July 18, 2006
パニックにならないパニック映画/『日本沈没』

● 日本沈没 ●
●監督:樋口真嗣
●特技監督:神谷誠
●原作:小松左京
● 出演;草ナギ剛/柴咲コウ/豊川悦司/及川光博/大地真央/吉田日出子 他
7/16、日曜日の9時20分の開映。高崎109シネマズのロビーは土曜に引き続き大混雑!一番大きな6番スクリーンでの上映だった。スクリーンに近い通路より前の座席以外はほとんど埋まっている。お隣の席は幼稚園の年長さんくらいの女の子。映画が始まって5分で飽きてしまい、ママの膝の上に移動。寝たり、コーラを飲んだりしながら、ずっとお母さんの膝の上にいた。お母さんは映画を見るのも疲れます(御苦労さまです)。
●あらすじ
駿河湾沖で大地震が発生。瓦礫の中を母を探す少女の姿があった。少女を助けようとする小野寺(草ナギ剛)だが、ガソリンに引火し大爆発が起る。火の海が少女と小野寺を襲う寸前、ヘリコプターからレスキュー隊員・玲子(柴咲コウ)が降下し、二人は救助される。この大地震は大きな災害の予兆だった。

アメリカの測地学会のコックス博士は、日米の政府要人と地質学者が集まる中、大平洋プレートが急速にひずみを起こしており、「このままでは日本は沈没してしまう」可能性を示唆した。日本沈没までに残された時間はおよそ40年…。そのシミレーションを黙って見つめる学者がいた。地球科学博士・田所雄介(豊川悦司)は、深海掘削船〈ちきゅう〉を使い、日本海溝の独自調査は始めた。深海掘削船〈ちきゅう〉には小野寺と先輩の結城(及川光博)が乗り組み、深い深海のまたその地下の地層が綿密に調査された。田所は集めたデータを解析した結果、驚愕の未来を導き出す。日本に残された時間はあと1年足らず。緊急に招聘された極秘会議で、田所は自説を説明するのだが、一笑に伏す学者の姿もあった。そこに政府の要人とともに、文部科学大臣ポストについているかつての恋人・鷹森沙織の姿があった。
一方、国際海洋開発センターの小野寺のもとに、ハイパーレスキュー隊員の玲子が訪ねてくる。二人で助けた少女・美咲(福田麻由子)の母が重体で意識不明であること、そして美咲を玲子の家・もんじゃ焼き屋「ひょっとこ」に預かっていること、を告げ、「美咲を励まして欲しい」と小野寺に頼む。下町にある「ひょっとこ」は人情の溢れるきさくな店だった。小野寺は美咲に会いに出かけるのだが、女性ながら危険な任務に真剣に取りむく玲子のことも気になるようになる。
つかの間の平安の中、総理大臣・山本(石坂浩二)は田所の仮説により信憑性を感じ、鷹森を危機管理大臣に任命する。一人、田所を訪ねる鷹森は、日本沈没の研究機関「D1」を発足したので、田所も参加するように言う。しかし、田所は一刻も早く「国民を避難させることが重要だ」と言い、研究室に隠ってしまう。
そんな時、阿蘇山が大爆発、熊本市内が壊滅的な被害に遭う。そして阿蘇山の上空には、避難民の受け入れ依頼に中国へ向かう総理専用機がいた。山本総理の事故死、鷹森は任命者を失い、「D1」で孤軍奮闘しなければならなくなった。駿河湾>熊本>北海道>日本全国の活断層、活火山が急速に活動を始め、日本各地は未曾有な災害に襲われていく。
>>>つづきは映画館でどうぞ!
**************************
←クリックすると拡大します。衛星写真を見るまでもなく、日本には大きな断層がいくつも走っている。全部で5つの地球の継ぎ目の上にこの日本列島は乗っているのだ。九州を裂き、四国を横断し、紀伊半島を分割し中央構造線は糸魚川静岡構造線と合流する。中央構造線は群馬の下仁田町で一部露出し、関東平野では地下3000mに沈下し、埼玉県の岩槻市南を通っているそうだ。映画では、日本列島の構造線に沿って、災害が起る。列島の沈降と火山活動の因果関係は分からないが、地震とともに、マグマが隆起し、日本中で噴火が起る設定になっている。日本で過去一万年の間に噴火した火山は122、現在活火山として気象庁が認定しているのは86ある。映画では日本中の活火山が噴火、火山灰の降灰で、飛行場も封鎖される。VFXの画素数が粗い感じはするのだが、生頼義範氏の描くイラストのイメージそのままに日本が壊滅していくシーンの連続は、少し複雑な気分になる。私の住んでいる場所は、浅間山、榛名山の二つの活火山に挟まれているので、さぞかし大変なことになっていることと思う。映画の中で一番不思議に思ったのは、電力の供給だ。都内への送電線は新潟から群馬を通り、都内に電力を供給している。そして原子力発電所はどうなっているのだろうか?また新潟から都内へな天然ガスのパイプラインも地下で通っている。電力、水道、道路などの生命線が断裂すれば、日本国民の避難路も途絶えてしまう。
◆◆◆
結局、映画は絵空事の世界でしかない…。
と言ってしまえばお終いなのだが、このリメイク版『日本沈没』では、映像的に面白い災害シーンが先攻してしまい、防災シミュレーションとしては、著しくリアリティが欠ける。それがこの映画、最大の欠点になっている。多くの関係省庁や自衛隊、大学などが、協力に名を列ねているが、何故か警察の出番はなかった。阪神大震災の時、スーパーやデパートなどで、ほとんど略奪がなかったそうだ。日本人は食品泥棒にならない国民!裏返せば、飢えたことのない国民なのだろう…。映画では一ケ所だけ、食料品店での混乱が描かれていたが、都内や近郊のベッドタウンでもし食料品の供給が途絶えたら、数週間で老人が衰弱死してしまうと思う。もう1つのこの映画の欠点は、災害時での障害者、病気入院中の人、人工透析患者、老人、幼児などの弱者の描き方にあると思う。比較的、中盤まで、整然として避難や避難所生活が描かれるが、そこもなんとなく平和過ぎるように思えた。
私が一番感じた違和感は、「災害シーンに命が存在しない」こと。怪獣映画の街壊しと同じ視線になっている。首都圏近郊のベットタウン、都内の住宅密集地、昼間の会社や学校etc.、そんなところで大規模災害があれば、レスキュー隊どころの話ではないと思う。瓦礫の間に死体が重なり、数日で生き残った人も死に、腐臭が漂い、とんでもないことになるだろう…。幸い生き残った人にも食料と水はほとんどない。なぜなら備蓄された建物が崩落してしまい、緊急食料はほとんど機能しないだろう。映画の中の総理大臣代理の台詞「避難船数確保はそんなに深刻に考えなくても大丈夫ですよ、なぜなら災害で多くの人が死にますから」。これ一番のリアルかもしれない。
◆◆◆

総理大臣山本が早々に事故死してしまい、政府の対応がなんとも適当。あれがホントなら困ったことになるのだが、意外とあんなものなのかもしれない。石坂浩二さんは今の小泉首相をモデルの役づくりしたそうだ。小泉さんの政権はもうすぐ終わる。彼の政策を振り返った本も多数出版されている。その中で彼を『ニヒリスト』と評したものがあったが、この映画の中の総理も、諦観に満ちていた。日本の国土がなくなった時、日本国民のアイデンティティは何処にあるのだろうか?土地があっての国民、それが2000年前に故国を奪われたユダヤの人たちがイスラエルを建国したことでも分かる。小松左京氏の『日本沈没』を深読みすれば、ただのパニックSFではなく、「日本とは?」「日本人とは?」と言うことになる。今回は少し違うラストが用意されている。是非、映画館で、見てのお楽しみにしてください。
◆◆◆
おまけ●日本の活火山
茂世路岳,散布山,指臼岳,小田萌山,択捉焼山,択捉阿登佐岳,ベルタルベ山,爺爺岳,羅臼山,泊山、知床硫黄山,摩周,アトサヌプリ,雌阿寒岳,大雪山,十勝岳,樽前山,有珠山,北海道駒ヶ岳,恵山,渡島大島,恵庭岳,倶多楽,丸山,羅臼岳、恐山,八甲田山,岩木山,八幡平,秋田焼山,岩手山,秋田駒ヶ岳,鳥海山,栗駒山,鳴子,蔵王山,吾妻山,安達太良山,磐梯山,十和田、那須岳,日光白根山,赤城山,浅間山,草津白根山,妙高山,新潟焼山,弥陀ヶ原,焼岳,乗鞍岳,御岳山,白山,榛名山,燧ヶ岳、富士山,箱根山,伊豆東部火山群,伊豆大島,新島,神津島,三宅島,八丈島,青ヶ島,南ベヨネース列岩,須美寿島,伊豆鳥島,西之島,海徳海山,噴火浅根,硫黄島,福徳岡ノ場,硫黄島南東沖海底火山,北福徳堆、鶴見岳,九重山,阿蘇山,雲仙岳,霧島山,桜島,開聞岳、薩摩硫黄島,口永良部島,中之島,諏訪之瀬島,硫黄鳥島,西表島北北東海底火山
Please on Click!●詳しいキャスト&スタッフ>>>
●日本沈没●
2006年7月15日公開。
*製作:TBS
*配給:東宝
*協力:東京消防庁、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京大学地震研究所、防衛庁、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊
●スタッフ
*製作:濱名一哉
*監督:樋口真嗣
*特技監督:神谷誠
*特技統括/監督補:尾上克郎
*原作:小松左京
*脚本:成島出、加藤正人
*音楽:岩代太郎
*主題歌:「Keep Holding U」(作詞作曲:久保田利伸、歌:SunMin thanX Kubota(久保田利伸))
●キャスト
* 小野寺俊夫:草ナギ剛
*阿部玲子(ハイパーレスキュー隊員):柴咲コウ
*田所雄介博士:豊川悦司
*結城慎司:及川光博
*避難民少女美咲:福田麻由子
*結城の妻:佐藤江梨子
*山本尚之総理大臣:石坂浩二
*野崎亨介内閣官房長官:國村隼
*自衛隊の隊長:ピエール瀧
*鷹森沙織・文部科学兼危機管理担当大臣:大地真央
*外務大臣:矢島健一
*小野寺俊夫の姉:和久井映見
*阿部玲子の叔母:吉田日出子
*その他:前田愛、柄本明、遠藤憲一、富野由悠季、福井晴敏、庵野秀明、長山藍子、六平直政、木村多江、津田寛治
2006年7月15日公開。
*製作:TBS
*配給:東宝
*協力:東京消防庁、独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)、東京大学地震研究所、防衛庁、陸上自衛隊、海上自衛隊、航空自衛隊
●スタッフ
*製作:濱名一哉
*監督:樋口真嗣
*特技監督:神谷誠
*特技統括/監督補:尾上克郎
*原作:小松左京
*脚本:成島出、加藤正人
*音楽:岩代太郎
*主題歌:「Keep Holding U」(作詞作曲:久保田利伸、歌:SunMin thanX Kubota(久保田利伸))
●キャスト
* 小野寺俊夫:草ナギ剛
*阿部玲子(ハイパーレスキュー隊員):柴咲コウ
*田所雄介博士:豊川悦司
*結城慎司:及川光博
*避難民少女美咲:福田麻由子
*結城の妻:佐藤江梨子
*山本尚之総理大臣:石坂浩二
*野崎亨介内閣官房長官:國村隼
*自衛隊の隊長:ピエール瀧
*鷹森沙織・文部科学兼危機管理担当大臣:大地真央
*外務大臣:矢島健一
*小野寺俊夫の姉:和久井映見
*阿部玲子の叔母:吉田日出子
*その他:前田愛、柄本明、遠藤憲一、富野由悠季、福井晴敏、庵野秀明、長山藍子、六平直政、木村多江、津田寛治
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SunMin thanX Kubotaの歌う
♪Keep Holding U♪
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●あらすじ
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22. 東京消防庁ハイパーレスキュー隊の主な国内派遣活動 [ 東京消防庁を目指す!!消防官への道 ] December 11, 2006 01:39
東京消防庁のハイパーレスキュー隊は東京だけにとどまらず、国内の各種災害においても派遣され救出活動を行っています。
この記事へのコメント
1. Posted by サラリーマンA July 19, 2006 07:45
日本沈没というと、五木ひろしの歌で日本が沈んで行く、数十年前に放送されテレビ版を思い出します。五木ひろしの歌と良くあっていた様に憶えています。
話は変わって、那須岳も活火山だったんですよね(住いの近くにあります)何を気をつけて良いのか分からないけど、気をつけよう!
話は変わって、那須岳も活火山だったんですよね(住いの近くにあります)何を気をつけて良いのか分からないけど、気をつけよう!
2. Posted by 冨田弘嗣 July 25, 2006 02:53
トラックバック、感謝です。
リアリティな映像表現をすると、R−15またはR−18になってしまうかもしれません。多くの団体からも批難され、東宝は、とんでもない結果に陥ってしまうかもしれません。が、私の欲するのは、そういうドキュメント的な「日本沈没」。科学的な部分と政治、やくざ、自衛隊、ホームレス、死体の処理、そして危機的状況に立たされた人間の醜さと優しさ。ドラマでもなくドキュメントでもない、そんな映画ができれば・・・。ありえないでしょうが。今回も質の高い評論を読ませてもらいました。ありがとうございました。 冨田弘嗣
リアリティな映像表現をすると、R−15またはR−18になってしまうかもしれません。多くの団体からも批難され、東宝は、とんでもない結果に陥ってしまうかもしれません。が、私の欲するのは、そういうドキュメント的な「日本沈没」。科学的な部分と政治、やくざ、自衛隊、ホームレス、死体の処理、そして危機的状況に立たされた人間の醜さと優しさ。ドラマでもなくドキュメントでもない、そんな映画ができれば・・・。ありえないでしょうが。今回も質の高い評論を読ませてもらいました。ありがとうございました。 冨田弘嗣
3. Posted by スマホでテレエッチ December 19, 2011 04:07

