July 04, 2007

穏やかに流れる時間、一種の理想郷かも…。/『蟲師』アニメ版5

蟲師/1



















●蟲師(アニメ版)●
●原作;漆原友紀
●監督・シリーズ構成:長濱博史
●脚本:伊丹あき、桑畑絹子、山田由香 
●総作画監督:馬越嘉彦
●美術監督:脇威志
●撮影監督:濱雄紀
●音楽:増田俊郎
●声の出演; 中野裕斗(ギンコ)/うえだゆうじ( 化野)/土井美加(語り)他
●DATE;2005年 各50分 特典対談付き
     2006年第5回東京アニメアワード・テレビ部門優秀作品賞受賞

●収録作品
「緑の座」/「瞼の光」/「柔らかい角」/「枕小路」/「旅をする沼」/
「露を吸う群」/「雨がくる虹がたつ」/「海境より」/「重い実」/
「硯に棲む白」/「やまねむる」/「眇の魚」/「一夜橋」/「籠のなか」/
「春と嘯く」/「暁の蛇」/「虚繭取り」/「山抱く衣」/「天辺の糸」/
「筆の海」/ 「綿胞子」/「沖つ宮」/「錆の鳴く聲」/「篝野行」/
「眼福眼禍」/「草を踏む音」

●概要
 明治の頃のような架空の日本。そこには『蟲師』と呼ばれる異能の人々がいた。主人公ギンコは蟲師をなりわいにする青年。過去の出来事から、髪は白くなり、片目とそれまでの記憶を失っていた。 ギンコは、この世に偏在する『蟲』と呼ばれる生命体を見ることの出来る能力を持つ。だが、それが災いし『蟲』を集めてしまう体質でもあった。ギンコは諸国を旅しながら、蟲の研究を続けている。ギンコが出会う人々は、それぞれ不可思議な出来事に悩んでいる。ギンコはその原因である蟲の正体を見極めながら、人々と関わりを持っていく。

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 最近、シリーズものの作品を観ることが多い。本作『蟲師』は、一昨年(2005)に地上波で放映されたもの。全26話、特典映像として長濱監督とクリエーターの対談が各巻に付いている。地上波で放映していた時、フジTV系の深夜アニメ枠は深夜過ぎ(笑)見逃すこともあったりで、残念に思っていた。

 各話ごとに基本色が設定され、エンディングの音楽もすべて違う。また撮影監督さんの対談で知ったのだが、一般的にVFX処理されるような画像効果を撮影で加工したそうで、その手腕と言うか?陰影、遠近感、光りなど、撮影の出来映えが本当に素晴らしい。ギンコや人物部分は黒の描線に囲まれた動画になるが、動画部分と背景の解け具合がなんとも言えず良い空気感に包まれている。

 アニメーションで、奥行きのある空気感と出すのはなかなか難しいと思う。なんとなくレイアーが分離して、印象が平坦になってしまったり、奇妙にクリアだったりする作品が多い。だが、本作『蟲師』は違う。横山大観の絵のような朦朧と湿気を含んだ日本の山野の背景部分、物語のモチーフとなる際立って鮮やかな植物の描写、それに人物部分が自然に解け合って、『蟲師』の世界観と作っている。アジアの音楽を意識した多国籍風の音楽も穏やかで、それに語りの土井美加さんの渋い声が物語に深みと味わいをもたらしている。とにかく、あれもこれもも良い(褒めてばかりですが、本当に良い!!んですヨ〜。。。)

◆◆◆

 『蟲』の性質は、第1話「緑の座」で説明される。作者漆原さんの創作の『蟲』だが、その存在感はリアルで、私なんぞすっかり『蟲』の存在を信じている。舞台は『蟲』の性質上、森や山、海辺などの辺境が多い。ギンコ以外は皆和服だし、電化製品もなく自動車なんて不粋なものもない。だからこれは西欧化されず、鎖国したまま閉ざされたような日本のようだったりする。その佇まいが、貧しいのだが、美しく、切ないものがあったりする。圧巻なのは「枕小路」「海境より」の中の、蟲が無数に群がる描写!気が遠くなるような作業をされている制作の皆さんに大拍手!!です。

 どの話もそれぞれ好きだが、特に印象的なのは「山抱く衣」、中国の神話のような雰囲気は気を遠くなるような感慨がある。ほか、男女の情愛を描いた「天辺の糸」や「一夜橋」も哀しくも、美しい物語だ。監督さんは続編の制作も考えているようなので、是非、作って欲しい!!と熱望する。

 繰り返しレンタルしている。お財布と相談して(汗)、無理しても「これはDVDを買わない訳にはいかない!」と思うほどの必見のアニメ作品。未見の方は夏休みに見てください!!

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蟲師/2

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