May 14, 2008

神経症にはやや辛い!?ウィーンの黄昏/『クリムト』4

クリムト/1





















●クリムト●
●監督;ラウル・ルイス
出演; ジョン・マルコヴィッチ/ヴェロニカ・フェレ/サフラン・バロウズ/
   ニコライ・キンスキー/スティーヴン・ディレイン
DATA;イギリス・フランス・オーストリア・ドイツ共同製作/
    2006年6月公開/97 分

 グスタフ・クリムトやエゴン・シーレの絵を知らない人は少ないと思う。そんなクリムトの晩年を描いた作品が本作『クリムト』だ。さて、どんな映画かと言うと…。

●あらすじ

 死の病に伏すクリムトの病床に、友人で画家のエゴン・シーレが見舞いに訪れる。身動き出来ないほど憔悴っしきって様子のクリムトの脳は、追い求めても捕まえることの出来なかった“運命の女=ファム・ファタール”との思い出を追体験していた。

 すでに人気作家になっていたクリムトのアトリエには、美しいモデルが見事な裸身を見せていた。彼女たちにお茶やお菓子などの準備もして気遣うクリムトはモデルとの肉体関係も欠かせないものになっていた。しかし、彼にはプラトニックな関係ながら、クリムトの最大の理解者である恋人ミディがいた。ミディは高級モード・サロン「カーサ・ピッコロ」を経営し、時代を先駆ける職業婦人だった。

 パリ万博、クリムトは大作を出品する。高い評価に得意のクリムト、パーティの席で、彼のニセモノが登場するフィルムを見せられる。また、アラビア風ダンスを踊る美女が映っていた。その晩、クリムトは、フィルムの仕掛人である貴族の館に招待される。そこには、あの美女が、東洋風のガウンで待ち受けていた。彼女は、クリムトをベッドに誘う。隣の部屋では、クリムトの様子を覗くこの館の主人がいた。

 貴族に肖像画の依頼されたクリムトだったが、一夜をともにした美女を忘れることが出来ないでした。私生活では、ミディとの不仲、精神病を病んだ家族との関係、自分の梅毒の進行…と、不幸の足音が大きく聞こえてくるのだった。現実と幻想が、日常の中で曖昧に解け合っていた。彼の肉体は…。>>>つづきはDVDでどうぞ!!

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クリムト/2 クリムトの装飾的な画風は、現在、放映中のNHK大河ドラマ『篤姫』のタイトル・バッグに使われている。数年前、日本の装飾絵画を集めた国立美術館“淋派展”にも、クリムトの絵が展示されていた。装飾的な美人画が代表作だが、よく見るとドクロが描かれることも多い。“メメント・モリ=死を想え”、一般的に、綺麗に見えるクリムトの絵も、神経症傾向の強い時などに見るとアブナイ!アブナイ!エロスとタナトス、酩酊するような強い薫りが、心に突き刺さる。

 クリムトの絵は後年、ナチスによって没収、焼却されたものもある。それほど、ヒットラーの妬みを買ったのか?あるいは、不健全な精神が産んだ退廃美術の代表としてクリムトがスケープ・ゴートにされたのか…。おそらく両方なのだろうが、ヒットラーが国民的な優良絵画としたものは、退屈で面白みのないものがほとんど…。

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 クリムトを演じるのは名優ジョン・マルコヴィッチ!!彼が主役を演じただけでも、本作は50%成功したと言える。では、残りの50%はと?言えば、若干微妙だ。

 この前に感想を書いた『フリーダ』では実際の作品が多用され、重要なシーンで印象的に使われていた。しかし、本作『クリムト』では、著作権の関係があるのか?実作品があまり画面に登場しない。また、世紀末ウィーンの緊迫した政治状況や、既成の芸術協会と対立し、ウィーン分離派を作ったクリムトの芸術家としての側面があまり描かれていない。観ようによっては女癖の悪い絵描きさん風に感じられてしまう。梅毒なのに、女性と肉体的に関わるには相当にリスキーな行動だ。それほど、この時代のヨーロッパでは、梅毒が蔓延していたのかも…、これも怖い!?

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 19世紀末、それまでの社会が崩壊し、ダイナミックに時代は変容する。そのうねりの中に、クリムトは生き、死んで逝った。映画の中に登場する親友エゴン・シーレも、クリムトと同じ1918年に死んでいる。死因はエンフルエンザ。クリムトの死から8ヶ月後のことだ。

 倦怠と渾沌、腐臭を放ちだした貴族社会…。ボンヤリ、美しい裸身を観ていると、この映画の毒素に気づかないだろう。彫像のような裸身、女性のファッション、お洒落な調度の数々、美術好きの人は必見かも!?

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クリムト/3

moondrop_aco at 01:35 │Comments(0)TrackBack(0) 映画(あ・か行)  | 洋画系

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