December 27, 2006

ホラーに隠れる、病院崩壊の危機!!/『感染』佐藤浩市主演3

感染

●感染●
●監督/脚本;:落合正幸
●出演;:佐藤浩市/高嶋政伸/星野真里/羽田美智子/南果歩/ 
    佐野史郎/木村多江/モロ師岡
●DATE:日本/東宝 2004/10/02公開

クリスマス気分の残る26日の未明、TBS系で放映。年末のこの時期に、「なんで?」って感じの、興醒め系なホラー映画なのだが、これが、意外や意外、現在、医療が抱える問題を予言していて面白かった。

●あらすじ

 老朽化が進み、荒れ果てた雰囲気の漂う病院。5人の医師と4人の看護士が勤務していた。この病院は、経営危機に陥っていた。医師や看護士は次々辞め、現在勤務中の医師たちも悩んでいた。しかし、彼等は十分な医薬品や医療器具の無い中、懸命の治療を続けていたのだ。転院出来る患者はすでに移動し、残っているのは、認知症の老婆と、全身火傷で身動き出来ない男性だけだった。

 その晩は、医薬品も底をつき、この病院の最後を感じさせる日だった。そこに救急車が緊急の患者を搬送してくる。医師は治療体制が整っていないことを理由に、患者の受け入れを拒否する。患者は高熱で一刻も待てない状態だった。救急隊員との押し問答を続く。

 その頃、身動き出来ないはずの火傷の男性がベッドから落ち、危険な状態になっていた。医師と看護婦は必死に蘇生を試みるが、看護婦が間違った点滴薬を処置、男性は死亡する。「医療ミスで死亡事故が起きた」なんとか院長に連絡したくても、連絡がつかない。医師たちが下した決断は、隠ぺい工作だった。死んでいる患者の腐敗を速め、投薬した薬が分解されるのを待つつもりだった。

 そんな騒ぎの中、断ったはずの救急患者がロビーに放置されているのが発見される。男性は未知の感染症に罹患しているらしく、身体に筋肉、内臓はすでに解け、緑の液体が身体から滲みでている状態だった。感染力の分からない危険なウィルスが予測される。、急いで「保健所と関連官庁に連絡を」と云う医師に、仮眠をとっていたと云う古参の医師が「学会に報告すれば第一発見者として注目される」「今、警察がここにくれば、あの火傷の患者のことが問題になる」と云うのだった。しかし、すでに、感染は病院中に広がっていた。看護士たちの様子がおかしくなっていく…。つづきはDVDで!

感染集合


 病院は大嫌い!!と思っている。

 この作品の病院は、老朽化して、廊下や病室が薄暗く、陰気な雰囲気が漂っている。もうそれだけで怖い!!そこに顔色が悪いように緑を強めたコントラストの強い夜の病院のシーンが追い討ちをかける。とどめは、ず〜っと流れている耳ざわりな効果音とBGM!気の弱い人、病気の不安のある人は神経症の発作を起こしそうになるので、本作は絶対見ない方が良い。

 しかし、出演者が豪華!何をやってもカッコイイ佐藤浩市さんを始め、怖い役をしたら、すご〜く似合う南果歩さん、他、芸達者で、主役級の俳優が揃っている。看護婦さんが注射器を持っているだけで怖いのに、未知の病原体の恐怖!認知症の老婆が鏡を話す恐怖!誰もいないのに揺れるブランコ…。力作と云うか、お化け屋敷状態に、トラブルがつづく。ホラー好きには、中々楽しい作品かも(笑)。

◆◆◆

 ホラーとして、絵空事として見ると単純に怖いだけだが、この『感染』は実に今日的な問題を呈示している。

●過重勤務・過労に起因する医療ミス
●看護士、医師の引き抜きによる病院経営の悪化
●病院倒産の危機
●ウィルス感染症の恐怖(鳥インフルエンザやノロウィルス)

 『感染』での病気のモデルはエボラ出血熱のように思う。このウィルスは小型のサルを宿主として、ジャングルの奥地に潜んでいた。このウィルスが変異し、ゴリラが大量死している。ゴリラはより人間に近いDNAを持っている。このウィルスがより人間に感染を求めたら?数日で死に至り、特効薬のないこのウィルスでアフリカに棲んでいる人類は消滅してしまうかもしれない。

◆◆◆

 数日前、10年ほど前の大ベストセラー『脳内革命』の著者春山医師の病院が倒産した。放慢経営もあるのだろうが、彼の病院も看護士、医師の引き抜きがあり、それを挽回するために高額な治療機械を購入したのが、決定的な原因になったらしい。より看護士、医師の数の多い病院が、医療報酬を高く設定出来るように法改正された。それが原因で、中規模病院の経営難が深刻化している。

 それが顕著に現れているのは、産婦人科、小児科、脳神経外科などだ。特に産婦人科と小児科は、深刻な医師不足が起きている。病院のハイリスクの回避や、少子化が原因だ。医師間の格差も大きい。勤務医の求人では医師給与は引き下げられ、都立病院では10年経験の医師で月給50万とのことだった。開業医と比較して、年収で500万円低いそうだ。

 医療はどんどん進歩している。医療の恩恵は本来平等であるべきものが、高度医療の高額化により、十分な医療が受けられない老人が増えている。幸せな臨終は、誰もが望むこと。だが、現実は違う。

 医療の持つ問題は多角的に深刻化している。医療の明日はどこに…?

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moondrop_aco at 02:44 │Comments(0)TrackBack(0)邦画系  |  映画(あ・か行)

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