December 15, 2007
A子とB子の物語完結/『ちりとてちん』NHK朝ドラ
●ちりとてちん
●第11週/『天災は忘れた恋にやって来る』
●NHK連続ドラマ
多い日には1日に4回見てます(笑)。
●第11週/『天災は忘れた恋にやって来る』
●NHK連続ドラマ
多い日には1日に4回見てます(笑)。
前回の『どんと晴れ』以来、朝の連続ドラマにハマっている。『どんど晴れ』が終わった時は、すご〜く寂しい気持ちになった。現在放映中の『ちりとてちん』もすご〜く!!面白い。幾重にも張り巡らせた伏線と魅力ある傍役は、どの人物も主役のように光っている。“誰もが主役になれるドラマ”、それが、このドラマの大きな骨子の1つだ(と、思う)。今週は前半の中心部『A子とB子の物語』が完結した。朝の連続ドラマを見て、号泣な気持ちになったのは初めて。そんな訳で、感想など。
●これまでのあらすじ
和田喜代美は小学5年生、気難しい父、明るい母、恐竜好きの弟の4人家族だ。父が伝統若狭塗箸を継ぐため、故郷に戻る車中から物語は始まる。祖父母の家に着いた早々、喜代美はスカートを破ってしまう。落ち込みながら海岸を歩いていると、借りた母のスカートの裾を踏み転倒。転んだ喜代美に手を差し伸べる美少女がいた。彼女は和田清海、喜代美と同姓同名、稼業も同じ若狭箸製造業。新学期の自己紹介で同姓同名が分かった時、喜代美はノリで「わたしはB子でいい」と云ってしまう。勿論、清海がA子だ。
清海は地元では大企業のお嬢さん、綺麗で勉強が出来、スポーツ万能。かたや喜代美は自分に自信がなく、優柔普段な性格。学校での劣等感で落ち込む喜代美の慰めは祖父の存在と、いつも祖父が聴いていた落語のテープだった。若狭塗箸の名人だった祖父が急逝、喜代美の父は清海の父の会社で働くことになる。清海の父は祖父の弟子だったが、儲けの少ない伝統箸を捨て、近代的な箸工場を作った因縁の間柄だった。師匠である祖父を失った父は、敵のような間柄の兄弟子に技術を教えて貰うしかなかったのだ。祖父の死は、喜代美には受け入れがたいショックだった。祖父を失った悲しみを癒すために喜代美は落語のテープを繰り返し聴くのだった。
A子、B子の呼び名は高校になっても変わらない。子供の頃、拾った石をA子の拾った水晶と交換したB子、その石が貴重な恐竜の化石だと判り、A子の写真は新聞誌面を飾る。親友のジュンちゃんに愚痴るB子。ジュンちゃんに「あんたが持っていたら、一生ただの石だ」と云われ、水晶を海に捨てる。その頃、父はA子の父の工場を辞め、伝統若狭塗箸製造を再開する。その店を雑誌の取材に訪れたのが奈津子だった。さっそうとした夏子の姿に、喜代美は憧れる。
「もうB子はイヤ!」、喜代美は高校最後の学園祭で三味線を弾き注目を浴びようと図る。だが、持ち前の根性なしと不器用さで挫折、清海に云われ照明係に。観衆の前、舞台の真ん中で三味線を弾き、歌を歌う清海にスポット・ライトを当てながら、喜代美は「違う自分になりたい」と強く願う。
喜代美は、推薦進学が決まっていた短大進学を蹴り、“自分を探すため”に大阪に家出する。頼みにしていたフリー・ライターの奈津子は不在。困った喜代美は、大阪の大学に進学していた清海のマンションに転がり込む。だが、些細なことでマンションを飛び出し、たまたま出会った落語家の家に住み込むことになる。
落語家を廃業した元落語家、立つ舞台のない弟子。弟子の草々に淡い憧れを抱き、喜代美は草々の高座の手伝いを始める。この家の主人、徒然亭草若は、喜代美の祖父が毎日聴いていた落語のテープの落語家その人だった。不思議な縁を感じながら、喜代美はB子ではない自分になるために、落語家を目指すことになる。その頃、またA子が…。
■■■
『ちりとてちん』は古典落語の世界に身を投じる和田喜代美の物語。物語はこの三ヶ月で、子供時代編、高校3年生編、落語家入門編と進んできた。これまでの喜代美は、「小さくて、せこい人間」として、劣等感に悩み、自分の能力に悩み、不器用な恋に悩んでいた。そんなダメっ子喜代美=B子の劣等感の源泉は、皆のアイドル、地元の星、TVにも出るようになった清海=A子だった。レコードのA面、B面のように、主役になれない喜代美=B子。「違う自分を探す」、自分探しの家出はA子との決別が重要なのに、あろうことか喜代美は清海のマンションに転がり込む。深く憎むことは深く愛することの裏返しの感情だと云うことを物語るエピソードだ。
落語家を目指すと決め、A子と別れたはずの喜代美の前に、またA子が現れる。今度は恋のライバルとしてだ。A子は、喜代美の片思い中の兄弟子草々と相思相愛になってしまう。劣等感の塊、喜代美の悪心=煩悩はピークに達する。「ずっと消したかったイヤな自分」が喜代美の心の中で大暴れし、落語の修行に身が入らず、一番弟子の草原に叱責される。今週のタイトル『天災は忘れた恋にやって来る』は、混乱し、悩む喜代美が自分の過去と別れを告げるためにエピソードだった。
■■■
今日のラスト近く、お互いの本心を吐露し、東京に転居する決意をした清海=A子。橋の上で、手を降る清海の笑顔。ナレーションは「A子らしいA子の姿を見たのは、その時が最後でした」だった。
喜代美ちゃんが感じたように、「何故、私ばかり、こんなに悪い星めぐりなんだろう…」と思うことがある。「自分がA子ちゃんタイプなら、そんな悩みもなかろう」と思い込む。A子ちゃんだって、同じように悩んでいたことを、喜代美は知る。だが、その日が二人の最後の日になる皮肉…。自分自身の思い出と重ね、切ない気持ちになってしまった。
若い頃って、自分の無能さ、不器用さ、劣等感が心の中心にある。駄目な自分に落ち込み、眠れない夜を数え、悔しさに枕を涙で濡らす夜だってある。年齢が進めば、だんだん自分の身の丈を知り、現実に折り合いをつける知恵と妥協を身につける。若さって、エゴがむき出しになりやすい。挫折を繰り返しながら、自分が人生の主人公であろうと思えば、他の人もそれぞれの人生の主人公を演じていることに気づく。
随分前のこと、優秀な同僚がいた。彼女は綺麗で、趣味も良く、素敵な女性だった。誰の目にも、彼女にスポット・ライトが当っていると見えたはずだ。ある時、彼女に云われた「あなたばかり、得をしている」。冷静に自己分析しても、私は努力が足らず、失敗ばかり=悪運大将(笑)。それでも「得している」と感じる人もいる。「良いですね〜!」とか、云われちゃったり(汗)。多くの場合、『隣の芝は青い」ものなのだ。『ちりとてちん』は“おもろうて、やがて悲しき”な、おサトシ満載の教養ドラマなのデス(!)。
来週からは、落語家編になる。予告編ではまた災難が襲うらしい。どんな展開になるか?楽しみ!!デス。
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●これまでのあらすじ
和田喜代美は小学5年生、気難しい父、明るい母、恐竜好きの弟の4人家族だ。父が伝統若狭塗箸を継ぐため、故郷に戻る車中から物語は始まる。祖父母の家に着いた早々、喜代美はスカートを破ってしまう。落ち込みながら海岸を歩いていると、借りた母のスカートの裾を踏み転倒。転んだ喜代美に手を差し伸べる美少女がいた。彼女は和田清海、喜代美と同姓同名、稼業も同じ若狭箸製造業。新学期の自己紹介で同姓同名が分かった時、喜代美はノリで「わたしはB子でいい」と云ってしまう。勿論、清海がA子だ。
清海は地元では大企業のお嬢さん、綺麗で勉強が出来、スポーツ万能。かたや喜代美は自分に自信がなく、優柔普段な性格。学校での劣等感で落ち込む喜代美の慰めは祖父の存在と、いつも祖父が聴いていた落語のテープだった。若狭塗箸の名人だった祖父が急逝、喜代美の父は清海の父の会社で働くことになる。清海の父は祖父の弟子だったが、儲けの少ない伝統箸を捨て、近代的な箸工場を作った因縁の間柄だった。師匠である祖父を失った父は、敵のような間柄の兄弟子に技術を教えて貰うしかなかったのだ。祖父の死は、喜代美には受け入れがたいショックだった。祖父を失った悲しみを癒すために喜代美は落語のテープを繰り返し聴くのだった。
A子、B子の呼び名は高校になっても変わらない。子供の頃、拾った石をA子の拾った水晶と交換したB子、その石が貴重な恐竜の化石だと判り、A子の写真は新聞誌面を飾る。親友のジュンちゃんに愚痴るB子。ジュンちゃんに「あんたが持っていたら、一生ただの石だ」と云われ、水晶を海に捨てる。その頃、父はA子の父の工場を辞め、伝統若狭塗箸製造を再開する。その店を雑誌の取材に訪れたのが奈津子だった。さっそうとした夏子の姿に、喜代美は憧れる。
「もうB子はイヤ!」、喜代美は高校最後の学園祭で三味線を弾き注目を浴びようと図る。だが、持ち前の根性なしと不器用さで挫折、清海に云われ照明係に。観衆の前、舞台の真ん中で三味線を弾き、歌を歌う清海にスポット・ライトを当てながら、喜代美は「違う自分になりたい」と強く願う。
喜代美は、推薦進学が決まっていた短大進学を蹴り、“自分を探すため”に大阪に家出する。頼みにしていたフリー・ライターの奈津子は不在。困った喜代美は、大阪の大学に進学していた清海のマンションに転がり込む。だが、些細なことでマンションを飛び出し、たまたま出会った落語家の家に住み込むことになる。
落語家を廃業した元落語家、立つ舞台のない弟子。弟子の草々に淡い憧れを抱き、喜代美は草々の高座の手伝いを始める。この家の主人、徒然亭草若は、喜代美の祖父が毎日聴いていた落語のテープの落語家その人だった。不思議な縁を感じながら、喜代美はB子ではない自分になるために、落語家を目指すことになる。その頃、またA子が…。
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『ちりとてちん』は古典落語の世界に身を投じる和田喜代美の物語。物語はこの三ヶ月で、子供時代編、高校3年生編、落語家入門編と進んできた。これまでの喜代美は、「小さくて、せこい人間」として、劣等感に悩み、自分の能力に悩み、不器用な恋に悩んでいた。そんなダメっ子喜代美=B子の劣等感の源泉は、皆のアイドル、地元の星、TVにも出るようになった清海=A子だった。レコードのA面、B面のように、主役になれない喜代美=B子。「違う自分を探す」、自分探しの家出はA子との決別が重要なのに、あろうことか喜代美は清海のマンションに転がり込む。深く憎むことは深く愛することの裏返しの感情だと云うことを物語るエピソードだ。
落語家を目指すと決め、A子と別れたはずの喜代美の前に、またA子が現れる。今度は恋のライバルとしてだ。A子は、喜代美の片思い中の兄弟子草々と相思相愛になってしまう。劣等感の塊、喜代美の悪心=煩悩はピークに達する。「ずっと消したかったイヤな自分」が喜代美の心の中で大暴れし、落語の修行に身が入らず、一番弟子の草原に叱責される。今週のタイトル『天災は忘れた恋にやって来る』は、混乱し、悩む喜代美が自分の過去と別れを告げるためにエピソードだった。
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今日のラスト近く、お互いの本心を吐露し、東京に転居する決意をした清海=A子。橋の上で、手を降る清海の笑顔。ナレーションは「A子らしいA子の姿を見たのは、その時が最後でした」だった。
喜代美ちゃんが感じたように、「何故、私ばかり、こんなに悪い星めぐりなんだろう…」と思うことがある。「自分がA子ちゃんタイプなら、そんな悩みもなかろう」と思い込む。A子ちゃんだって、同じように悩んでいたことを、喜代美は知る。だが、その日が二人の最後の日になる皮肉…。自分自身の思い出と重ね、切ない気持ちになってしまった。
若い頃って、自分の無能さ、不器用さ、劣等感が心の中心にある。駄目な自分に落ち込み、眠れない夜を数え、悔しさに枕を涙で濡らす夜だってある。年齢が進めば、だんだん自分の身の丈を知り、現実に折り合いをつける知恵と妥協を身につける。若さって、エゴがむき出しになりやすい。挫折を繰り返しながら、自分が人生の主人公であろうと思えば、他の人もそれぞれの人生の主人公を演じていることに気づく。
随分前のこと、優秀な同僚がいた。彼女は綺麗で、趣味も良く、素敵な女性だった。誰の目にも、彼女にスポット・ライトが当っていると見えたはずだ。ある時、彼女に云われた「あなたばかり、得をしている」。冷静に自己分析しても、私は努力が足らず、失敗ばかり=悪運大将(笑)。それでも「得している」と感じる人もいる。「良いですね〜!」とか、云われちゃったり(汗)。多くの場合、『隣の芝は青い」ものなのだ。『ちりとてちん』は“おもろうて、やがて悲しき”な、おサトシ満載の教養ドラマなのデス(!)。
来週からは、落語家編になる。予告編ではまた災難が襲うらしい。どんな展開になるか?楽しみ!!デス。


