February 08, 2007

詩と酒と女、放蕩と自由の極道は正直しんどい!?/『リバティーン』5

リバティーンP

●リバティーン(THE LIBERTINE)●
●監督;ローレンス・ダンモア
●脚本;スティーヴン・ジェフリーズ
●出演;ジョニー・デップ/サマンサ・モートン/ジョン・マルコヴィッチ/
    ロザムンド・パイク/トム・ホランダー/ジョニー・ヴェガス 他
●製作年度 2004年 イギリス 110分 DVD発売日2006年11/24
●イメージ;(C)2005 STANLEY(IOM)PRODUCTIONS

 風邪がまったく抜けない(汗)。花粉症の季節も重なっているので、春先は若干気が重い。最近、思考停止で、父の見る極道映画のおつき合い、哀川翔さんの顔を毎日見ている。深夜一人で、本作『リバティーン』を見た。高崎109シネマズ未上映。DVDの発売を待っていたのだ。未上映には訳がある!?R15!!な問題作…。

●あらすじ

ジョン・ウィルモットの独白

初めに断っておく。 諸君は私を好きになるまい。 男は嫉妬し、女は拒絶し、物語が進むにつれてどんどん私を嫌いになる。 淑女たちに警告。私はところ構わず女を抱ける。 紳士諸君も嘆くことなかれ。私はそっちもいけるから気をつけろ。 私はジョン・ウィルモット、第二代ロチェスター伯爵。 どうか私を好きにならないでくれ。

 1660年代。清教徒革命で長く国外追放されていたシャールズ2世が王座に戻った英国。王は、科学、芸術、性愛を多いに奨励した。しかし、その反動もあり、社会は退廃の香りに覆われることになる。王の悩みは尽きない中、王には才能を嘱望する若き詩人がいた。ジョン・ウィルモット、第二代ロチェスター伯爵、彼は王宮で卑猥な詩を披露し、ロンドンから追放されていた。

 物語は、彼がロンドンに戻るところから始まる。郊外の領地には信仰深い母、莫大な財産を相続した女貴族の妻がいた。母はジョンに「ロンドンに不馴れな妻に配慮を」と言う。ジョンは「母と妻には心から仕えます」と答えるが、信仰深い母は「神に仕えなさい」と諭す。ジョンは無神論者だった。ロンドンに戻る馬車の中で、むつみ合う二人は幸せそのものだった。

 なじみの酒場に足を運んだジョンに、旧友たちは彼の王宮での不作法を語らせ、多いに盛り上がる。その足で、王や貴族が足を運ぶ劇場へ行くのだが、その道すがらジョンは主人の金を盗み殺されそうになっている下僕を救う。「身なりを整え、劇場に来るよう」に大金を下僕に渡すジョンに、友人たちは「戻ってはこないだろう」と言うのだが、ジョンは気にもかけない。下僕は“オールコック”と名乗り、ジョンの終生、忠実な下僕となる。

 劇場では、新人女優エリザベスが観客のブーイングに合っていた。感情のない棒読みの台詞、生来の魅力を台なしにする白塗りの化粧、彼女はまったく魅力のない女優だった。しかし、ジョンの目は彼女の中に潜む、強烈な上昇指向を見抜いていた。ジョンは新しい玩具のようにエリザベスを大物女優にする遊びに熱中する。酒と娼婦遊び、女優の間を揺れ動くジョンに、妻は田舎に戻ってしまう。

 王は芝居に熱中するジョンを見て、フランス大使の歓迎式典の1つとして、シェークスピアにも負けない戯曲を書くように命じる。しかし、それは…。>>>つづきはDVDでどうぞ!

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リバティーン/1

   

 今回、D・デップは、脚本の最初の三行を読んだだけでこの仕事を快諾したと言う。おそらく映画の冒頭の独白部分だろう。「私を好きにならないでくれ」と言い放つ不遜な無頼漢!この悪党は実に魅力的だ。D・デップは救いようのない無頼漢の魂の嘆きを見事に演じている。

 王を演じるのは名優ジョン・マルコビッチ、舞台ではマルコビッチがウィルモット卿を演じていたそうだ。映画化にあたって33才で死んだウィルモット卿を彼が演じるのは年齢的に無理。主演をD・デップに譲っている。妻役は『偏見とプライド』のロザムンド・パイク。泰西名画から抜け出たような陶器のような肌が美しい!

 別に全裸や、濃厚なセックスシーンがある訳ではない。しかし、これは誰かと一緒に見ない方が良い。勿論、家族一緒に見るなど論外だ(笑)。無理解な批判は、物語の本質を見失ってしまう可能性がある。私はこの映画を誰よりも亡き澁澤龍彦先生(フランス文学者、サド裁判被告)に見て貰いたいと思った。圧倒的なエロスの底に流れる女性礼讃!キリスト教規範に徹底的に反発する自由!この精神は、近代文学の発芽に他ならないのだ。

◆◆◆

 ウィルモット卿の生きた時代は、昨年ヒットした『V・フォー・バンデッタ』に登場するガイ・フォークスの時代に近い。その中で、バイセクシャルでポルノグラフィーを発表するジョン・ウォルモットは、よほどの変わり者か?確信犯に違いない。

 ヨーロッパはカソリック勢力とプロテスタント勢力、王党派の三つ巴の戦乱に国土は疲弊、大航海時代に持ち込まれた梅毒の蔓延、民衆は貧困に喘いでいた。その中で、放蕩を繰り返しながら、エロスと諷刺に満ちた詩作を発表したジョン・ウィルモットは、不道徳なバカ貴族(金に困って偽医者=不妊治療)!?極めて異端の人物と言える。彼が、安穏とベッドの上で終油の受けて死んだことが信じられない!だって、少し前のヨーロッパは、魔女狩りが横行する狂信的な中世だったのだから。

◆◆◆

リバティーン/3

 イギリス(イギリス国教会)はアメリカ(プロテスタント)に比べ、ユーモアの質が違うように思う。『モンティ・パイソン』や『オースティン・パワー』などのおバカものは、イギリスギャグの典型だ。その基本は、お下品であり、下ネタ。だが、この風土には精神的な背景がある。それは人間礼讃のルネッサンスと同じ、自由の獲得への反骨主義なのだ。

 中世、カソリックは徹底的な禁欲、禁快楽を一般市民に説く。だが、法王庁の中は、権謀策略の渦巻く伏魔殿。ヨーロッパの王族の心はローマからだんだん離れていく。17世紀初頭、イギリス、フランスの王族は、王権神授説を唱え、王の自治権を確率しようとするが、それの背景の1つに、巨大化していた教会の支配との決別だった。その視点で見る『リバティーン』は、最後の議会での彼の演説が心に滲みる。 

 左上は、ジョン・ウィルモット(John Wilmot, 2nd Earl of Rochester)の肖像画だ。少し女性的な雰囲気が漂い、彼が極めて美しい男性だったのが忍ばれる。女性も男性も、王も下僕も、誰もが皆、平等!その精神はどんな形で表現されようと、輝きを失わない。映画だけの鑑賞では判りづらいが、近代化への社会的は背景を考えるには最適な一本。大学だったら講議(ヨーロッパ史)に使えそうだが、高校じゃやっぱり無理だよね(笑)。

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この記事へのコメント

1. Posted by cyaz    April 13, 2007 08:31
TBありがとうございましたm(__)m

ジョニデもマルコヴィッチもこの映画では少しイマイチ感が残りました・・・。
最近、gooの具合が悪いようでなかなかTBが反映されません。
調査を依頼しているのですが返答がないままです。
というわけでURL置いていきますm(__)m
http://blog.goo.ne.jp/cyaz/e/8739ef03cc43901f0dcfe519cb09f51b
2. Posted by 悠雅    April 13, 2007 15:19
こんにちは。TBありがとうございます。
わたしもcyazさんと同じく、TBが反映されないようです。
livedoor同士でも、どうも相性が悪い場合があるようで残念です。

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