August 25, 2006

異教の神=悪魔?が恐い!/『エスクシスト ビギニング』wowow5

ビギニング

●エスクシスト ビギニング●
原題;EXORCIST THE BEGINNIG
監督: レニー・ハーリン
出演; ステラン・スカルスゲールド / ジェームズ・ダーシー / イザベラ・スコルプコ
2004年 / アメリカ / 114分 /

未明、WOWOWで『エクソシスト ビギニング』を放映していた。未見だったので、健康には「早寝早起き!」とお念仏を唱えたのだが(汗;、映画の誘惑に負け、朝まで恐い映画を見てしまった。仕事をしていたのだが、手が止まってしまった。目が離せない!あわわ。。。恐い映画からは足を洗おうと思っていたのに、なんでこんなに面白いのか?解説は文末で!

●あらすじ

荒涼とした砂漠、そこには信じられない光景が広がっていた。見渡す限り、胸にキリストの名を書いた鎧を着たローマ兵の死体が累々と横たわっている。あるものは逆さ磔にされ、、目を被うような惨状の中、1人だけ生きていた兵士がいた。ふと見ると死者の手に何か握られている。それを取ろうとすると…。

オランダの小さい町で、ナチの兵士が殺された。犯人探しをするナチは村の広場に住民を集める。犯人探しと言い、住民に銃口を向けるナチの将校。神に仕える神父を嘲るように「今日、ここに神はいない」と言い、可愛い少女を殺害する。子供たちに銃口を向けるナチ将校を止めるために、メリル神父は老人の命を差し出すことになる。ナチの暴虐を止めることが出来なかった自分への失望と、神への疑問からメリル神父は神への信仰を捨ててしまう。

エスソシスト/2
人生の目的を見失い放浪していたメリルは、カイロの酒場で、古美術蒐集家と名乗る男に会う。彼から、ケニアのトゥルカナ地方で発掘作業を行っているイギリスの考古学発掘隊の話を聞く。男の依頼は「古いビザンティン帝国時代の古い教会が発見された」こと、そこにあるはずの「小さな彫像を自分のため見つけ出して欲しい」というものだった。

発掘現場に到着したメリンは、若い神父フランシスと、村の療養所の医師サラに会う。サラはユダヤ人で、強制収容所でナチに犯された過去を持つ女性だった。村人は古来の文化を守り、原始的に暮らすグループと、キリスト教に改宗し、白人と文化的に暮らすグループに分かれていた。メリンは、発掘現場で石集めとしていた村の少年ジョセフ(キリスト教徒)に出会い、自分の発掘コテを与える。

発掘された教会は異様なものだった。壁に描かれたルシファー、故意に折られ、逆さにされたキリスト像、禍々しいものが教会から沸き上がってくることを、村の住民たちは知っていた。発掘するイギリス人と村人の間に緊張状態が生まれる中、ジョセフの兄が、発掘コテを取り、ジョゼフをからかった。そこへハイエナの群れが現れ、兄に襲いかかる。それは凶事の前触れに過ぎなかった。

連続する変事、村人はジョゼフに悪魔が憑いていると疑う。以前、村にいて、発狂してしまった男が残した絵を見て、何かを知っていると確信したメリルは、ナイロビの病院を訪ねる。壁一面に貼られた絵には無気味な彫像が描かれていた。男は、突然、メリルの前で自殺を遂げる。胸にはナチスの鈎十字が切り刻まれていた。

エクソシスト/3
村に棲むアル中の白人がいなくなる。彼は、発掘現場の教会で異様な惨死体で発見された。発掘を阻止しようとする村人、誰も埋葬されていない大量の墓地、メリルはこの教会には何か別の秘密があることを確信する。イギリス考古発掘隊は、危険を感じ、兵士の派遣を要請する。果たして、メリルはこの惨劇の中で、真実を発見できるのだろうか?
つづきはDVDでどうぞ!

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悪魔は皆さん御存じの『蠅の王ベルゼブブ=パズズ』。画面に蠅が飛ぶとそれは凶事の始まり。アフリカなんて、蠅や小さい羽虫が多くて当たり前の場所なのだが、ほんとに「五月蠅=うるさい」とは良く、言ったもので、鬱陶しく蠅が出てくる。またがこれは恐い。

ベルゼブブは、旧約聖書『列王紀』に登場する異教の神さま。『バアル・ゼブル』は「気高き主」を意味していたが、キリスト教によって、ヘブライ語で似た語感の、『バアル・ゼブブ=蝿のバアル』と呼び替えられ、神の座から悪魔の大物に変型させられてしまった因縁の名前。原形は豊穣の神『バール=Baal』。砂漠に恵みの雨をもたらす下半身邪体の女神と描かれることもあり、ゲーム『女神転生』のキャラクターにも登場していた。

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エクソシスト/4

1973年の『エクソシスト』は、冒頭のウイジャ板(西洋こっくりさん)のシーンから、リーガンに乗り移った悪魔のリアルな雰囲気、それまでのホラー映画とはまったく違う禍々しい霊気が漂ったホラー映画だった。『エクソシスト2』では、少し成長したリーガンの夢から、アフリカに舞台を移され、「良きイナゴと悪しきイナゴ」、「神の翼」に触れたものは「悪魔の標的」になるなど、また違う土着的な恐さのある映画だった。本作は、その中に登場するメリン神父の若き日の物語。といってもまったく若く見えない(笑)。

以前の『エクソシスト』は悪魔と教会の対立と言う構造だったが、この『エクソシスト ビギニング』では、異教とキリスト教の対立と言う、底に隠れた構造が明確になり、「神の存在とは何か?」と言う、哲学的な深読みの出来る作品に仕上がっている。amazonのDVDレビューでは、あまり評判は芳しくなく、「恐くない」と言う主旨のものが多かった。

天然の世界に悪魔は存在しないように思う。弱肉強食の食物連鎖の自然界では、生死の原因に「罪」は存在しない。可愛い子鹿を狼が食べようが、年老いた縞馬をライオンが食べようが、罪にはならない。人類が文化を持つようになってから、神が生まれ、法が生まれた。キリスト教が生まれたから悪魔が津体系化したと考えても良い。非キリスト教圏の神様は、見た目悪魔そのもののようなものが多い。チベットの明王尊は三目、髑髏の首飾り、インドのカリーは大きく舌を出し、生首持って踊っている。欧米人には悪魔のように見えても無理はない。しかし恐ろしさは強さの表現であり、敬う心の表現でもある。

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『エクソシスト ビギニング』は、異教とキリスト教との対立が、善悪の対立として描かれているが、本当の悪は、キリスト教の方で生まれたことを暗示している。古来の豊穣神は「蠅の王」と言う蔑称を与えられ、悪魔に落とされた。しかし、本当の古来の神は、知ったことではないと笑っているように思う。キリスト教徒の病的なヒステリーが心の中で悪魔を作り、その原因がキリスト教にあると思い込み、反抗期の子供のように神を罵る。生まれた悪魔は、想念界で人の悪心を食べながらぬくぬく育ち、実体化していく。

『エクソシスト ビギニング』では、アフリカの異教以外に、ナチズムと言う異教徒が描かれる。しかし、ナチズムはオカルト的なキリスト教徒だと言っても良い。ヒットラーは自分の霊性を高めるためにキリスト教の聖遺物を本気で捜しまわった。本作でも、殺しあいをしているのは、冒頭のシーンのようにキリスト教徒たちばかり!アフリカの人たちは、巻き込まれただけだ。

キリストの名によって悪魔は祓われる。この映画は深い皮肉と、西洋化によって変質してしまった古い文化=異教の神々への思いがあり、見ようによれば強烈な反カソリック映画だとも言える。『ダ・ヴィンチ・コード』を見た後に見ると、見た人も以前と違う感慨があるかもしれない。ついでに『コンスタンティン』も見るとハリウッドの反キリスト勢力の強さを感じるだろう。

後から、じわじわ恐い!悪魔より人間が恐い!そんな作品です。

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moondrop_aco at 04:28 │Comments(2)TrackBack(15)洋画系  |  映画(あ・か行)

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この記事へのコメント

1. Posted by つゆくさ    May 27, 2006 15:57
言い難いことですが、ばっさり書いておられますね(ノ´∀`*)
「痒いところに手が届く」そんな印象の記事でした^^スッキリ♪
2. Posted by A・C・O    May 28, 2006 15:28
>つゆくさま!
コメントありがとうございます。あはは^^;、なんだかひどいこと書いちゃったと思ったりするのですが、このテーマは考えたり、調べたりするとここに行き着くように思いました。キリスト教の美しさや素晴らしさ、そんな光りがまばゆければ、まばゆいほど、深い深い闇が裏にあるようで、恐ろしいのですが、人間って不思議だな〜と思ったりします。

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