べ終わるまで/『恋愛寫眞 - Collage of Our Life -』

●恋愛寫眞
- Collage of Our Life -●
●監督;堤幸彦
●脚本; 緒川薫
●出演;広末涼子/松田龍平/
小池栄子/山樹範/西山繭/
高橋一生/原田篤 他
●2003年作品 111 分
「今日は見る映画がないな〜」と思っていたら、TBS系深夜『恋愛写真』が意外に面白くて、感想など…。続きを読む
December 27, 2006
ホラーに隠れる、病院崩壊の危機!!/『感染』佐藤浩市主演

●感染●
●監督/脚本;:落合正幸
●出演;:佐藤浩市/高嶋政伸/星野真里/羽田美智子/南果歩/
佐野史郎/木村多江/モロ師岡
●DATE:日本/東宝 2004/10/02公開
クリスマス気分の残る26日の未明、TBS系で放映。年末のこの時期に、「なんで?」って感じの、興醒め系なホラー映画なのだが、これが、意外や意外、現在、医療が抱える問題を予言していて面白かった。続きを読む
December 26, 2006
「金魚は川に放し、四代で鮒になる」/映画『大奥』仲間由起恵主演

●大奥●
●監督;林徹
●脚本;浅野妙子
●出演;仲間由紀恵/西島秀俊/井川遥/高島礼子/及川光博他
父が「見たい」と嘘を云うので連れて行ったら半分寝ていた(汗)。
12/25の昼過ぎ鑑賞、観客はほぼ年配客ばかり。若い人はやっぱり『NANA2』か『エラゴン』でしょう〜!高崎109シネマズは『王の男』と『パプリカ』の予定がない!!(怒)と、文句を書きながら、ちょっとだけ感想など…。
●あらすじ
七代将軍家継の頃。家継はまだ5才、政治の実権は御用人“間部詮房”にあった。大奥は家継の生母“月光院”と、前将軍の正室“天英院”と側室たち、二つの勢力に分かれ、対立していた。身分の低い出自の月光院は、さまざまな嫌がらせに会っていた。そんな月光院を支えるのは若き総取締“絵島”だった。お茶会の席では、月光院のお茶にはせんぶり(苦)が入れられ、和歌の席では、また嫌味、しかし聡明な絵島は天英院に「本当の教養とは、人の心のわかるやさしさでは」と言い放つ。
月光院は御用人間部詮房と情を通じており、絵島は知っていながら目をつぶっていた。ある日、天英院一派の女中が間部の後髪が乱れているのを見て、月光院と間部の中を勘ぐる。そのことはすぐさま天英院の耳に入る。それが、きっかけに天英院は陰謀を巡らすことになる。一方、月光院は天英院の企みも知らず、縁結びで評判のご神木に「願かけの紙を結ぶ」ように、絵島に頼むのだった。
天英院付き女中“宮路”は、人気歌舞伎役者“生島新五郎”に、「絵島を誘惑する」ように依頼する。報酬は三百両と侍の身分。成功後は「西国に逃げてほしい」と云う。上野寛永寺代参の帰路、絵島とお付き女中一行は山村座の芝居小屋へと足を運ぶ。>>>つづきは劇場でどうぞ!!

長い!125分。TV4回分放映を一気上映って感じだ。TV版の『大奥』も時々見ていたので、TVの延長な雰囲気濃厚。映画で描きたかったのは「何だろう?」と考えると、「仲間由紀恵さんの美貌と、江戸の町民文化?かな」と思ったりした。
『大奥』は春日局が作ったそうだ。男子禁制の巨大ハーレム!幕府の総予算の1/4が、『大奥』の着物や贅沢品に消えたそうで(12CH特番ネタ)、最盛期には、なんと2000人の女性がここで生活していた。下位女中は、生家に帰ることも可能だが、将軍の寵愛を受けた女性は、一生ここで暮らす羽目になる。鉄格子のない牢屋!!インビにして華やか、アジア系の王家にもこんな後宮がある。ペルシャ、インド、中国、日本と、非キリスト教圏には、同じようなハーレムが存在した。(脱線)。
◆◆◆
物語は有名な『絵島生島事件』をもとにしている。実際は絵島(本当は江島)は冤罪の可能性が強い。高遠に幽閉されてから27年も生きているのだから、手厚く遇されていたのだろう。映画では「絵島は町人に出自」だが、実際は甲府藩士の娘。父が早世し、若い頃から奥務めを転々とし、最後は大奥での勤務になる。江戸時代のキャリア・ウーマンって感じかも。映画での生島の刑は重いが、実際はもう少し刑が軽かった。(※事件の発端は芝居見物後、帰城門限が遅れたことだけだった。1500人の関係者が刑を被る。=大奥ガラガラ?)映画の見どころは、CGで作られた江戸の街。(※城内シーンはお馴染みのお寺で撮影されていた)瓦屋根の連なり、お祭りや、明国の親善使節の行列、賑やかで、楽しい。
◆◆◆
人気俳優“西島秀俊さん”が歌舞伎役者生島を演じている。、歌舞伎役者には独特のDNAがある。彼は現代的容貌で、歌舞伎役者に見えなかった。生島が「女形だったら、良かったな〜」とは、個人的な趣味(笑)。
大奥の調度や着物、生活感の描写は、好みが別れるだろう。前半、牡丹の花が咲いているのだが、造花で興醒めする。故杉浦日向子さんが、江戸文化や時代考証を研究されていた。彼女の著作から興味をもち、あれこれ江戸資料を読んだことがある。既婚者のおはぐろや、眉そり、着物の着付け方、町民の普段着の柄のお約束etc.、映画での大奥は、絵空事な世界で、実際はもっとお香と白粉の香のきつく、障子ごしのほの暗い中、精美な調度品に囲まれた、美しくも少し暗い世界だったように思う。仲間由紀恵さんも、高島礼子さんも、井川遥さんも皆、健康的で美しい。大奥の上の方々が、もっと病弱な雰囲気だったように思ったりする。
◆◆◆
金魚が、意味深に使われるのだが、『大奥』は“金魚の世界”ってことなのかな??? 将軍さまが一番賢く!良い子だった!!(彼と同じくらいの)小さい女の子が沢山いる幼稚園みたいな『大奥』だったら良かったな〜。
着物いっぱい!お正月に気楽に見られる娯楽作です。
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December 25, 2006
There Is a Santa Claus/『サンタクロースっているんでしょうか?』

●Yes, Virginia, There Is a Santa Claus●
●著者;Francis Pharcellus Church /Virginia O'Hanlon /
Christine Allison
●挿画;Thomas Nast
●価格; ¥ 1,454 (税込)
●サンタクロースっているんでしょうか?●
●翻訳;中村 妙子
●挿画; 東 逸子
●価格;¥ 840 (税込
昔、クリスマスには本を贈ってもらっていた。ミハエル・エンデの『モモ』や『果てしない物語』、『ベルサイユのばら』の愛蔵版etc. 貰わなければ読まなかったかもしれない本たち。私も本を贈り物に選ぶことが多い。
今年は、自分にこの本をプレゼントすることにした。
●内容
1897年9月21日日付、ニューヨーク・サン新聞の社説。
8才の少女バージニアちゃんの質問に答えたもの。
“Yes, Virginia, There Is a Santa Claus”
はい、バージニア、サンタクロースはいます。
*******************************
『ポーラ・エクスプレス』を見て、アメリカ人の“サンタクロース実在”に対する確信は何処からくるのだろうか?と考えた。書店に入荷したばかりのこの本の中に答えがあった。自分がなんと、汚い大人になっていたのだろう…、と、短い本文のすべてを立ち読みしながら、涙が止まらなくなった。
大きな愛が本書の中にあった。父や母、恋人同士、友人が大切な人にクリスマスプレゼントを贈る。この行為こそ、サンタクロースの実在の証明なのだ。
◆◆◆
今年最後の英会話の授業の時に、英語の先生にクリスマスの焼菓子をプレゼントした。彼は、日本人には出来ないような幸せそうなの笑みを浮かべ、お礼を云ってくれた。その時、私はサンタクロースの存在を感じた。この本は、「信じること」「愛すること」の素晴らしさ、世界には見えないけれど、素晴らしい力が隠れており、優れたファンタジーや創作を通してだけ、その隠された「偉大なもの」を垣間見ることができると書かれてる。
悲しいわけでもなく、感激したわけでもなく、それでも滂沱の涙が流れる時がある。この間の『オーラの泉』でゲストの壇れいさんが、美輪さんを見て泣いていた。それを解説して、美輪さんは、「私の後ろにいるマリア観音を感じて泣けるのよ」と云っていた。本書には、サンタクロースがいる。それを感じるか?感じないかは、また別の話。
“●Yes, There Is a Santa Claus”
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December 24, 2006
メリー・クリスマス!/『ポーラー・エクスプレス』

●ポーラー・エクスプレス
●監督;ロバート・ゼメキス
●出演;トム・ハンクス(ヒーロー・ボーイ/父親/車掌/ホーボー/サンタ)/
ノーナ・ゲイ(ヒーロー・ガール)/ピーター・スコラリ(ロンリー・ボーイ)
エディー・ディーゼン/(知ったかぶりっ子)/
マイケル・ジェター(スモーキー/スチーマー)/
チャールズ・フライシャー(エルフ隊長)
●2004年 アメリカ DVD発売日: 2005/11/25 100 分

クリスマスの夜に絶対見たい作品の1つ。恐ろしいゲームを描いた『 ジュマンジJUMANJI /1995』の原作者クリス・ヴァン・オールズバーグのベストセラー絵本に惚れ込んだトム・ハンクスの企画で作られた。『ジュマンジ』のラスト・シーンもクリスマスだった。本作は、クリスマスイブの夜、零時5分前の物語になっている。
制作費はなんと!$150,000,000 (180億円)!!
●あらすじ
さて、映画『 ポーラー・エクスプレス 』のストーリー。
クリスマス・イブの晩、ベッドでサンタクロースを待つ子供達。だがヒーロー・ボーイはサンタクロースを信じることが出来なかった。まだ無邪気な妹に、サンタクロースを迎える準備を任せ、窓の外を眺めていた。その時、雪の降りしきる道を、汽笛をならし、不思議な蒸気機関車やってきた。家を飛び出し、汽車を見に行くヒーロー・ボーイ。車掌は、彼に乗車を促す。
列車は、北極に向かう急行列車“北極号”、客車には知ったかぶりっ子と、ヒーロー・ガール、離れた客車にはロンリー・ボーイが乗っていた。温かいココアが出され、わくわく感が盛り上がる。窓の外は、雪の平原。車掌が切符を確認にくると、いつのまにかポケットに北極行きの切符がある。しかし、ヒーロー・ガールの切符は風に巻かれ、車外に飛んでしまう。切符を追って、列車の屋根に上がるヒーロー・ボーイ。そこには、不思議な男がたき火に当り、コーヒーをすすめた。
列車は、野を越える、凍った湖を抜け、一路サンタクロースの住む“北極”へと向かって行く。>>>つづきはDVDでどうぞ!

「3Dアニメーションは、人物の描写に弱い。だから動物ものがほとんどなのだ。」と、云われている。
本作は実写での製作が考えられたが、原作のイメージを表現するにはアニメーションしかないとの判断された。しかし、ゼメキス監督は、リアルな人物が演じることにこだわり、デジタル・キャラクター化する"パフォーマンス・キャプチャー"を使いことにした。俳優が演じた動きをデータ取り込みし、アニメーションに起こす手法だ。
日本の優れたキャラクター造型ものを見ている目には、実際の人間そのものの動きを生かした、本作の登場人物は、好みは別れるところだ。髪の毛の質感や、衣服の質感にまだ課題を残している。しかし、その欠点を補って余りある列車の躍動感!列車が谷を進む時の、ジェット・コースターに乗っているような臨場感、北極のサンタタウンのノームたちのモッズシーン、ミスターC(サンタさん)の大きな姿など、ラストは夢そのままのシーンの連続!3Dアニメーションの醍醐味を感じさせる。
◆◆◆

子供たちは何才頃まで、サンタクロースを信じているのだろうか?
私の両親はリアリストだったので、サンタクロースは親だと明言していた。この作品に描かれているような、祝祭感に溢れたファンタジーを信じたまま成長できる子供達は幸せだ。クリスマスの晩には、こんな作品を見て、子供には早寝させるのが、正しいイブの過ごし方のように思う。
メリー・クリスマス!ホ〜ホ〜!
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December 23, 2006
ほろ苦く、とびきり上等な聖夜の奇跡/『東京ゴッドファーザーズ』

●東京ゴッドファーザーズ●
●監督;今敏
●脚本;信本敬子
●音楽;鈴木慶一・ムーンライダース
●声の出演;江守徹/梅垣義明/岡本綾/こおろぎさとみ
●日本映画/2003年公開/90 分
●第7回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞
●第24回ベルギー国際アニメーションフェスティバルプリベTV映画賞
新作の『パプリカ』の公開に合わせて、今監督の『東京ゴッドファーザーズ』が地上波で放映された。日本TV系、本来なら“金曜ロードショー”で放映して、たくさんの人に見てもらいたい傑作なのに、な〜んで真夜中なの?ってことで、見逃した人へ、鑑賞のお薦め!です。
●あらすじ
クリスマス・イブの晩。教会では、聖誕劇が上演されている。ホームレスの三人組、ハナちゃんとギンちゃん、居候の家出娘ミユキは、イブの炊き出し目当てで教会にいた。今日はキリスト様の生まれた日、「マリア様がバージンでご懐妊するくらいだもの!アタシだってママになれる!」と、オカマのハナちゃんは、可愛い赤ちゃんを抱くママを夢見ている。
夢見るオカマ、ハナちゃんに奇跡が訪れる。ハナちゃんが目をつけていたゴミ捨て場に、可愛い赤ちゃんが捨ててあったのだ。「神様からの贈り物」だと大喜びのハナちゃん、しかしギンちゃんは「警察に届けろ!」と言う。ミユキは赤ちゃんがホームレスに育てられるのか?不安ながら、目先の食い物のことが心配だったりする。 ブルーのビニールシートと段ポールで出来た公園ハウスに赤ちゃんを連れ帰ったハナちゃん。虎の子の現金でミルクと紙オシメも購入をミユキに頼む。
ミルク購入の帰り道、ゴミ捨て場には大量のコンビニ賞味切れ食品が捨ててあった。「大漁!」と大喜びのミユキは古本を拾っているホームレス仲間とぶつかる。道に散乱した古本の中には、育児書があった。おにぎり二個を置いて、ミユキは育児書を持ち帰る。
赤ちゃんは清子と命名された。しかし、ギンちゃんは「警察に届けろ」と言うが、赤ちゃんと少しでも長くいたいハナちゃん「私達の手で、ママに返す」と言ってきかない。ギンちゃん、ハナちゃん、ミユキのホームレス三人組は、赤ちゃんキャリー・バッグに入っていたコインロッカーの鍵を手がかりに、赤ちゃんのお母さんを探すことになる。超過料金の支払い、開けたコインロッカーには、写真とスナックの名刺が入っていた。
赤ちゃんのお母さんは見つかるのか?>>>つづきはDVDでどうぞ!

東京に住んでいた頃、ホームレスはほとんどいなかった。東京に通勤するようになり、だんだんホームレスを見るようになった。中央線でいつも会うレゲエのオジサン、彼は今も、生きているのだろうか?
その頃、東京駅の通路で、上着を捨て、ポケットの小銭を捨て、靴も脱ぎ捨て、ふらふら歩くサラリーマンを見た。今からホームレスになるのではないだろうか…確信に近いような気持ちになった。数日後、新宿駅のダンボールハウスで真新しいスーツ姿の男性が眠っていた。東京駅の男性を思い出した。
ある時、家を捨て、名前も捨てる人達がいる。
◆◆◆
今監督はムサ美視覚伝達デザイン出身。アニメーション畑出身の作家さんとは、ひと味違う感性の持ち主だ。本作では家出少女のミユキが(一応)ヒロインだが、彼女はまったく可愛くない(笑)。観客のコビない彼女は、目を剥き、肩で息をしながら、幾重にも着た防寒具で画面の中を走り回る。
オープニングのタイトルバック、東京の街、神田から新宿に向かうバス通りに似た町並みをカメラが嘗めるように移動する。細部まで描かれた東京の街は、リアルで楽しい祝祭感に溢れている。その町並みにキャストの名前が紛れ込み、その文字を追っているうちに、観客はリアルな物語の世界にぐんぐん引き込まれていく。
『パーフェクト・ブルー』『千年女優』と、いつも優れた作品を発表している今敏監督だが、本作には生の空気感があり、人の汗臭さ、血の温かさを感じる作品となっている。
◆◆◆

オカマのハナちゃんも、自称もと競輪選手のギンちゃんも、家出娘のミユキも、みんな訳あり、一般社会での住処を失ったマイノリティだ。訳あり部分は、皆話していない。話せない事情があるからこそ、彼等は、住所不定を選んでいる。
東京都の段ボールハウス強制撤去が始まり、多くの段ボール村が縮小された。上野公園の西側に一角からは完全に姿を消し、都美術館前の林の中に、わずかに残っているばかり。増加と撤去を繰り返しながら、彼等は寒い冬を過ごすことになる。
日本には、「生活保護がある。」「生活の最低限は100%保障されている」と自治体は言う。浮浪者や、段ボールで棲む人は見えない日本人と言うことになる。しかし、実際は、家賃滞納の中、団地で餓死する人、路上で死ぬ名前も判らない人、多くが人権の最低限も保護されず死んでいく。最近も若者が年老いたホームレスの女性を殺害。ホームレスの多くは、なんらかの障害があり、自治体との交渉は困難だ。第一住所不定者には、公の助けはない!(窓口は地方自治体)
映画の中でも、ギンちゃんは無軌道な若者に“大掃除”と言われ、リンチに合う。ハナちゃんが、病気で倒れると、健康保険に加入していないハナちゃんは実費で¥30000近い治療費を請求される。3日路上で眠ると、服にシラミが棲み付くそうだ。私はシラミなんて見たことがない(!)。
◆◆◆
上記したように、この『東京ゴッドファーザーズ』は社会の最下層、日本にはいないはずの人たちの物語だ。その弱書に注がれる監督の目はとびきり優しい。物語が進むにつれ、普通に生活している一般人の危うさが、描かれる。一戸建ての家を立てても、火事で焼失、結婚式に銃で撃たれるヤクザ、娘の可愛がっていた猫を捨ててしまう母親、可愛い娘に刺される父親etc.
箱を開けると、また箱が入っているように、物語は重層的に組み立てられ、薄紙を剥ぐようにだんだんと真実が明らかになる。この物語が大いなる虚構なのは、物語を覆う“神”の存在だ。赤ちゃんの清子には、偉大なガーディアン・エンジェルが温かい翼を広げている。描かれないのだが、その存在の温かさに、観客はほっと、「こんなことがあっても良い」と、元気の素を貰えたりする。
◆◆◆
←クリックで拡大します若者にリンチに合い、なんとか取られた金を取りかえしたギンちゃん。瀕死で路上に倒れていると、綺麗な女神さまが現れ言う「私の魔法と、救急車、どっちが良い?」勿論、ギンちゃんは「救急車」と答えるのだ。
リアリストが出会う奇跡の物語。見事は織物のように組み合わされた伏線の数々は、最後の見事なエンディングへと、観客を誘ってくれる。
クリスマスの晩、家族と一緒に見る映画の定番!
何度見ても面白い!デス。
※クリスマス映画なので、12/1に移動しました。
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