December 23, 2006

ほろ苦く、とびきり上等な聖夜の奇跡/『東京ゴッドファーザーズ』5

TGF表紙

●東京ゴッドファーザーズ●
●監督;今敏
●脚本;信本敬子
●音楽;鈴木慶一・ムーンライダース
●声の出演;江守徹/梅垣義明/岡本綾/こおろぎさとみ
●日本映画/2003年公開/90 分
●第7回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門優秀賞
●第24回ベルギー国際アニメーションフェスティバルプリベTV映画賞

 新作の『パプリカ』の公開に合わせて、今監督の『東京ゴッドファーザーズ』が地上波で放映された。日本TV系、本来なら“金曜ロードショー”で放映して、たくさんの人に見てもらいたい傑作なのに、な〜んで真夜中なの?ってことで、見逃した人へ、鑑賞のお薦め!です。

●あらすじ

 クリスマス・イブの晩。教会では、聖誕劇が上演されている。ホームレスの三人組、ハナちゃんとギンちゃん、居候の家出娘ミユキは、イブの炊き出し目当てで教会にいた。今日はキリスト様の生まれた日、「マリア様がバージンでご懐妊するくらいだもの!アタシだってママになれる!」と、オカマのハナちゃんは、可愛い赤ちゃんを抱くママを夢見ている。

 夢見るオカマ、ハナちゃんに奇跡が訪れる。ハナちゃんが目をつけていたゴミ捨て場に、可愛い赤ちゃんが捨ててあったのだ。「神様からの贈り物」だと大喜びのハナちゃん、しかしギンちゃんは「警察に届けろ!」と言う。ミユキは赤ちゃんがホームレスに育てられるのか?不安ながら、目先の食い物のことが心配だったりする。 ブルーのビニールシートと段ポールで出来た公園ハウスに赤ちゃんを連れ帰ったハナちゃん。虎の子の現金でミルクと紙オシメも購入をミユキに頼む。

 ミルク購入の帰り道、ゴミ捨て場には大量のコンビニ賞味切れ食品が捨ててあった。「大漁!」と大喜びのミユキは古本を拾っているホームレス仲間とぶつかる。道に散乱した古本の中には、育児書があった。おにぎり二個を置いて、ミユキは育児書を持ち帰る。

 赤ちゃんは清子と命名された。しかし、ギンちゃんは「警察に届けろ」と言うが、赤ちゃんと少しでも長くいたいハナちゃん「私達の手で、ママに返す」と言ってきかない。ギンちゃん、ハナちゃん、ミユキのホームレス三人組は、赤ちゃんキャリー・バッグに入っていたコインロッカーの鍵を手がかりに、赤ちゃんのお母さんを探すことになる。超過料金の支払い、開けたコインロッカーには、写真とスナックの名刺が入っていた。

赤ちゃんのお母さんは見つかるのか?>>>つづきはDVDでどうぞ!

TGF集合L

 東京に住んでいた頃、ホームレスはほとんどいなかった。東京に通勤するようになり、だんだんホームレスを見るようになった。中央線でいつも会うレゲエのオジサン、彼は今も、生きているのだろうか?

 その頃、東京駅の通路で、上着を捨て、ポケットの小銭を捨て、靴も脱ぎ捨て、ふらふら歩くサラリーマンを見た。今からホームレスになるのではないだろうか…確信に近いような気持ちになった。数日後、新宿駅のダンボールハウスで真新しいスーツ姿の男性が眠っていた。東京駅の男性を思い出した。

 ある時、家を捨て、名前も捨てる人達がいる。

◆◆◆

 今監督はムサ美視覚伝達デザイン出身。アニメーション畑出身の作家さんとは、ひと味違う感性の持ち主だ。本作では家出少女のミユキが(一応)ヒロインだが、彼女はまったく可愛くない(笑)。観客のコビない彼女は、目を剥き、肩で息をしながら、幾重にも着た防寒具で画面の中を走り回る。

 オープニングのタイトルバック、東京の街、神田から新宿に向かうバス通りに似た町並みをカメラが嘗めるように移動する。細部まで描かれた東京の街は、リアルで楽しい祝祭感に溢れている。その町並みにキャストの名前が紛れ込み、その文字を追っているうちに、観客はリアルな物語の世界にぐんぐん引き込まれていく。

 『パーフェクト・ブルー』『千年女優』と、いつも優れた作品を発表している今敏監督だが、本作には生の空気感があり、人の汗臭さ、血の温かさを感じる作品となっている。

◆◆◆
TGFポスター
 オカマのハナちゃんも、自称もと競輪選手のギンちゃんも、家出娘のミユキも、みんな訳あり、一般社会での住処を失ったマイノリティだ。訳あり部分は、皆話していない。話せない事情があるからこそ、彼等は、住所不定を選んでいる。

 東京都の段ボールハウス強制撤去が始まり、多くの段ボール村が縮小された。上野公園の西側に一角からは完全に姿を消し、都美術館前の林の中に、わずかに残っているばかり。増加と撤去を繰り返しながら、彼等は寒い冬を過ごすことになる。

 日本には、「生活保護がある。」「生活の最低限は100%保障されている」と自治体は言う。浮浪者や、段ボールで棲む人は見えない日本人と言うことになる。しかし、実際は、家賃滞納の中、団地で餓死する人、路上で死ぬ名前も判らない人、多くが人権の最低限も保護されず死んでいく。最近も若者が年老いたホームレスの女性を殺害。ホームレスの多くは、なんらかの障害があり、自治体との交渉は困難だ。第一住所不定者には、公の助けはない!(窓口は地方自治体)

 映画の中でも、ギンちゃんは無軌道な若者に“大掃除”と言われ、リンチに合う。ハナちゃんが、病気で倒れると、健康保険に加入していないハナちゃんは実費で¥30000近い治療費を請求される。3日路上で眠ると、服にシラミが棲み付くそうだ。私はシラミなんて見たことがない(!)。

◆◆◆

 上記したように、この『東京ゴッドファーザーズ』は社会の最下層、日本にはいないはずの人たちの物語だ。その弱書に注がれる監督の目はとびきり優しい。物語が進むにつれ、普通に生活している一般人の危うさが、描かれる。一戸建ての家を立てても、火事で焼失、結婚式に銃で撃たれるヤクザ、娘の可愛がっていた猫を捨ててしまう母親、可愛い娘に刺される父親etc.

 箱を開けると、また箱が入っているように、物語は重層的に組み立てられ、薄紙を剥ぐようにだんだんと真実が明らかになる。この物語が大いなる虚構なのは、物語を覆う“神”の存在だ。赤ちゃんの清子には、偉大なガーディアン・エンジェルが温かい翼を広げている。描かれないのだが、その存在の温かさに、観客はほっと、「こんなことがあっても良い」と、元気の素を貰えたりする。

◆◆◆
TGF集合S ←クリックで拡大します

 若者にリンチに合い、なんとか取られた金を取りかえしたギンちゃん。瀕死で路上に倒れていると、綺麗な女神さまが現れ言う「私の魔法と、救急車、どっちが良い?」勿論、ギンちゃんは「救急車」と答えるのだ。

 リアリストが出会う奇跡の物語。見事は織物のように組み合わされた伏線の数々は、最後の見事なエンディングへと、観客を誘ってくれる。

 クリスマスの晩、家族と一緒に見る映画の定番!
 何度見ても面白い!デス。

※クリスマス映画なので、12/1に移動しました。

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1. 目の病気で白内障って知っていますか  [ 私の稼げる情報・気になる情報 ]   December 04, 2006 19:18
目の病気もいろいろな種類がありますが、身内でわずらった人でもいない限りはなかなかどんな病気かはわからないものですね。でも目の病気も最悪の場合には重大な結果となるので、あらかじめよく勉強しておきましょう。白内障について簡単に解説します。
2. 今日は子供と公園  [ 子育て日記 ]   December 05, 2006 14:44
子供と近所の公園に行ったよ。新しい洋服を買ったりして、他のお母さんたちとおしゃべりしたりして楽しかったよ。
3. 赤ちゃんは何を伝えようとしているの?  [ 赤ちゃんは何を伝えようとしているの? ]   December 13, 2006 15:39
話せない赤ちゃんの気持ちがわかったら、どんなに子育てがスムーズになるでしょう!新米お母さんたちの悩みを解消するために、乳幼児の心の秘密を解き明かしていきます。胎児から乳幼児の子育てにとても大切な22のアドバイス。

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