November 18, 2008

グッド・トリップ!陶酔と幻惑を体験!!/『アズールとアスマール』5

アズールとアスマール/2















●アズールとアスマール●
●監督;ミッシェル・オスロ
●日本語版監修・翻訳・演出;高畑勲
●声の出演;シリル・ムラリ/カリム・ムリバ/ヒアム・アバス/
      パトリック・ティムジット/ファトマ=ベン・ケリル
●DATA;フランス/2006年/ 99 分

 以前、観て、心の中で反芻していた作品。三鷹のジブリ美術館で作品展も開かれた『アズールとアズマール』です。さきほど、頭痛で目が醒めて、夜明けに感想に書いている。書いていると、不思議と頭痛が治る(?)。美しい記憶は、病気を治すのかもしれない。もし、美しいものが好きな人が、この作品を未見なら、人生損をしているかもしれない。さて、簡単なあらすじなど…。

●あらすじ

 ヨーロッパのどこか。領主の息子アズールは母を亡くし、アラビア人の美しい乳母ジェナヌに育てられていた。ジェナヌの子アスマールは、アズールと同じ年。二人は、優しいジェナヌの子守唄を聴いて兄弟のように育つ。子守唄は“ジンの妖精”のことを歌っていた。遠いアラビアのどこかに、閉じ込められている美しい姫君…。アズールとアスマールは、大きくなったら“ジンの妖精”を救って自由にしよう!と、冒険を夢見るようになる。

 月日は経ち、アズールの父は、領主らしい教育を施そうとする。兄弟同様に育った二人なのに、乳母の子、アスマールは見ているだけ。父の命令で、寝室も一緒ではなくなった。なんでも一緒だったのに、身分で分けられるようになった二人。仲が良いのに、ケンカばかりするように。それを見た領主は、乳母とアスマールを追い出してしまう。アズールも町の教師の家に…。そして歳月は過ぎた。>>>つづきはDVDでそうぞ!!

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 美しいアニメーション作品を最初に見た記憶は、ソビエト連邦の作品『雪の女王』だった。女王の美しいシーンはいつも脳裏に潜んでいる。本作『アズールとアスマール』を、人生の最初に見ることのできる子供は、幸せだ。何故なら、思い出すことのできる美しい記憶の1つが、アズールとアスマールの冒険だから。

 と、ジブリの宣伝担当のように書き出してしまった(汗)。でも、本音なので、仕方ない。本作『アズールとアスマール』は、特別、胸踊るようなハラハラどきどきなストーリーはない。心に響く言葉やシーンは人それぞれ。本作の感動の有無は、作品とヒトとの縁のように思う。

 ジブリのキャッチ・コピーは
   “海の向こうは、不可思議の国だった。”

 『アズールとアズマール』は、響きの綺麗なフランス語とアラビア語で語られる。フランス語には字幕はつくが、アラビア語には字幕はない(DVDには字幕付きも収録されている)。アラビア語に字幕がないのが、本作品では重要な要素になっている。美しい絵と一緒に、音楽のようにアラビア語を聴くのは心地良く、遠く異国を旅しているようだ。



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 本作は、スキャナーで取り込んだ精密な手描きや、写真などの画像データを駆使した背景が特徴的だ。その背景に、ノスタルジックなプロポーションをした3CGのキャラクターが動く。背景だが、どこまで拡大しても大丈夫で、細胞まで描いてあるような錯覚を起こす。それほど、植物や建物、市場の果物など、微細に、精密に描かれている。それに比べ、人物は意外とあっさり、切り絵のようにシンプルだ。人物の味わいは、萩尾望都さんの絵や、物惣冬美さんの絵のようで、少女漫画チックな可憐さがある。

 ヨーロッパのシーンでは、豊かな自然がナチュラルな色彩で、アラビアのシーンでは、ビビットで濃密な空間が描かれる。どのシーンも、あまりの美しさに目眩が起りそうになる。大きな画面で見たら、トリップしてしまうかも…。それほど幻惑的な映像美が追求されている。絵の勉強をしている人には、大きな刺激になると思う。

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 ジブリのサイトで、本作の字幕翻訳も手掛けたプロデューサー高畑勲さんが、詳細な解説を書いている(http://www.ghibli-museum.jp/azur/critique/)。他、物語あらすじや多数画像もあるので、是非、ご訪問ください。

 アズールはドチだし、アスマールは頑固だ、子供っぽいやりとりも多いが、小さい子は自分のことのように感じるだろう。大人の観客には、なじめない展開もあるかもしれない。だから、どうした?的な、理屈、刺激や展開を、本作に求めると、思考の迷路に迷い込んでしまうかもしれない。豊かなお伽話の底には、真理が潜んでいる。本作にも、あなどれない強いメッセージ性が隠れていた。これを見た子供たちが、異文化、異言語に興味を持ち、美しいものを愛する心を宿してくれたら、監督の意図は大成功だろう。制作者として、こんなに幸せなことはない。

 綺麗なものが好きなすべての人と、すべての子供にお薦め!!
 全国の幼稚園、保育園、小学校で必見作品!!

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アズールとアスマール/1

moondrop_aco at 04:27 │Comments(2)TrackBack(0)この記事をクリップ!洋画系  |  映画(あ・か行)

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この記事へのコメント

1. Posted by おとめ    May 30, 2008 22:42
5 こんばんわ。聖☆お兄さん、今日立ち読みしてきました♪ブッダとキリストが秋葉原ですったもんだするお話でくすくす笑ってしまいました。

今日のこの映画、この画の美しさはただものではない感じがしますね〜〜ぜひ見てみたいです。領主の息子と乳母の息子、何か歌舞伎にもそんなストーリーがあった気がしますが。。。
A・C・O様の良いものを見つけるお力もただものではない感じがします。

ちなみに、この間お知らせするのを忘れたのですが私も結婚前の苗字が「神」という字が入っております。ふと不思議なご縁を感じてしまいました。

またお邪魔にきます。今日は楽しかったです。ありがとうございました。
2. Posted by A・C・O    May 31, 2008 06:41
>おとめさま

おはようございます^^。
「神」の字、仲間なんですね〜^^。ホントにご先祖さま同志がご近所だったかもしれません。お人形コレクターでも仲間ですし、これからもよろしくお願いします。

『聖☆おにいさん』、私もお釜が欲しくなりました。ブッダさまは若干オネエ系なので、なんだか可愛いデス^^;。

『アズールとアスマール』はレンタル店のジブリコーナーにあると思います。監督インタビューや特典映像も多いDVDなので、とても楽しめると思いますよ!!

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