January 31, 2007

スケール感は圧巻!陰惨と滑稽のMIX味!/『どろろ』妻夫木聡主演5

どろろ

●どろろ●
●監督;塩田明彦
●原作;手塚治虫(少年サンデー掲載)
●出演者;妻夫木聡/柴咲コウ/瑛太/原田美枝子/中井貴一/原田芳雄/土屋アンナ/
     杉本哲太/麻生久美子/劇団ひとり/寺門ジモン/中村嘉葎雄 ほか
●公開;2007年1月27日 140分
●イメージ;(c)2007どろろ製作委員会

 今月最後の映画鑑賞は『どろろ』。白黒のアニメを断片的に覚えている。おばあちゃんの家のTVで一人で見ていた。親には禁止系番組だったのかもしれない。アニメ版に出てくる妖怪“金小僧”が怖い!“金気からでる毒が妖怪化”は、ヤバイことに刷り込みされた。その後、お金に縁のない運命を歩くことの一因となる(汗)。

●あらすじ

 遠い未来とも、あるいは過去なのか?時は賢帝歴3048年。何処とも知れぬ東の果ての国のこと。

 世は乱世、大地を屍で埋め尽くす合戦が続いていた。隣国との戦いに勝った醍醐景光は、手傷を負ったまま、48体の魔像を祀る地獄堂を訪れる。「この魔像を彫った仏師は狂い死した」と、住職が言う。一人堂の中、景光は魔像に願をかける。妻の胎内に宿る自分の子供を差し出すかわりに「天下統一」を願ったのだ。景光の願いは聞き届けられた。契約の印を景光の額に刻み、魔物は飛び去って行った。景光は住職を殺害し、地獄堂に火を放つ。

 20年後、諸国で妖怪を倒す謎の男がいた。そして、無法者が集う砂漠の町には、手癖の悪い泥棒がいた。泥棒は、今日も酒場で遊ぶチンピラの財布を狙い、逃げ回っていた。同じ頃、異国の踊りを披露する酒場で騒ぎが起こる。若い男が、急に舞台で踊る女に切り掛かったのだ。女の姿は見る見る巨大な蜘蛛に変わった。若い男は腕を外すと、そこには刃が仕込まれていた。見事妖怪を倒した男の戦いを、さきほどの泥棒は偶然に見ていた。散り散りになって消えた妖怪、突然苦しみだした若者の足が外れ、そこから新しい足が生えてくる…。

 酒場を出た泥棒は、若い男の生い立ちを旅の琵琶法師に聞く。

 呪医師の寿海が、川で奇妙な赤ん坊を拾う。目も見えず、耳もなく、声もない、手足も内臓もない赤ん坊。不憫に思った寿海は、体を作ることにする。戦乱の犠牲になった子供たちの屍を集め、秘術を尽くし体の部分を作っていった。赤ん坊には妖怪の気配が付きまとっていた。ある晩、旅の琵琶法師が寿海の家を訪れる。妖気を感じた琵琶法師は、寿海に妖怪退治の魔剣“百鬼丸”を渡す。寿海は少年の腕に、刃を仕込むことにしたのだった。寿海は愛情を尽くし、言葉を教え、武術を教えた。いつしか、赤ん坊は五体の揃った少年に育っていった。

 赤ん坊が青年になった頃、呪医師は死んでしまう。彼の遺言は「景光の手に呪医の技を渡してはならない。家を焼け」「お前の父ではない…」だった。寿海の遺言どおり家を焼き払う青年の心に謎の言葉が響いた。「失った体の部分を見つけたい気持ちさえあれば、妖怪のいる場所に連れていってくれるだろう」。

 若者の生い立ちを聞き、泥棒は若者を追う。若者の名前を聞くと若者は「百鬼丸とも、どろろとも」と答えた。それから泥棒は自分の名を“どろろ”とすることになるのだが、それが二人の旅の始まりだった。>>>つづきは映画館でどうぞ!

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どろろ/2



 冒頭は、とんでもなく陰惨だ。『エクソシスト ビギニング』の中の十字軍の全滅を彷佛させる見渡す限りの屍!!コントラストを強く画像処理された色彩は、赤と黒を貴重にしている。♪赤は血の色〜黒は罪の色♪は、プリンプリン物語のヘドロの歌う唄だが、ニュージーランドの大地を血に染めたオープニングは圧巻!エキストラが白人系なのか?騎馬武者は皆、仮面を着けているので、これがまた無気味。

 原作ではベルリンの壁をイメージした“壁”が出てくるが、映画版ではエピソードには噛んでいない。しかし壁の立つ大地のスケール感や、随所で出てくるニュージーランドロケ風景は、無国籍風なSF感が出て、グローバルなイメージの広がりがあった。衣装や、クリーチャーデザインはチャン・ドンゴン主演『プロミス』の正子さん。彼は素材や衣装の色彩計画が緻密で、すごく良い。なんと正子さんは手塚さんの孫弟子になるそうだ。

 予算は20億円とのことだが、建築関連がよく作り込まれていた。町等のセットだが、ありがちなチープな感じになっていない。少し「迷いを感じたのか?」と思ったのは醍醐城。イメージ元は織田信長の安土城だろうが、内装関連が、チャイナ風と西洋甲冑!?なかなか無国籍風は難しい…。

◆◆◆

 原作者の手塚先生は、当時人気だった白土三平さんの『カムイ伝(戦国の百姓の苦しみを描いた)』や、水木しげるさんの妖怪ものに想を得て、『どろろ』を描いたそうだ。『どろろ』の語源は『どろぼう』らしく、ここは映画の設定と少し違う。製作発表の時、どろろ役が紫咲コウさんと知って、どんなどろろ!?なるのか、少し悩んだ。原作のイメージは、もっと幼い。当時、アニメの最後の方まで女の子だとは判らず、けっこう真相を知ってショックだった。

 妖怪映画は日本映画の定番。妖怪退治はお子ちゃま向けのイメージだが、本作はR12指定だ。良い子はお友達同士では映画館には行けない。この指定は若干疑問。無分別で流される、刺激の強いニュース映像や、日々の猟奇事件報道の方が、よほども怖い!!

◆◆◆

 百鬼丸とどろろが力を合わせ妖怪退治をするシーンはラテンの音楽に乗って軽快!VSX、CGクリーチャーに加え、日本伝統の着ぐるみ系の妖怪が登場する。これが、お茶目で笑える。巨大キューピーの死霊集合体は、怖いのか?、笑わせたいのか?微妙で可笑しい。

 妖怪との戦いは中国系のアクション監督の手腕が光る。軽快なワイヤーワーク・アクションで、空中シーンが楽しい。個人的に好きな妖怪は、万代の家の子供蚕(かいこ)妖怪。妖怪姿はモスラ、化けている時は、可愛い女の子だ。市松人形のようなおかっぱで、同じ顔をした7姉妹(?)は、我が家にも一体欲しい(嘘)。

 長い140分だが、多くのエピソードが、上手く噛み合っている。手塚治虫氏への深いリスペクトを感じる作品だ。続編で「どろろの背中の秘密編」を作ってくれると楽しい。

 退治していない魔物、まだ24体!!

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この記事へのコメント

1. Posted by サラリーマンA    January 31, 2007 07:52
おはよう御座います。私事ですがしばらく青森で仕事だったのでアコさんのブログ見れませんでした。(;_;)。
私もどろろはとても見たい映画の一つです。アコさんの解説を読んで・・・今から期待が大きくなってしまいます。
2. Posted by 晃弘    February 01, 2007 16:12
こんにちは。
オレメデアの晃弘です(^_^)
記事とは関係ないことで恐縮ですが、おかげさまで、投稿記事数800を達成しました。
それに伴い、新しいことも始めていこうと思います。
オレメデアからリンクを張らせていただいたほか、今までたくさんお世話になりました。
これからもよろしくお願いしますm(__)m

どろろ、今度記事にする予定です
3. Posted by A・C・O    February 10, 2007 22:42
こんばんは!サラリーマンAさま

『どろろ』もう見ましたか?日本映画ばなれした感じと、懐かしい妖怪映画の雰囲気なあってとても楽しい作品でした。英会話教室で『どろろ』の話しをしていたらアメリカ人の先生が『ホラー映画!!』と変な顔をしてました。^^&^^。説明するとホラーになってしまうのかな???
4. Posted by A・C・O    February 10, 2007 22:44
こんばんは!晃弘さま

記事800エントリー達成おめでとうございます!こちらこそいつもお世話になっております。これからもよろしくお願いします。

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