May 22, 2008
爽やかな古代史ロマンスは教訓的!?/『薯童謡(ソドンヨ)』

善化公主主隠
他密只嫁良置古
薯童房乙
夜矣卯乙抱遺去如
●薯童謡(ソドンヨ)●
●監督;イ・ビョンフン
●出演;チョ・ヒョンジェ/
イ・ボヨン, リュジン/
イ・チャンフン/
ク・ヘソン
●DATA;韓国/2007年/
全55話/DVD28巻
『宮廷官チャングムの誓い』や『ホジョン』で知られるイ・ビョンフンの作品。全55話を観ました。レンタル開始から、何度借りたことか…。あ〜〜〜、、、長かった。けど、面白かったです。韓国TVドラマ界のヒット・メーカーは、連続ドラマのツボを心得ている。
●1〜2話のあらすじ
時代は西暦580年頃、27代威徳王の治世。朝鮮半島は、大国高句麗、新羅、百済の三国に別れ、緊張状態にあった。一番、南部に位置する百済は、倭国(日本大和朝廷)と交流があり、技術立国を目指していた。王室では、太学舎(学校兼研究所)を作り、農業・工業技術の開発、工芸・音曲の研鑽をさせていた。
太学舎の技術士(格物士)モンナスは、博士昇格直前だった。恋人のヨンガモは同じ太学舎で舞仙女。モンナスの博士任命後、結婚予定だった。ある晩、モンナスは不思議な霊感を受け、土中から香炉を掘り出す。香炉には、新しい王誕生を告げる予言が刻んであった。
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先代の26代聖明王は新羅との闘いで落命。その首は長年、通行人の足の下、新羅の大路に埋められていた。威徳王の甥、衛士佐平(禁軍と親衛隊統括)プヨソンは、首奪還のため、新羅に出兵する。戻った聖明王の首を祀り、東明祭が開かれることになる。その前夜、舞仙女ヨンガモは一人、練習に励んでいた。舞姿を見た威徳王は、ヨンガモを寝所に連れて行く。東明祭前は、女性との接触は禁止されていた。翌、東明祭は、雷鳴と突風に見舞われる。
王権の弱まった百済宮廷にあって、王はヨンガモとの過ちを秘密にしなければならなかった。威徳王は、王子の証拠になる五色夜光珠の首飾りをヨンガモに託す。子を宿したヨンガモは、許嫁のモンナスに事情も話せず、太学舎を去る。
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それから10年余の歳月が流れた。大池のほとりで、ヨンガモは息子チャンと暮していた。自分の父親を恋しがるチャンに母は、「父は池の龍だ」と云い聞かせていた。10歳のチャンは山芋売り(薯童)で家計を助ける一方、子供らしく活発に過ごしていた。仲間と貴族の墳墓を荒したり、市場で手製のキナコ爆弾を破裂させたり、いたずらの過ぎるチャン。心配したヨンガモは、かつての許嫁モンナスに、チャンを託す決心をする。出発の朝、ヨンガモはチャンに手紙と首飾りを渡し、「20歳になったら、父の名を教える」と云う。
その頃、王家では、皇太子阿佐太子が倭国に行ったまま、行方不明になっていた。そのことで、次期王の座を狙う陰謀が進んでいた。チャンは、サビ城太学舎にモンナス博士を訪ねるが、冷たく拒絶される。忍び込んだモンナスの部屋には、神託の香炉があり、チャンが手にすると香炉から煙りが立ち上る。そのことが原因で、モンナスが新羅に逃れることになる大事件が…。以降、舞台は新羅へと移る。>>>>つづきはDVDでどうぞ!!
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●主な登場人物
●チャン;ソドン(薯童)。辛抱強く、頑固者。
●ヨンガモ;チャンの母、モンナスの許嫁。
●ソンファ姫;新羅真平王の三女。
才色兼備なお姫様。
●モンナス;太学舎のリーダー。
チャンの生涯の師。
●モジン;太学舎の技術者。
モンナスに想いを寄せている。
●サテッキル;新羅の貴族。
密命で、モンナスの弟子となる。
●威徳王;心優しい、気弱な王様。
●阿佐太子;心優しい、気弱な皇太子。
●プヨソン;威徳王の甥。
貴族と癒着し、王座を狙う。
●ウヨン姫;プヨソンの腹違いの妹。
太学舎博士でもある。
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本作『薯童謡』は“武王伝説/薯童説話(龍の子が、三国一の美姫を娶り、宝の山を発見し、王になる)”をドラマ化したもの。出典は、13世紀に書かれた、高麗の僧“一然”の私撰史書『三国遺事』だ。貴種流離譚の一種に分類されるだろう。多くの英雄伝説がそうであるように、実際の歴史とは異なる。だが、本作はシンプルな説話を膨らませ、史実と組み合わせながら、敵国同志の恋愛、諜報陰謀、権力闘争と、複雑な人間関係と作り上げた。
人間関係の多くは三角関係になっている。モンナス/ヨンガモ/モジンの太学舎関連、チャン/ソンファ/サキッテルの幼馴染み関連、プヨソン/阿佐太子/チャンの主従関連、後半ではチャン/ソンファ姫/ウヨン姫の三角関係も加わり、愛憎がこんがらがっていく。下劣な貴族は登場するが、悪魔的な悪人は登場しない。全体的に温かい印象なのは。監督イ・ビョンフンの優しい人柄からだろうか…。個人的には、損な役回りのプヨソン、ウヨン兄妹の悪役コンビが好きだった。俺様キャラ、プヨソンは、ごく普通のワガママ(?)だったのに、チャンの登場でどんどん人生が傾く。これもごく普通のワガママ、ウヨン姫は、チャンに関わり、もう〜、プライドズタズタ、姫の身分も危うくなる!!可哀想に。。。
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可哀想と云えば、サテッキル。サテッキルの不幸の元凶は、やっぱり主人公のチャン。頑固な善人チャンが、他人の人生と関わると、AKY(あえて空気読まない)に突っ走り、対立者を震撼させる(笑)。劇中最大の善人モンナス博士でさえ、チャンのことで、死ぬようなトラブルに幾度も遭う。劇中、モンナス博士は「ヨンガモなぜだ?なぜ、チャンなのだ!?」と、考え続ける。
ソンファ姫でさえ、周囲は大迷惑!献身的な家来と侍女は、ソンファ姫を追い、東奔西走!。最大のトラブル・メーカーが主役二人!、日本のドラマでは余り見ない構造だ。トラブル・メーカーと云うと聞こえが悪いが、二人の恋の成就には、あらゆる反対勢力が存在する。反対勢力=旧悪(特権階級)との軋轢は仕方ない構造になっている。モンナスを苦しめる神託とは何か?「“民衆のための王”を誕生させよ。」と、モンナスは解いた。その使命に気づいてからの、彼の活躍と粘りが凄い!。
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ドラマ前半は、チャンとソンファ姫の恋愛がメイン、ドラマ後半は、王座を巡る戦いが中心になる。当初は、ソンファ姫に振り回され感のあったソドンが、後半は自分の意志をはっきり言えるようになっていく。危機に遭遇するモンナスとチャンは、幾度となく王宮と流刑地を往復し、ソンフォ姫はサポートにまわる。三人を破滅させようとするのは、師弟、主従、恋愛関係三角関係のすべてにからむサテッキルだ。サテッキルは、花郎(ファラン=新羅の青年貴族の教育制度)一の秀才、顔だちも優しく、長身で気品がある。ボロを着て、苦労の多い主役チャンより、サテッキルは魅力的にさえ見える。彼もモンナス同様、自問自答する、「なぜ、(愛されるのは)チャンなのだ!?」。女の嫉妬も怖いが、仕事がらみの男の嫉妬は怖い!。
韓国時代劇は極めて教育的で意図的だ。「資源のない小国にあり、豊かな暮し創成には、技術立国が一番大事であり、平等感と成果主義のある富の再分配は、労働意欲の維持は欠かせない。」と、監督は云っている。その意図が強く出ているのは、前半は太学舎での技術開発(オンドル、合金、紙、織り機、塗料etc.)シーン、後半は灌漑事業、稲作水田づくりだった。一般的に娯楽ドラマで、教育的意図が出過ぎると、イヤミになってしまう。韓国ドラマでは、娯楽と教訓が両立しているので、不思議だ。
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百済30代武王の治世は40年の長きに及ぶ。彼の死後、19年後に百済は滅亡。そして、多くの王子や王族、貴族が日本に移住した。劇中に使用されている、冠などの装身具、七支剣などは、、日本で発掘された古墳副葬品などのデザインとほとんど変わらない。同じようなものが、群馬の古墳からも出土されている。※ご興味のある方は、高崎市群馬の森にある歴史博物館で、出土品を見ることが出来ます。
ちなみに百済建国の王は『朱蒙』のヒロイン“ソソノ”の息子“温祚”。日本人が『朱蒙』や『薯童謡』を熱心に見るのは、民族のルーツを少なからず感じているのかもしれない。今回の『薯童謡』は、台詞の中だけだが“聖徳太子”も登場し、一層、韓国ドラマを身近に感じてしまった。『薯童謡』ファンの日本人の中に、武王の子孫もいるわけで、このドラマの教訓は、遠いご先祖さまからのメッセージかもしれない。
ハッピー・エンドの後、三年後、十年後の二人が描かれる。『チャングムの誓い』も同様だったが、やっぱり王様は悲しい…。※記載ミスや、乱文になってます。のちほど加筆修正します。
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