September 18, 2006

甘い郷愁・昭和レトロに何を学ぶ?/『ALWAYS 三丁目の夕日』5

always/表紙

●ALWAYS 三丁目の夕日●
●原作;西岸良平
●監督;山崎貴
●出演:;吉岡秀隆/須賀健太/堤真一/薬師丸ひろこ/小清水一輝./小雪/堀北真希/もたいまさこ
●2005年11月5日公開/133 分

 新作3泊4日レンタルになったので、レンタルにて鑑賞。
 昨年の映画各賞を総なめにした大ヒット作。蛇足ながら、あらすじなど…。

●あらすじ

 昭和33年、集団就職の若者を乗せた蒸気機関車が荒川を越える。遠くには復興最中の東京の町並み。六子は、大きな自動車会社に就職が決まり、胸を弾ませていた。なんと駅まで、社長自ら出迎えてくれたではないか!同級生に「社長秘書!?」とからかわれ、それも心がうきうきしてくるのだった。上野駅の雑踏を抜け、駅前には大きな黒塗りの高級乗用車、夢に見た…、、、と思うのもつかの間、黒塗りの高級車は後ろにいた紳士を乗せて走り去った。目の前にあるのは、小さな三輪のミゼット。「おい」の社長の声に、我に返る六子。小さなミゼットの車窓から見える建設中の東京タワーが六子を迎えてくれるようだった。

 三丁目の駄菓子屋の主人、茶川龍之介は東京帝大出身の作家志望。文学賞になんと29回も落選している。店番も適当、一等100連発ピストルのはずれくじを量産し、子供達に疑われている小市民な人物。その駄菓子店の前にある鈴木オートが六子の就職先だった。優しい奥さんと小学生の一平・社長の三人家族、この家の2階の6畳間が六子の東京での部屋となった。朝のうきうき感はどこへやら…。

 自動車の修理がまったく出来ない六子に社長はいらだつ。採用のきっかけになったのは六子の書いた“特技欄”。“自転車修理”と書いたのに、鈴木社長が“自動車修理”と見間違えたのだった。短気な社長と六子は、来た早々言い争いになるが、社長の息子で小学生の一平が、履歴書の見間違いに気付き、お互いの誤解が解ける。

 町内の居酒屋に、踊子をしていた宏美がやってくる。美人の宏美の登場に茶川は多いに盛り上がる。そんな茶川に宏美は頼みごとをする。身寄りのない男の子淳之介を、芥川に押し付けたのだった。「お前なんか、赤の他人なんだからな!」大人気ない龍之介の言葉にも、淳之介はここでの生活が幸せなものだった。そんなある日…。

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always/集合











◆◆◆

この映画の制作について、昨年末まで日本TV系で放映されていたアンガールズの『先端研』で、紹介されていた。番組内では邦画バブルで、以前に比べ、資金面の苦労がなくなったと話されていた。その言葉どおり、大作が少ない日本映画の中では、細部まで作りこんだ手の込んだ映像となっている。原作は西岸良平さんの人気コミック。連載開始は1974年。小学館ビッグコミックオリジナルに30年以上!!連載されている大長寿マンガだ。映画の脚本は原作の設定を大幅に変更し、六郎は六子に、茶川さんは初老から、27歳と大幅に若返っている。

◆◆◆

 物語は、昭和33年の東京タワー建設を背景に、力道山、家庭でのテレビジョン、冷蔵庫、洗濯機の三種神器(絶対!死語)、駄菓子屋や、土管のある空き地でのフラフープetc.、と昭和中期の世相や風俗を丹念に描いている。『先端研』で、「潤沢な資金」と山崎監督が語ってはいたが、やはり巨額な制作費のハリウッド映画と比べると、VFXの画素数が粗く、全体にピントの甘い絵づくりになっているのが残念。しかしそこは昭和ファンタジーとして見れば、狙いは成功していると言える。

always/舞台 
 劇中、『昭和中期庶民カタログ』といった雰囲気で、さまざまは品物が羅列される。そこに、鈴木オートでの家族愛、六子と母の関係、茶川と淳之介の関わりなどの心温まる人間関係が語られる。部分的にではあるが、やや誇張された表現(鈴木氏の怒り、茶川さんの気絶)が目立ち、「原作コミックと云うことを踏まえた演出?」と思ったりするが、原作の『夕焼けの詩 三丁目の夕日』とは、ニュアンスが若干ずれているようにも感じた。

◆◆◆

最大の見どころは、『花田少年史』でも主演している須賀健太くん。以前、フジTV系で香取慎吾さん主演のドラマ『人にやさしく』で母親に捨てられ、赤の他人の家で暮らすことになった少年の役を好演。

今回はシチュエーションがまったく同じながら、随分成長し、泣かせる演技をしていた。鈴木一平を演じた小清水一輝くんとともに、子役は大人を喰ってしまう!のだ。劇中で描かれる淳之介の書いた未来冒険小説は、手塚治虫さんの『メガロポリス』のようで、一平くんや同級生が熱狂するのも納得、もっと見たかったデス(笑)。
※映画版では茶川さんは児童雑誌に冒険小説を書いているが、マンガ版は官能小説らしい。

 悪役のほとんど出ない映画ながら、淳之介のお父さん役で小日向文世さんが嫌な金持ちの役をけれん味なく演じ、映画の最後を盛り上げてくれていた。彼のあの雰囲気がなければ、感動のエンディングにならなかっただろう。吉岡さん演じる茶川と淳之介のクライマックスは秀逸。

 忘れてならないのは、鈴木トモエ役の薬師丸ひろこさん。可愛らしく、とっても素敵で、優しく理想のお母さんだった。


◆◆◆

 昭和レトロって、何故か人気がある。

横浜にラーメン博物館が出来た時、“博物館”の言葉と“ラーメン”に魅力を感じ、仕事先の皆さんと行ったことがある。その後、母と一緒にまた寄ったのだが、あの雰囲気はまったく長居できない。行った人は御存じか(10年くらい前)と思うが、夕暮れの空と、昭和中期の町並みが再現され、暗がりでスタッフの人が当時の人を演じていた。映画館の看板は『旗本退屈男』や石原裕次郎さんのもの、モルタルづくりの町並みは、チープで物悲しい。閉所恐怖症の傾向があったので、あの閉ざされた逢魔が刻の世界が怖かったのかもしれない。

 似た雰囲気は『千と千尋の神隠し』の異界の食堂街にもあった。夕刻に異形の神々が集う町…、そこは支配するものと使役するものがはっきり別れた歓楽街なのだ。もっと誇張されるとつげ義春さんのマンガの雰囲気になってくる。不安な風の吹く港町、やたら眼科医の看板がある、あの奇妙な街並みは昭和だったし、民俗学的にカオスな雰囲気が濃厚な土俗日本なのだ。寺山修司さんの作品の中にも、この雰囲気は描かれている。どこか物悲しく、貧しい不条理な日本、影の濃い闇、それは映画の中の街路灯から外れた路地の空間から広がっている…。

とにかく、なんて〜のか、昭和レトロって嫌いなのだ!

◆◆◆
always/3人
 ところが、『ALWAYS 三丁目の夕日』には、私の嫌いな昭和の臭いがまったくしなかった。例えれば、食玩の世界が映画になったような雰囲気。昭和33年4/1まで、公娼制度があった。狩野川台風,死者/不明が1269人も出た。帰還事業の開始も1958年から。戦争の傷痕もまだ生乾きだった頃、一生懸命にならざる得ないほど、日本はまだ貧しかったのだ。貧しいから、家族も共同体も助け合いながら生活していた。そこから、現在は何を学ぼうと云うのだろうか?これから日本は貧しくなるから予習しようってわけでもないだろう…。。。※すご〜く、へそ曲がりなこと、書いてます(笑)。

 現在、21世紀!淳之介少年の夢見た未来世紀にはほど遠い。近代が未来になるための大きな試練期に日本は直面しているのだろう。便利さを求めて失ってしまった何か!?家族愛、地域共同体、人との繋がりの温かさをファンタジックに描いた本作は、疲れた心に染み渡る美味しいお菓子のような映画だと感じた。たくさんのブログの感想を読ませて頂いたが、ほとんどの好評!みんな、癒しを求めているんだな〜。。。

 1つだけ難点を云えば、雰囲気だけでは、どうにもならない時代の暗黒面が、どこかにあれば、『ALWAYS 三丁目の夕日』は、長く愛される名作になったと思う。韓国映画の『力道山』や北野たけしさん主演の『血と骨』には、昭和中期の暗黒面があった。ほんの少しの毒…、描きたりない闇、これは、原作がコミックであることと、実話ベースの差かもしれない。※でも夕日町三丁目には、暗黒面はないのだ。

◆◆◆

 文句を云いつつ、子役が良かったので★4つ(笑)。良く出来た昭和ファンタジーとして見れば★5つ。昭和をまったく知らない良い子な青少年にはお薦め!

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20. 郵便ポスト【昭和レトロ@かわいい画像】  [ 昭和レトロ@かわいい画像 ]   April 29, 2007 02:19
最近はこんなポストもみかけなくなりました。最近のポストは大きさがいろいろあるのはいいのですが、どうもみつけにくくて。子供心に何度か上ろうとしてあきらめたのは、昭和レトロな思い出です。

この記事へのコメント

1. Posted by 猫姫少佐現品限り    September 21, 2006 02:24
5 こんばんは!いつもありがとうございます!
元記事で、この映画のTB博物館目指していますので、
良かったら、元記事にも、TBお願いします!
2. Posted by A・C・O    September 21, 2006 08:57
>猫姫さま
いつもTBさせて頂き、お世話になっております。感想を読む人は、猫姫さまのサイトにいけば、皆さんの記事が読めるので、本当に感謝していると思います。さっそく元記事にもTBさせて頂きました。これからもよろしくお願いします。
3. Posted by やっぱり邦画好き…    September 26, 2006 09:41
この度はアメブロ版やっぱり邦画好き…にTBをいただき、ありがとうございます。
そして返信が遅くなりましたことお詫び申し上げます。
勝手ながら都合によりメインのJUGEM版やっぱり邦画好き…でTBの返信をさせていただきます。
これからもよろしくお願い致します。

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