May 30, 2007

“淡い恋心”って!?幻想の心地よさ/アニメ版『時をかける少女』5

時かけ/1


















●時をかける少女●
●原作;筒井康隆
●監督;細田守
●脚本;奥寺佐渡子
●アニメーション制作;マッドハウス
●出演;仲里依紗 /石田卓也 /板倉光隆 /原沙知絵 /
    谷村美月 /垣内彩未 /関戸優希 他
●DATE;(c)時をかける少女制作委員会2006/日本/100分
●受賞;第39回シッチェス・カタロニア国際映画祭
    アニメーション部門(Gertie Award)最優秀長編作品賞/
    第11回アニメーション神戸賞 作品賞・劇場部門/第31回報知映画賞特別賞/
    第10回(平成18年度)文化庁メディア芸術祭アニメーション部門大賞/
    第30回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞/他多数

 群馬では伊勢崎MOVIXのみの上映だったかもしれない。同時期に上映の『ゲド戦記』のような派手な前宣伝はなかったが、公開当初から抜群の好評価を得て、昨年のアニメ系の賞を総なめした作品。原田知世さん主演の大林版『時をかける少女』の印象が強く、なんとなく未見だった。レンタルにて鑑賞。

●あらすじ

 紺野真琴17才、それほどバカじゃなく、不器用でもなく、普通の高校二年生。4月に転校してきた間宮千昭と幼馴染みの津田功介と、放課後に野球ごっこをするのがもっぱらの毎日。まだ将来のことも考えられない、のどかな日々を送っている。

 7月のある日。その朝、真琴は寝坊した。昨日は大事にとって置いたプリンを妹に食べられ、今朝は遅刻しそうだ。そんな忙しい朝に母は、真琴に桃を渡し、独身の叔母への使いを頼む。学校に着いた真琴を待っていたのは抜き打ちの小テストだった。結果は最悪!悪運はそれだけではなかった。家庭科の調理実習では、ボヤ騒ぎを起こし、昼休みに歩いていればプロレスごっごの男子が飛んでくる。小テストの結果は最悪の7点!その上、日直でクラス全員のノートを理科室まで運ばなくてはならない。無人の理科準備室では、どじって転んでしまう。この悪運はそれだけではなかった。

 学校から駅に向かう道は、急な下り坂になっている。叔母への桃を持ち、急ぐ真琴の目の前の踏み切りは赤信号だった。急ブレーキをかける真琴、しかしブレーキが壊れていた。真琴の自転車は電車通過中の踏み切りに突っ込んでいく。このままでは死んでしまう…。その時、>>>つづきはDVDでどうぞ!

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 この作品は『時をかける少女』の20年後の続編になっている。前作の主人公芳山和子は真琴の叔母。芳山和子は絵画修復の専門家として、上野の国立博物館に勤務している。前作は未来から来た不思議な少年とラベンダーの香り、スキップするように繰り返されるタイムトラベルの描写はどこかミステリアスでストレンジな雰囲気だったが、本作は初夏の入道雲が似合う爽やかな作品に仕上がっている。唯一、芳山和子だけが前作のミステリアスな雰囲気を引き継いでいるだけだ。


時かけDVD アニメーション制作は“マッドハウス”。押井守監督の“G.I.”と共に、日本を代表する制作会社だ。真琴たちのキャラクターデザインは『新世紀エヴァンゲリオン』の貞本義行さんが担当。貞本さんが描く9頭身の登場人物は、どこか中性的、『新世紀エヴァンゲリオン』の危うい色っぽさは今回はない。

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 二人の男の子と女の子。この図式は『タッチ』他、アニメには定番の人間関係だ。恋人未満の青春の一コマ、繰り返し描かれるテーマ、それに名作『時をかける少女』にのっかっている。“タイムリープ”と云う超能力を得たにも関わらず、主人公真琴のすることは、実に卑近で日常的なものばかりだ。「妹に食べられたプリンを先回りして食べてしまう」「赤点のテスト前に戻り、満点をとる」「調理実習でどじを踏まない」「焼肉を食べる」「lカラオケを歌いまくる」etc.。それを知った叔母は「あなたのしたことで誰かが不幸になっているんじゃない?」と云うが、有頂天の真琴にはそれが理解できない。その意味では、真琴と云う女の子は極めて今日的だと言える。シリアスは避けて通り、リアルに実感がない。

 本作の“タイムリープ”は、タイムパラドックスとは違う因果応報を罠として仕掛けてある。調理実習の失敗を、真琴に替わりにする男子クラスメートは、それがきっかけでイジメに遭い大騒動を引き起こす。踏み切りで死ぬはずだった真琴の身替わりは真琴の大切な人だったり…。物語の前半、真琴の“タイムリープ”の乱用はバカバカしく、物語を退屈にしている。後半、叔母の言葉を理解した以降の真琴は、「時間を思いのままにすることの難しさ」を悟ることになるのだが、そこがこの物語のテーマとなるのだろう。

◆◆◆

 物語はまったく違うが、本作はジブリ作品『耳をすませば』のDNAを感じる。私鉄が走る郊外、遠くの高層ビル、図書館、グランド、ボーイッジュな女の子、片思いのクラスメート、医者一家の息子、小人の出るからくり時計etc.。『耳をすませば』では中3で進路に悩むが、10数年の時を隔てた『時をかける少女』では、高2で進路を悩むことになる。それだけ世の中からシリアスが減ったってことかもしれない。

 リアルは時代とともに変容しつづける。しかし、青少年の“淡い恋心”って幻想は、時代を超えて物語のテーマとして生き続ける。『“恋愛心理”は種の保存の前段階』と云うリアルは、爽やかな青春には似合わない。素敵な思い出を作るのは、恋愛未満が良いのだと思ったりするのだ。

 真琴の家、理科室、体育館、博物館etc..、美術監督山本二三さんの手腕が冴える。未来での千昭と真琴の物語も観てみたい。

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1. 映画「時をかける少女」〜これぞリメイク〜  [ 虎哲徒然日記 ]   May 31, 2007 15:10
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2. 時をかける少女(アニメ) 07109  [ 猫姫じゃ ]   June 02, 2007 04:23
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