March 17, 2008
少女マンガ風!怖いより、哀しいホラー/『鬘 かつら』

●鬘 かつら●
●監督・監督;ウォン・シニョン
●脚本;ド・ヒョンジョン
●出演:チェ・ミンソ/ユソン/パン・ムンス/サ・ヒョンジン/ソイ/シン・ヒョンジョン/ソ・ジュソン/イ・ユニ/ナ・ヒョンジュ 他
●DATE;2005年 韓国映画 102分
4月になり、強風が吹く。檜の花粉がピークらしく、見事に発熱頭痛している。普通ならお医者に行くのだろうが、こういった体質病は劇的に快癒する訳でもない。発熱頭痛と仲良くするのも手だ。花粉症も『蟲』の一種かも(笑)。引き続き、春のホラー特集〜!デス。
●あらすじ
白血病に冒されたスヒョンは抗癌剤の副作用で髪を失ってしまう。回復の見込みのない妹、自宅で最後の日々を過ごさせようと、姉のジヒョンはスヒョンを退院させる。ジヒョンはいつも深く帽子を被る妹に美しい鬘をプレゼントする。鏡の前で、鬘を被るスヒョン、鏡に映る顔は生気に満ち、見違えるように美しい。自分の美しい姿に、元気になったように感じるスヒョンだった。死期を自覚しているスヒョンは最後の日を明るく元気に過ごそうと心に誓う。スヒョンは父のカメラを手に、姉ジヒョンを誘って幼い頃の思い出のある港へと行くのだった。
ジヒョンはガラス工芸作家、姉にはアーティストの恋人ギソクがいた。数カ月前のこと、ジヒョンは作品展の自分の作品の前でギソクを待つが彼は来ない。その帰路、ジヒョンは不可解な交通事故で声を失う。そのジヒョンにギソクは理由言わず別れを告げる。ギソクは妹スヒョンが「死ぬまでは今までどおりに」と言うのだった。
ギソクが家に来た日、スヒョンはギソクを「先生」と呼び、甘える。それを見て複雑な思いをするジヒョン。ギソクは何か事情を隠しているように、そそくさを帰ってしまうのだった。どんどん元気に美しくなる妹、声を失い、恋人を失ったジヒョンはギソクを忘れることが出来ないでいた。
ある晩、友達のギョンジュが、泣きながらジヒョンを訪ねる。夫が浮気したことで落ち込んでいたのだ。丁度、スヒョンは入浴中で鬘が置いてあった。ギョンジュは魅入られたように鬘を被り、出て行ってしまう。鬘が無くなったスヒョンは元通りの重病人になって苦しみ出す。翌朝、鬘はスヒョンの元へと戻っていた。だが、ギョンジュは夫と…。>>>つづきはDVDでどうぞ!
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人毛の鬘は身近なアイテムではない。人毛のウィッグは高級品だが、他人の髪の毛を自分の頭に乗せるのはなんとなく複雑な気分がする。市松人形の修理で人毛素材を購入する。使うのは、美容院用のエクステンションで、綺麗に加工されたもの。しかし、よく見ると白髪が混ざっていたりする。古い市松人形の髪はすべて人毛、エクステンションの素材より太く、白髪も多い。80年前に作られた人形の髪の毛、もう、この世にいない人の髪の毛…。ふふふ。。。なんとなく怖いでしょう〜???
と、本作『鬘』の人毛ウィッグは、それだけで怖いホラー・アイテム。「死んだ人の髪の毛が売られている」は都市伝説風だが、実際はどうなのだろう?50cm以上、髪を伸ばすのは最低でも4年以上かかるはず。中国には髪を売るために髪を伸ばしている女性が数十万?人以上いることになる。(本当にいる!)どんなヒトの髪だか?謎だし、怖い(笑)ヨネェ〜。と、脱線してしまったが、「髪は女の命」がモチーフのこの映画は、哀しい3つの愛の物語でもある。姉妹、ギソク、そしてもう1人…。
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古風な少女マンガのようにストーリーは流れる。『マーガレット』より『なかよし』な気分。楳図 かずおより、古賀新一風、間違っても伊藤潤二じゃない(笑)。不治の病に余命いくばくもない妹、不慮の事故で声を失った姉、芸術家の元恋人、設定だけでもフジTV系お昼のメロ・ドラマ風(牡丹と薔薇とか)。大抵はわがままな妹だが、本作の妹はとっても良い子だ。重病なのに、健気に頑張っている。そこら辺が微妙にホラーから離れているが、良い子は韓国のお国柄(チャングムとかネ)なのかもしれない。怨霊、悪鬼、妖怪、悪魔etc。、純粋悪なものは何も登場しない。物語は、極めてウェットな東洋的因果の糸にからめ取られている。
ネタばれしてしまうので、あまり書けないが、こけおどしの音楽も控えめ、怖いシーンはない。怨霊より、病気で髪を失った妹の痩せた背中が痛々しいし、声を失い、会話出来ない姉のもどかしさも哀しい。腹が立つのは優柔不断で何も言わない元恋人のギソク。何故?ギソクが何も言わないのか?そこが物語の鍵になる。
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映画の冒頭に鬘が原因の死亡事故がインフォメーションされる。それと本筋の関わりが曖昧だ。最後はあっけに取られる結末!。本作で一番怖いのは『恋』に狂うことなのかもしれない。
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