March 2007
March 31, 2007
リアル!失われた日本の原風景と蟲/『蟲師』オダギリ・ジョー主演

●蟲師●
●原作;漆原友紀
●監督・脚本;大友克洋
●出演;オダギリ・ジョー/大森南朋/蒼井優/李麗仙/江角マキコ/稲田英幸/
リリィ/守山玲愛/クノ真季子/他
今年公開予定の日本映画の中で、一番楽しみにしていた作品。深夜、フジTV系で放映していたアニメ版はすごく面白くて、実写版も期待度大!早速、観に行った。大学生ぐらいの男の子二人連れがほとんど(!)の観客席。平日、午後2;20の回だったが、客席の半分は埋まっていた。
●あらすじ
ヨキと母は旅の行商を生業としていた。この親子に、定まった家はない。その日は雨、山深い峠道を歩いていた。ヨキは生来、蟲の姿を見ることが出来た。蟲を眺めて、母との間に少し距離が開いた時、雨で弛んだ山肌が突如崩れ、母は土砂に飲み込まれてしまう。必死に母を助けようとするが、母はすでに動かなかった。怪我をしたヨキを助けたのは銀髪の女蟲師ぬいだった。
ぬいの家は森の底のような場所だった。家の前の沼には、不思議な隻眼の魚が棲んでおり、沼は夜な夜な不思議な光りを放った。ぬいはヨキがその光りを見るのを嫌った。自分のように銀髪になってしまうと言うのだ。沼にはトコヤミと言う蟲が棲んでいた。そして沼にはぬいしか知らない秘密があった…。ぬいはヨキが蟲の侵されるのを案じ、ヨキを人里に返そうとした。しかしヨキは戻ってしまう。その夜…。
成長したヨキは、ギンコと呼ばれる蟲師になっていた。あの夜の出来事から、名前と過去を失ってしまったヨキはギンコと自らを呼ぶようになっていたのだ。山村の在所で開かれる市(いち)で商売をするために、ギンコは雪深い山道を歩いていた。雪が降り止まず、日も暮れ、ギンコは大きな一軒家に一夜の宿を願う。その家には、やはり雪で難儀した先客がいた。ギンコの口上を聞いた女主人は、「雇い人の病気を治して欲しい」とギンコに頼む。ギンコの腕前を見た女主人は「孫の病気を見て欲しい」と奥座敷にギンコを招いた。そこには幼い少女がいた。少女の額には…。>>>つづきは映画館でどうぞ!
*********************************

少し昔のこと、UKに二週間いた。帰国した日のこと、飛行機を乗り継ぎ、午後、ローカル線に乗っていた。夏至に近い初夏だった。車窓から眺める田園風景が、見事なほどに色鮮やかで、無数の光りを放っていた。UKには妖精を見に(汗)行ったのだが、結局何も不思議を見ることが出来ず、気せずしてに日本に帰国した日に不思議を見たことになる。私が見たものは、『蟲師』の中に描かれる“光酒”のようなものだったように思う。この映画『蟲師』は、既視感に満ちている。日本の原風景、深い森、山、川、そこには見えない霊物(蟲とも妖怪とも神々とも)が潜んでいる。
先日、「古い大きい家は怖い」と書いたが、怖いと思う由縁はやはり『蟲』にある。本作に登場する雪の中の大きな家は、私が見学した家と間取りも家内の様子も実によく似ていた。入り口を入ると土間、縁側のような板張りがあり、藁を貯蔵する2階へ上がる階段がある。板戸を開けると囲炉裏のある板張りの居間、その奥は家の主人が暮らす畳の部屋が田の字になってある。長年の煤で燻された床も柱も板戸も黒々と光り、その闇の中に何かが潜んでいるように感じる。宮崎駿監督の『となりのトトロ』では“マックロクロスケ(煤走り)”として描かれた何か、『もののけ姫』では木霊として描かれた何か、本作『蟲師』では“蟲”と描かれる何か。日本には何かがいるのだ。大友監督はその“何か(蟲)”を見事にリアルな存在にしている。
◆◆◆
物語の中で虹郎が探す“虹蛇”と言う蟲がいる。その魅力に取りつかれたものは廃人になるとあるが、私は“虹蛇”を見たことがある(ように思う=山に四本の虹が並んで立っていた)。“トコヤミ”を見れば、「ものを忘れる」と言い、“虹蛇”を魅了されれば「廃人になる」と言う。この通りなら、私の生産性の低さは“蟲”が原因と言うことになる(笑)。
経済的な勤勉さが、多くの場合自然破壊への積極的な関与になってしまう。だから、蟲と言う存在を、人間以前から地球に棲んでいる生命体と考えれば、彼等の性質、働きは実に利にかなっているように思ったりする。この映画の舞台は100年前の日本、まだ多くの自然が日本には残っており、サンカ、マタギ、キジシ、修験者など、定住しない人たちが山の文化を守っていた。だが、日本の軍国化による戸籍管理の徹底で、そんな山神の一族とも言える人々の暮らしは失われてしまった。『蟲師』の存在は、失われた日本文化の象徴のように思う。
◆◆◆
映画『蟲師』の中で、もう1つの大きな魅力は、登場人物の着ている衣装。淡幽の着物の品の良い色合わせと柄、漂泊の人々の見事なボロ着、ヨキ親子の登場シーンで、背負った荷を大きな油紙で包んでいる箇所を見たら、「この映画は凄い!」と思ってしまった。今までたくさんの、明治期を舞台にした映画を見ているが、この『蟲師』が一番時代の雰囲気を感じさせる。不評も目立つ『蟲師』だが、映画的な起承転結を求めるより、失われつつある日本の原風景に浸り、蟲の意志に身を委ねるのが良いかもしれない。
雪深い家の座敷に市松があった。少し時代が新しい(笑)。
Please on Click!!◆ブログランキング参加中。

March 29, 2007
侵してはならない“神の領域”?/『予言』三上博史主演
●予言●
●監督;鶴田法男
●原作;つのだじろう
●脚本;高木登/鶴田法男
●音楽;川井憲次
●出演;三上博史/酒井法子/堀北真希/小野真弓/鶴水瑠衣/藤真美穂/
井上花菜/伴大介/山路和弘/山本圭/吉行和子 他
●DATE;2004年 日本 95分
3/26、TBS系深夜枠で放映。翌日は優香さん主演『輪廻』だった。
春の夜は、ホラー特集らしい。夜中の桜って怖いヨネ〜。
●あらすじ

大学助教授の里見英樹、妻・綾香と5歳の娘奈々の三人家族。夏休み、田舎の実家から自動車で帰京する日のこと。英樹は大学に提出するレポートが間に合わず、やっと仕上げたレポートを田舎道の電話ボックスから送ることにした。車に妻と奈々を残し、電話ボックスに籠る英樹、そこに奇妙な新聞記事があった。記事には「一家の車が事故に遭い、一人娘の奈々が犠牲になる」ことが書かれていた。愕然として動けない英樹の目前で、暴走したトラックが車に激突、奈々の乗った乗用車は爆発炎上してしまった。
それから3年の歳月が過ぎていく。英樹と綾香は離婚。原因は、綾香が英樹の新聞の話が信じられなかったのだ。しかし、出版社勤務の綾香は、『月刊サイ』と言う超常現象雑誌の編集者として、超能力実験に関わっていた。その真意は、未来を予言する新聞の実在を証明するためだった。一方、英樹は大学の職を辞し、高校の国語教師としておざなりの日々を送っていた。可愛く笑う娘の写真を眺めては事故を回避できなかった自分を責める毎日だった。
念写実験の被験者に綾香は新聞のことを尋ねた。霊能者は何か知っているようだったが、答えてくれない。数日後、霊能者は自宅で不審死を遂げる。発見した綾香は霊能者の手に握られた新聞の念写ポラロイドと、部屋から新聞の念写と実際に起きた事故の記事を切り抜いた大量のスクラップ・ブックを見つける。
その頃、英樹の教え子が答案用紙に事故予言を書く。そして、英樹の部屋に奇妙な新聞記事が届くようになるのだった。それは…。>>>つづきはDVDでどうぞ!
**************************
本作は、以前レビューを書いたJホラー『感染』と2本立てで上映された『予言』。『感染』は病院内に蔓延する謎のウィルスを題材にしたもの。本作『予言』はホラー漫画の名作『恐怖新聞』をアレンジにしたものだった。気色の悪さで言えば『感染』の方が数段上だ。本質的な怖さの点では『予言』の方が怖い!?かもしれない。
題名の『予言』は、同時上映の『感染』と語呂合わせ的な部分がある。漢字2文字にこだわるなら『新聞』の方が良かったかもしれない。人は「未来を垣間見ることが出来たなら…」と思うことがある。当り馬券を事前に知っていたら、テストの問題、ナンバーズの数字etc.。そんなものなら良いが、回避出来ない事故や事件を事前に知ったところで、何も良いことはない。良いことはないどころか、知っていて何も出来ない自分の非力さを責め、発狂してしまうかもしれない。この映画は、その回避できない不運、運命に抗えない恐怖を描いている。
◆◆◆
原作の『恐怖新聞』は大昔『少年チャンピオン』に連載されたもの。近所の内科医の待ち合い室に古い『少年チャンピオン』が大量にあった。風邪を引きたびに、怖い思いをしたものだ(笑)。このヒットで、つのだじろうさんは心霊の専門家として活躍されるようになる。同時期、『少年マガシン』に『うしろの百太郎(守護霊漫画)』を連載し、日本中(?)にオカルトブームを巻き起こす。『恐怖新聞』も『後ろの百太郎』も実在の人物をエピソードに取り入れたり、念写実験の写真などを紹介し、それまでのホラー漫画と一線を画したものだった。
主人公英樹を演じるのは三上博史さん。彼は神経症的な役を演じると本当に巧い!うっかりするとコミカルにもなる大袈裟な恐怖表現に「大丈夫???」と思ったりするが、彼が演じると、妙に納得してしまう。奥さんの綾香はノリピーこと酒井法子さん。お母さん役としたらクールだ。ノリピーは、三上さんとは対照的に剛胆な女性を好演。普通、誰かが死んでるかもしれない部屋に一人では行かない(笑)。また、謎の死を遂げる霊能者と研究者を吉行和子さん/山本圭さんが演じ、ベテランらしい重厚な演技を見せている。
◆◆◆
人には侵してはならない“神の領域”言うものがあるかもしれない。それは遺伝子操作かもしれないし、プルトニウムなどの原子力かもしれない。『恐怖新聞』は“神のルール”を侵す存在、いったい誰がそれを送ってくるのか、誰も判らない。『デス・ノート』の死神なら知っているかも…、と、とにかく非情な存在だ。
これがまったくのフィクションかと言えば、そうとも言えない。有名なところでは“遠くの火山爆発を夢で予知した新聞記者”や“タイタニック号沈没と酷似した小説”など。時々、未来の断片が現在に介入してくる。大きな海難事故や航空機事故があると、たまたま乗らなかった人がいる。その中のいくつかは不思議な予知が働いていることがあるのだ。これらは『回避出来た災難』はラッキーだが、多くの乗客は予知どおり死んでしまった訳で、これは怖い!!。
“予知”“予言”を考える時、時間軸が異なる多次元宇宙のことや、宇宙のどこかにある“アカシック・レコーダー”など思い出す。人は未来を予測しても、うっかり『予知』されては、実存自体が危うくなる。日本語では「預言」と「予言」と「予知」の区別が曖昧だが、「預言」は“神から預かった言葉”でまったく別物。「予知」は単発の出来事、「予言」は能力者がビッジョンをまとめ多発表するイメージがある。
すべて予定された時間を過ごすのが『人生』であっては、まったく面白くないヨネ、とほほ。。。
Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。
●監督;鶴田法男
●原作;つのだじろう
●脚本;高木登/鶴田法男
●音楽;川井憲次
●出演;三上博史/酒井法子/堀北真希/小野真弓/鶴水瑠衣/藤真美穂/
井上花菜/伴大介/山路和弘/山本圭/吉行和子 他
●DATE;2004年 日本 95分
3/26、TBS系深夜枠で放映。翌日は優香さん主演『輪廻』だった。
春の夜は、ホラー特集らしい。夜中の桜って怖いヨネ〜。
●あらすじ

大学助教授の里見英樹、妻・綾香と5歳の娘奈々の三人家族。夏休み、田舎の実家から自動車で帰京する日のこと。英樹は大学に提出するレポートが間に合わず、やっと仕上げたレポートを田舎道の電話ボックスから送ることにした。車に妻と奈々を残し、電話ボックスに籠る英樹、そこに奇妙な新聞記事があった。記事には「一家の車が事故に遭い、一人娘の奈々が犠牲になる」ことが書かれていた。愕然として動けない英樹の目前で、暴走したトラックが車に激突、奈々の乗った乗用車は爆発炎上してしまった。
それから3年の歳月が過ぎていく。英樹と綾香は離婚。原因は、綾香が英樹の新聞の話が信じられなかったのだ。しかし、出版社勤務の綾香は、『月刊サイ』と言う超常現象雑誌の編集者として、超能力実験に関わっていた。その真意は、未来を予言する新聞の実在を証明するためだった。一方、英樹は大学の職を辞し、高校の国語教師としておざなりの日々を送っていた。可愛く笑う娘の写真を眺めては事故を回避できなかった自分を責める毎日だった。
念写実験の被験者に綾香は新聞のことを尋ねた。霊能者は何か知っているようだったが、答えてくれない。数日後、霊能者は自宅で不審死を遂げる。発見した綾香は霊能者の手に握られた新聞の念写ポラロイドと、部屋から新聞の念写と実際に起きた事故の記事を切り抜いた大量のスクラップ・ブックを見つける。
その頃、英樹の教え子が答案用紙に事故予言を書く。そして、英樹の部屋に奇妙な新聞記事が届くようになるのだった。それは…。>>>つづきはDVDでどうぞ!
**************************
本作は、以前レビューを書いたJホラー『感染』と2本立てで上映された『予言』。『感染』は病院内に蔓延する謎のウィルスを題材にしたもの。本作『予言』はホラー漫画の名作『恐怖新聞』をアレンジにしたものだった。気色の悪さで言えば『感染』の方が数段上だ。本質的な怖さの点では『予言』の方が怖い!?かもしれない。
題名の『予言』は、同時上映の『感染』と語呂合わせ的な部分がある。漢字2文字にこだわるなら『新聞』の方が良かったかもしれない。人は「未来を垣間見ることが出来たなら…」と思うことがある。当り馬券を事前に知っていたら、テストの問題、ナンバーズの数字etc.。そんなものなら良いが、回避出来ない事故や事件を事前に知ったところで、何も良いことはない。良いことはないどころか、知っていて何も出来ない自分の非力さを責め、発狂してしまうかもしれない。この映画は、その回避できない不運、運命に抗えない恐怖を描いている。
◆◆◆
原作の『恐怖新聞』は大昔『少年チャンピオン』に連載されたもの。近所の内科医の待ち合い室に古い『少年チャンピオン』が大量にあった。風邪を引きたびに、怖い思いをしたものだ(笑)。このヒットで、つのだじろうさんは心霊の専門家として活躍されるようになる。同時期、『少年マガシン』に『うしろの百太郎(守護霊漫画)』を連載し、日本中(?)にオカルトブームを巻き起こす。『恐怖新聞』も『後ろの百太郎』も実在の人物をエピソードに取り入れたり、念写実験の写真などを紹介し、それまでのホラー漫画と一線を画したものだった。
主人公英樹を演じるのは三上博史さん。彼は神経症的な役を演じると本当に巧い!うっかりするとコミカルにもなる大袈裟な恐怖表現に「大丈夫???」と思ったりするが、彼が演じると、妙に納得してしまう。奥さんの綾香はノリピーこと酒井法子さん。お母さん役としたらクールだ。ノリピーは、三上さんとは対照的に剛胆な女性を好演。普通、誰かが死んでるかもしれない部屋に一人では行かない(笑)。また、謎の死を遂げる霊能者と研究者を吉行和子さん/山本圭さんが演じ、ベテランらしい重厚な演技を見せている。
◆◆◆
人には侵してはならない“神の領域”言うものがあるかもしれない。それは遺伝子操作かもしれないし、プルトニウムなどの原子力かもしれない。『恐怖新聞』は“神のルール”を侵す存在、いったい誰がそれを送ってくるのか、誰も判らない。『デス・ノート』の死神なら知っているかも…、と、とにかく非情な存在だ。
これがまったくのフィクションかと言えば、そうとも言えない。有名なところでは“遠くの火山爆発を夢で予知した新聞記者”や“タイタニック号沈没と酷似した小説”など。時々、未来の断片が現在に介入してくる。大きな海難事故や航空機事故があると、たまたま乗らなかった人がいる。その中のいくつかは不思議な予知が働いていることがあるのだ。これらは『回避出来た災難』はラッキーだが、多くの乗客は予知どおり死んでしまった訳で、これは怖い!!。
“予知”“予言”を考える時、時間軸が異なる多次元宇宙のことや、宇宙のどこかにある“アカシック・レコーダー”など思い出す。人は未来を予測しても、うっかり『予知』されては、実存自体が危うくなる。日本語では「預言」と「予言」と「予知」の区別が曖昧だが、「預言」は“神から預かった言葉”でまったく別物。「予知」は単発の出来事、「予言」は能力者がビッジョンをまとめ多発表するイメージがある。
すべて予定された時間を過ごすのが『人生』であっては、まったく面白くないヨネ、とほほ。。。
Please on Click!!◆ブログランキング参加中。
March 27, 2007
次回作は『崖の上のポニョ』/NHK『プロフェッショナル』宮崎駿
●プロフェッショナル 仕事の流儀 スペシャル「宮崎駿・創作の秘密」●
●NHK総合 3/27 PM10;00〜11:00

3/19に発表された宮崎駿監督の次回作は
『崖の上のポニョ』
NHKディレクターが昨春から三ヶ月半密着取材した宮崎監督のドキュメンタリーが放映された。
宮崎監督は、『ゲド戦記』の監督を息子の吾郎さんに譲ったことを生涯の痛恨と感じているようだ。ドミュメンタリーの開始時期は、親子の確執が一番キツかった頃。宮崎監督は、普段にも増して気難しい雰囲気を漂わせていた。大体、創作する人は『鶴の恩返し』状態で、「けっして見ないで下さい」と言いたいものだ。だから密着と言っても、宮崎さんの制作の秘密が判る訳でもないのだが…、ファン心理としては、新作情報だけでも嬉しい。
◆◆◆
『ゲド戦記』のアニメ化にあたって、原作者のル・グインさんが許可を出すきっかけとなったのは『千と千尋の神隠し』だった。アメリカのル・グインさんの自宅に鈴木プロデューサーと挨拶に行ったのも宮崎駿監督、ル・グインさんも吾郎さんが監督されたことは意外だったと思う。
宮崎監督は尊敬してやまないグ・ウィンさんに面目なさを感じていただろうし、吾郎さんが自分に替わって監督としたことを「自分に対しての反抗」と感じてしまった。だが、吾郎さんの前に鈴木プロデューサーが仕掛人だと私は思っている。会社の業績を一番に考えている鈴木さんの勇み足が、親子の溝を作った大きな要因だ。主題歌の盗作騒ぎにしたって、吾郎さんに「朔太郎の詩を参考にしろ」と言ったのは鈴木さんだし…ネ〜。
『崖の上のポニュ』は上記の前提の上で、駿監督が渾身の力で制作にかかっている新作なのだ。
◆◆◆
朝、宮崎さんは自宅から乗用車でアトリエに向かう。うっそうとした大きな庭木に囲まれた洋館が彼のアトリエだ。以前はジブリ内に監督の部屋があったように思ったのだが、こんな素敵なアトリエにいつ引っ越ししたのだろうか?宮崎さんは、家に入ると「おはよう」と声をかける。家には誰か(!)がいるそうだ。大きな窓のカーテンとどんどん開けていくと、室内に朝の光りが満ちてくる。ここで新作『金魚姫(仮称)』のイメージボートを書いている。
宮崎さんは一昨年、瀬戸内海鞆の浦に近い一軒家に数カ月暮らしたそうで、そこの風景が今回の作品では舞台となる。主人公の宗介は「5才の頃の吾郎さん」がモデル。彼との関係が険悪になった原因として、宮崎監督は「吾郎が子供の頃、仕事ばかりしていて子供と向き合うことがなかった自分への反省として」と語っている。
番組の中で、『ゲド戦記』の試写会を途中で出てしまう監督が映る。監督は「僕はそこまで出来た人間じゃないですよ」と強い語気で言った。監督の心中は、自分への後悔で一杯だったのだ。親子なのだから、子供が憎い訳ではない。私だって宮崎監督の作った『ゲド戦記』を見たかった。そうできない会社の事情、自分の体力的なこと、諸々な思いが重なっていた。
◆◆◆
宮崎さんはシナリオを書かない。イメージ・ボードに『脳の中に釣り糸をたらす』ようにして釣り上げた物語を定着させていく。“ポニュ”の名前は、ポニュッとしているからだそうだ。ポニュは金魚姫、アンデルセンの人魚姫のように人間になりたい魚らしい。ポニュが深海から人間世界に出てくる時の乗り物は大きなクラゲ、宗介の危機(?)に海から急ぐ時は、大きな魚の背に乗っている。ポニュは海の国のお姫さまらしい(?)。
公開が来年の夏!
Please on Click!
◆ブログランキング参加中。
●NHK総合 3/27 PM10;00〜11:00

3/19に発表された宮崎駿監督の次回作は
『崖の上のポニョ』
NHKディレクターが昨春から三ヶ月半密着取材した宮崎監督のドキュメンタリーが放映された。
宮崎監督は、『ゲド戦記』の監督を息子の吾郎さんに譲ったことを生涯の痛恨と感じているようだ。ドミュメンタリーの開始時期は、親子の確執が一番キツかった頃。宮崎監督は、普段にも増して気難しい雰囲気を漂わせていた。大体、創作する人は『鶴の恩返し』状態で、「けっして見ないで下さい」と言いたいものだ。だから密着と言っても、宮崎さんの制作の秘密が判る訳でもないのだが…、ファン心理としては、新作情報だけでも嬉しい。
◆◆◆
『ゲド戦記』のアニメ化にあたって、原作者のル・グインさんが許可を出すきっかけとなったのは『千と千尋の神隠し』だった。アメリカのル・グインさんの自宅に鈴木プロデューサーと挨拶に行ったのも宮崎駿監督、ル・グインさんも吾郎さんが監督されたことは意外だったと思う。
宮崎監督は尊敬してやまないグ・ウィンさんに面目なさを感じていただろうし、吾郎さんが自分に替わって監督としたことを「自分に対しての反抗」と感じてしまった。だが、吾郎さんの前に鈴木プロデューサーが仕掛人だと私は思っている。会社の業績を一番に考えている鈴木さんの勇み足が、親子の溝を作った大きな要因だ。主題歌の盗作騒ぎにしたって、吾郎さんに「朔太郎の詩を参考にしろ」と言ったのは鈴木さんだし…ネ〜。
『崖の上のポニュ』は上記の前提の上で、駿監督が渾身の力で制作にかかっている新作なのだ。
◆◆◆
朝、宮崎さんは自宅から乗用車でアトリエに向かう。うっそうとした大きな庭木に囲まれた洋館が彼のアトリエだ。以前はジブリ内に監督の部屋があったように思ったのだが、こんな素敵なアトリエにいつ引っ越ししたのだろうか?宮崎さんは、家に入ると「おはよう」と声をかける。家には誰か(!)がいるそうだ。大きな窓のカーテンとどんどん開けていくと、室内に朝の光りが満ちてくる。ここで新作『金魚姫(仮称)』のイメージボートを書いている。
宮崎さんは一昨年、瀬戸内海鞆の浦に近い一軒家に数カ月暮らしたそうで、そこの風景が今回の作品では舞台となる。主人公の宗介は「5才の頃の吾郎さん」がモデル。彼との関係が険悪になった原因として、宮崎監督は「吾郎が子供の頃、仕事ばかりしていて子供と向き合うことがなかった自分への反省として」と語っている。
番組の中で、『ゲド戦記』の試写会を途中で出てしまう監督が映る。監督は「僕はそこまで出来た人間じゃないですよ」と強い語気で言った。監督の心中は、自分への後悔で一杯だったのだ。親子なのだから、子供が憎い訳ではない。私だって宮崎監督の作った『ゲド戦記』を見たかった。そうできない会社の事情、自分の体力的なこと、諸々な思いが重なっていた。
◆◆◆
宮崎さんはシナリオを書かない。イメージ・ボードに『脳の中に釣り糸をたらす』ようにして釣り上げた物語を定着させていく。“ポニュ”の名前は、ポニュッとしているからだそうだ。ポニュは金魚姫、アンデルセンの人魚姫のように人間になりたい魚らしい。ポニュが深海から人間世界に出てくる時の乗り物は大きなクラゲ、宗介の危機(?)に海から急ぐ時は、大きな魚の背に乗っている。ポニュは海の国のお姫さまらしい(?)。
公開が来年の夏!
◆ブログランキング参加中。
March 24, 2007
のだめ第二部終了!?/『のだめカンタービレ』lesson 106

●のだめカンタービレ/lesson 106●
●作者:二ノ宮知子
●掲載誌;Kiss No.7 3/24発売
今日は発売の“Kiss No.7”、フィギュアスケートを題材とした新連載もあり、楽しい内容になっている。の、、、、だが、、、、○×△◎。『のだめカンタービレ』の内容が!!
◆◆◆
なんとなく、これで最終回でも良いような感じなのですヨ!(以下、ネタバレ)続きを読む
March 23, 2007
他人の家、どっちの無神経が怖い?/『コールド・クリーク』

●コールド・クリーク/過去を持つ家●
●監督;マイク・フィッギス
●出演;デニス・クエイド/シャロン・ストーン/スティーヴン・ドーフ/
ジュリエット・ルイス/クリステン・スチュワート/他
●DATE;2003年 アメリカ 119 分
家にまつわる怖い映画が見たくなった。お目当ての作品がレンタル店になかったので、韓国映画『箪笥』と本作『コールド・クリーク』をレンタル(『箪笥』の感想はのちほど)。この映画を借りた時、名作『ヘルハウス』のような作品かと思っていたら、違った。邦題サブタイトルの『過去を持つ家』はミス・リードな雰囲気あり!?
●あらすじ
ニューヨークに住むティルソン一家、ドキュメンタリー作家のクーパー、キャリア・ウーマンのリー、二人の子供クリステンとジェシーの4人家族。その朝、子供の世話は夫のクーパー担当、リーはシカゴに向かう飛行機の中だった。機中、リーは上司に昇進と浮気を持ちかけられる。上司と一泊するつもりだったリーに、ジェシーが交通事故に遭ったことが知らされ、急いで家に帰るリー、幸い、ジェシーは軽傷だった。NY暮らしに限界を感じたクーパーは、妻の休職と田舎への転居を計画する。
ニューヨークから車で数時間の田園地帯、何軒もの売り家を見た一家は、最後に銀行抵当物件“コールド・クリーク邸”に向かう。外観だけ見る約束だったが、鍵が壊れていたこともあり、一家は家の中に入る。家の中は雑然とし、さっきまで人が住んでいたようだった。広く、趣きのある屋敷にすっかり子供たちは魅了される。クーパーは壁の写真や絵画を目にし、この家の歴史に興味を持つ。
夏休み、引っ越すティルソン一家の姿があった。以前の住人の持ち物を処分するクーパー。街の住民は反感を覚えていた。屋敷は荒れ果てた部屋も多く、家の改修には時間がかかりそうだった。家族揃って朝食をとるクーパーの背後に、見たこともない男が立っている。彼はこの家の前の持ち主ディルと名乗った。「刑務所に入っていた」と言うディル。困窮を訴えるディルの申し出は家の改修の手伝いだった。それは…。>>>つづきはDVDでどうぞ!
***************************

この作品と似たような経験(古い家を買う)がある。今も古く大きな農家の家が欲しいと思うことがある。アマゾンなどの映画評はあまり芳しくなかったが、真剣に見てしまった。私は結局、家を買わなかったが、登記変更を待つ間、古い家の掃除と猫の世話に通った。人のいなくなった家、そこに置き去りにされた猫、箪笥の中の着る人もいない衣類、冷蔵庫の中に残る保存食品etc.、管理中、色々と不思議なことがあった。
“悪魔の喉”と呼ばれる古井戸、羊を殺す先の尖ったハンマー、大量に残されたビデオテープetc.、どれをとてもホラーな展開、超常現象を期待してしまう。「きっと物陰に潜む霊が…」「きっと封じ込まれた悪霊が…」とドキドキして見ていた。だが、まったく霊が出てこない。前の持ち主ディルが大活躍する。ディルは胡散臭い。だが、浮気未遂のリーはデイルの上腕の筋肉など眺めて、呑気にしているのだ。そんなリーの無神経さに、クーパーはイラ立つ。ここらへんにイライラ感が、事件の予感とリンクして、なかなか面白い。
■■■
このイライラ感は、意外と身近なものだ。裕福な都会からの移住者と、保守的な田舎の住民との間の嫌な空気感。多くの場合、裕福な者と貧しい者との関係から生まれたものだったりする。ディルには幼馴染みの恋人がいるが、彼女の住居はトレーラー・ハウスだ。彼女の姉は軍隊から保安官になっている。アメリカの貧しい若者が、奨学金を得るために軍に志願するのは珍しくない。
裕福なニューヨーカーが由緒ある大邸宅を買う。それも相場よりずっと安い価格でだ。その邸宅の一家は100年の長い年月、田舎町を潤していた名家だったろう。そこに土足で入り、歴史のある家の品々(町の歴史でもある)を処分したり、家族の思い出さえ商売にしようとするクーパー。地元住民なら、反感を持って当たり前だ。
■■■
ハリウッド作品の場合、善悪がはっきりしていることが多い。だが、本作『コールド・クリーク』は、正邪が曖昧だ。ディルの家族の私物写真やビデオテープを編集し、「家のものはすべて私が買った」と強弁するクーパー!。銀行への些細な返却が遅れたために、先祖伝来の屋敷が人手に渡ってしまったディル!。ディルのサイコの原因は、典型的な家長だった父親の暴力と無神経な暴言にある。世間体をはばかり、妻の浮気も我慢していたディル!。クーパーの災難は、一方的な災厄ではない。そこにリアルさを感じた。
リアルでないとすれば、クーパー一家の子供達が呑気なこと(笑)。あんなこと、こんなこと、そして、あんなこともあった邸で、元気に遊んでいる。もし、この作品に超常現象があるとすれば、子供たちを奇妙に魅了する邸の魔力かもしれない。また、物語に終始漂う男尊女卑で封建的な空気は、シナリオ作家の価値観の反映かもしれないが、不愉快な怖さを醸す。
21エーカー、プール、森、墓地、牧草地付き大邸宅のお値段【21万ドル】。
Please on Click!!◆ブログランキング参加中。
March 21, 2007
武侠で笑う!美男美女系コメディ!/『剣客之恋』アンディ・ラウ主演

●剣客之恋/(老鼠愛上猫)●
●英題/Cat & Mouse
●原作;三侠五義
●監督:陳嘉上(ゴードン・チャン)
●出演:
劉徳華(アンディ・ラウ)
張柏芝(セシリア・チャン)
黄秋生(アンソニー・ウォン)
李冰冰(リー・ピンピン)他
●DATE;2003年 香港 92分
レンタルで鑑賞。近年、アンディ・ラウは渋めな役が多く、武峡系では白髪のカツラを被った悪役も演じている。アンディは本当に良い人なので、悪役アンディはなんとなく似合わない。本作は時代劇コメディ、こんなに能天気でニコニコした二枚目役は珍しい。彼本来の優しい素顔が画面から伝わるようだった。さて、どんな映画かと言うと…。
●あらすじ
北宗時代、名判官と名高い包拯の手腕で、時世は治まり、皇帝は呑気に歌舞を楽しんでいた。包拯の裁判所には訴訟する者もなく、三侠として名高い剣の達人展昭も閑を持て余していた。友人でもある包拯に勧められ、展昭は休暇ととって、久しぶりに江湖に帰る。10年の歳月は名高い剣客だった展昭を忘れるには十分だった。江湖で一番人気の無芸者は“五鼠(五義)”の末弟“錦毛鼠”。展昭の目の前で“錦毛鼠”は、老人をいたぶる高利貸しを撃退する。展昭は侠気(正義感)のある錦毛鼠(白玉堂)とすっかり意気投合し、義兄弟の契りを結ぶのだった。その晩、錦毛鼠は高利貸し(皇后の実家)の家に盗みに入り、屋根の上で見物していた展昭は包拯などの政府要人の暗殺計画を書いた紙を見つける。
休暇から戻ると裁判所から“三宝(王家の宝)”が錦毛鼠に盗まれる。宝を取り返した展昭は、周囲の勧めで皇女(王の義妹)月華と婚約をし、御猫の称号を貰う。暗殺計画は皇后の横槍でうやむやにされてしまうのだった。月華と一緒に展昭は五鼠の本拠地に乗り込む。義族錦毛鼠は展昭の説得に応じ、王に仕えることになるのだったが…。>>>つづきはDVDでどうぞ!
**************************

4年前のお正月に香港で大ヒットした作品。ぼ〜っと見ていると「これは何…(絶句)」的な映画なのだが、真面目に筋を追うと意外と面白い。それもそのはず、中国ではポピュラーな武侠(侠義)小説『三侠五義』が原作。“中国古典文学大系〈48巻〉三侠五義 (1970年) ”に収録されており、以前、図書館で借りて読んだことがある。本作『剣客之恋』では、“包拯は色が黒い(ドーランで塗っていた)”や“五鼠兄弟の得意技”など原作に沿っているが、別のお話になっている。
『三侠五義』は古い講談話で、最初は本当に猫と鼠の話だったらしい(?)。最初は、大岡裁きの包拯中心の話だった。だんだんと、魅力ある脇役が活躍する枝葉が増え、清朝に『三侠五(七)義』して成立する。日本での単行本は絶版で入手困難。秋田書店プリンセスコミックス『北宋風雲伝』は『三侠五義』をほぼ忠実に漫画化したものがあり、これは書店で入手できる。
■■■
NHKBSなどで、大昔の日本映画を特集することがある。白黒の昭和30年初頭の映画だ。美空ひばりが男装、二枚目俳優(若い頃の勝新太郎や大川橋蔵など)と、唄あり踊りありのラブロマンスだ。最後はハッピーエンドがお約束。本作『剣客之恋』は、そんな古い大らかな時代劇を思い出す。最初のシーン、京劇風の動きで笑え、男同士で仲良く入浴で笑え、剣舞の動きで笑える。呑気な二枚目全開(笑)のアンディのコミカルな演技が秀逸、そして、アクションでは格好良い殺陣がちゃんと用意されている。
相手役は『プロミス』のセシリア・チャンとリー・ピンピン、タイプの違う美女が魅力を振りまく。セシリアは宝塚系の男装(笑)、ピンピンは中原淳一さんの描く乙女風、どちらも古風な趣きがある。アンディだって、古いタイプの二枚目だ。冬の北京で撮影したと言う、都の様子は重厚で北宗の雰囲気が出ている。また、実際に寒いらしく、アンディは毛皮の帽子を被っているのだが、猫耳風の飾りがあって、これがまた可愛い。
『少林サッカー』の付けヒゲもムリムリ(笑)だったセシリアは、今回も付けヒゲ姿。どう見たって女なのに、男だと思い込む展昭(!)、あれこれ突っ込みどころはあっても、気にしないで、華仔(アンディ)の可愛い笑顔を堪能すれば良いお気楽映画だ。
ついでに中国の古典『三侠五義』に親しもう!。
※大きな図書館なら大抵ある全集(中国古典文学大系/平凡社)です。
◆ブログランキング参加中。


