April 14, 2008
男の美学は、「ヒ、デ、ブッ」と聞こえる!?『300』

●300/スリーハンドレッド●
●原作;フランク・ミラー
●監督;ザック・スナイダー
●出演;ジェラルド・バトラー/レナ・ヘディー /デイビッド・ウェナム/
ドミニク・ウェスト/ビンセント・リーガン
映画館で予告を見た時、独特のダル系の色彩とコントラストの強い画質に違和感があった。原作がコミック(グラフィック・ノベル)と云うことで納得!アメリカのコミックは全頁カラーのものが多いが、日本のコミックのカラー頁とはまったく違う彩色がされている。で、どんな物語かと云うと…。
●あらすじ
スパルタの王レオニダスは、他のスパルタの若者がそうであるように、過酷な試練と鍛練の中で成長した。今は最愛の王妃とともに国王として君臨しているが、議会や神官たちは、王に服従していなかった。
ある日、近隣の国を征服し、強大な帝国となったペルシャから異様な風体の使者が来る。使者は「ペルシャへの隷属」を要求していた。誇り高い王レオニダスは、即座に使者を殺してしまう。使者殺害の報は、すぐにペルシャの覇王クセルクセスに届けられ、自ら大軍を率いギリシャに向かった。
間近に迫るペルシャ軍200万人!レオニダスは聖なる山に神託を授かる為に昇山する。異形の神官と美貌の巫女が棲む神殿、巫女の神託は「出兵は神の意志ではない」とのことだった。その神託で、スパルタの議会は王の出兵を認めなかった。
レオニダスは精鋭の重装歩兵300人だけを連れ、ペルシャ軍の上陸地点近くのテルモピュライに向かった。テルモピュライは自然の要塞のような狭い地形の場所だった。300人のスパルタ軍は200万人のペルシャ遠征軍と、歴史に残る戦いを繰り広げることになる。勇猛なスパルタ軍と王の運命は…。
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最初に!私はこの映画、すっごく好きです。好きなんだけど、あれこれ感想など。
まず、画面は最初から最後まで陰鬱で、重苦しい。CGの背景に実写の俳優たちを合成したと云う映像は、殺戮の鮮血を曖昧にし、また、それゆえに、残忍極まりない描写を可能にしている。首が飛び、手足がすっ飛び、人間の躰を槍や矢が貫く。300人しかいない自軍は、最初から死ぬことを覚悟している。「戦場で死ぬことが何よりの名誉」として育ったスパルタの精鋭!!日本の武士道『武士道とは死ぬことと見つけたり=葉隠から』と似たスパルタの掟は、惨いけれど、一種、普遍的な“男の美学”だろう。
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スパルタ軍の装備は兜、盾、槍、マントなど、美術デッサンの使う石膏像“マルス”のようで、シンプルで美しい。対するペルシャ軍は黒一色の軍服、ターバン、覆面姿で、個人はそこになく、蟻のように無個性に描かれる。蟻のような一般歩兵以外に、本当にバケモノのような戦闘員が混ざっているのだが、そりゃ〜もう〜、本当にコミックの世界的描写なのだ。シンプルでリアルなスパルタの描写と、ペルシャのゴージャスで奇形な描写の対比は、極端で、見ようによっては差別的だ。善と悪の対比と云うより、ヨーロッパ文明VS異文明の深層心理の投影のように感じる。
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この『300』に対し、イラン政府は「イラン人の先祖であるペルシア人を激しく冒涜している」として非難声明を出している。冒涜と感じる部分もあるだろうが、私はペルシャ軍の多様性とペルシャ王の美しさは、自らの王すら見捨てた狭量なスパルタ議会、美女を弄ぶ醜い神官などに比べれば、文明としての強さと美しさを感じてしまった。
ペルシャ王は移動玉座に座り、あらゆる宝飾品で身を飾っている。かたやスパルタの王は黒いパンツとマント、サンダル姿!?。虫に刺されたり、草や枝で「行軍だけでも。怪我をすることもあるだろうに…」と思ってする(=スパルタ兵はそんな軟弱なことを感じる訳ないけど)。小物、衣装、乗り物、CGのサイや象など、ペルシャ軍は見ているだけで、楽しい!!見ていて、『北斗の拳』を思い出した。ペルシャ王はラオウ、馬鹿でかいペルシャ戦士は、「ヒデブ」とか言って死ぬ巨漢の悪役に激似!?
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一種のCGアニメ・ムービー。この闘いを転機に、ギリシャの小国家制は滅んでいく。そう思うと、どこかもの悲しい…。
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