November 09, 2006

憎しみ、復讐は最良の薬なのか?/『オールド・ボーイ』4

oldboy表紙

●オールド・ボーイ●
●監督;パク・チャヌク
●原作;土屋ガロン/嶺岸信明
●出演;チェ・ミンシク/ユ・ジテ/カン・ヘジョン/チ・デハン/キム・ビョンオク
●韓国映画 2003年/120分

 新約聖書のローマ人への手紙12章19節
    「復讐するは我にあり」

 多忙で、映画があまり見られない時期があり、これも未見。前宣伝が怖そうだったので、躊躇していたのだが、ついにレンタル。「クっクっクっ…。。。後味悪いな〜…。」ってことで、ほんのあらすじ。

●あらすじ

 2003年、マンションの屋上。犬を抱いた青年が自殺しようとしている。傍らには、憔悴しきった男が一人…。

 1988年、雨の降る晩、どこにでもあるような交番。泥酔し、交番に連れてこられたオ・デスがいた。今日は大事な一人娘4歳の誕生日。可愛い天使の羽をプレゼントに買い、帰宅する前に酒を飲んだのが度を越したのだ。友人が迎えに来てくれ、交番から解放されるオ・デス。友人がオ・デスの妻に電話している間に、オ・デスは姿を消す。路上にはプレゼントの箱だけが残されていた。

oldboy集合
 目を醒ましたオ・デス、そこはホテルの部屋程度の空間だった。風呂とトイレ、ベッド、机、TVがある。時間には食事が運ばれ、眠れない時には、睡眠ガスが眠りに誘ってくれる…。歳月を知るのはTVだけ、食事は出前の餃子定食だった。誰一人、オ・デスに事情を話すものはいない。何も判らないまま歳月が過ぎて行く。絶望の中、自殺を計るのだは、治療され、蘇生することが幾度も続く。幻覚も見るようになったある日、自分の妻が殺害されたことをTVのニュースで知る。犯人は失踪中の夫オ・デスだとされていた。

 何故、監禁されているのか?オ・デスは、部屋にあった大学ノートに自分の生涯を書き綴る。思い出すのは、悪いことばかり…。しかし、こんな目に合うようなことをしているのだろうか?6年経過した頃、オ・デスは手に年を入れ墨して、歳月を数えることにした。オ・デスは、脱出後の復讐計画を立て、体を鍛えることを日課とするようになる。いつしか15年の月日が経っていた。

 突如、解放されたオ・デス。拉致された場所は高層マンションになっており、そこの屋上にノートだけを持たされ放置されていた。犬を抱いた青年が自殺しようとしている…。

 何故、15年も監禁されていたのか?彼を監禁したのは誰なのか?そしてその目的は?
>>>つづきはDVDでどうぞ!

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 ※多少のネタばれを含みます。ご注意ください。

 新約聖書のローマ人への手紙12章19節
    「復讐するは我にあり」

 復讐三部作(復讐者に憐れみを/オールド・ボーイ/親切なクムジャさん)の最終章、『親切なクムジャさん』も長い歳月(13年)、刑務所に収監された以後の復讐の物語だった。“クムジャさん”では、復讐構造は直線的だったが、本作のオ・デスは、遠い昔(オールド・ボーイ=OBの意味は?)に、本人も無自覚なまま、恨みを買ってしまう。復讐は重層的に絡まり、オ・デスと犯人の間には双方向の“復讐”と“憎しみ”が派生する。

 また、復讐する過程で、関係のない他人が巻き込まれ、死が重なり、また“恨み”が生まれる。救いようのない世界観…、これは韓国の持つ心的外傷(長く続いた封建社会、日帝占領、南北分断)の1つかもしれない。前述した「復讐するは我にあり」は、“憎しみは神の裁断に任せる”ことを指している。人が人を裁くことの難しさ、そして復讐を果たした後の、口の中に残る苦い味…。映画『オールド・ボーイ』は極めて、根源的な人の心の世界を描いており、その世界観は旧約聖書的ですらある。

◆◆◆
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 本作の前半は、普通のサラリーマンの“拉致監禁”だ。韓国では確認されているだけでも500人近い民間人が、北に拉致され、行方不明となっている。実数はもっと多いだろう。オ・デスのような、不条理な不幸に捕われることは、極論すれば日常茶飯事なことだ。偶発的不幸の原因に、因果応報はない。だが、宗教的な土壌の強い民族の多くは、不幸は悪業悪果と考える。

 オ・デスは監禁中に、一生懸命に自分がした悪業を思い出し、ノートに書く。最後まで、「何故、拉致され、妻まで殺されたのか?」思い出すことが出来ない。そこに拉致をした犯人の怖さがある。災いの種は犯人が蒔いており、オ・デスには罪(罪と言うほどの罪)はない。そこもクムジャさんと同じだ。ただ、人生には罠が潜んでいる…、どんなに細心であっても、不幸は身近に寄り添っているのだ。そこが怖い!!

◆◆◆

 クムジャさんの小指切断も痛いシーンだったが、『オールド・ボーイ』にはその何倍も痛いシーンが克明に描かれる。正直、ハキ気もの。人を殺す時に、トンカチを使うのも、韓国映画的だったりする。これも怖い。

 「目には目を、歯には歯を」ハムラビ法典/聖書

 「復讐するは我にあり」と「目には目を、歯には歯を」は矛盾しないか?と考えた時に、この償いの行為は“自分の方から示す謝罪の態度を表す”と考えると矛盾がない。『オールド・ボーイ』でも、この旧約的な“贖罪”が重要なシーンとなって描かれる。酸鼻な描写だが、そうしなけらばならないオ・デスと犯人の葛藤が心に痛い。

「病人にとって、憎しみや復讐は最良の薬だ」犯人の言葉

◆◆◆
oldboy集合S ←クリックすると拡大します。

 2004年カンヌ国際映画祭、グランプリ受賞作品。審査委員長のタランティーノ監督が絶賛した『オールド・ボーイ』は見ごたえのある作品だ。血生臭いのに耐えられる人にはお薦め!。ストレスやトラウマのある人は、具合が悪くなるので要注意作品(笑)です。

 韓国に根付くキリスト教的な価値観に、日本とは違う異国を感じた作品だった。

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この記事へのコメント

1. Posted by 猫姫少佐現品限り    November 15, 2006 00:41
5 こんばんは!いつもありがとうございます!
拉致監禁が日常茶飯事
目には目を、自分の方から示す謝罪の態度
なるほどねぇ、、、
いぁ、勉強になりました。
2. Posted by A・C・O    November 22, 2006 03:07
こんばんは!猫姫さま
こちらこそ、いつもお世話になっております。猫姫さまのブログのTB数で、そこ映画の評価が判るので、いつもお邪魔してしまいます。重ねてありがとうございます。『オールド・ボーイ』は、ひざびざに@@怖い映画でした。自分が毎日あんな監禁されたら、発狂してしまう;;と思い、考えてもゾゾゾゾォ〜です。拉致監禁は本当に惨い事件!!だと思います;;。

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