June 16, 2008
楽園の崩壊と、新世界の侵略/『アポリカプト』

●アポリカプト/Apocalypto●
●監督・脚本;メル・ギブソン
●出演; ルディ・ヤングブラッド
●DATA;アメリカ/言語マヤ語/2006/138分/R-15指定
アメリカの公開日は2006年12月8日。ファミリー映画が多いクリスマス・シーズンにこんなハード(!)な作品を公開するメル・ギブソンも相当にタフだ。『キリング・フィールド』を凌ぐ衝撃性!、未見の人、とくに若い人や女性は、無理に見ない方が良いかもしれない。あらすじと感想など…。
●あらすじ
西暦1517年頃、中南米の密林、仕掛けられた罠に獣がしとめられる。歓声を上げ獲物を解体する彼等は、密林に住む部族の若者たち。部族長の息子“ジャガー・パウ”は、新婚だがまだ子供に恵まれない幼馴染みの青年をからかい、喧嘩になる。そんな様子を皆で大笑いして囃す彼等は、平和だった。密林の奥から、負傷した他部族の青年たちが逃げてくる。彼等のただ事ではない様子に、不安を感じたジャガー・パウ。獲物を持ち、家族の待つ村に帰っていく。
村では、妻や子供、父が待っていた。他の仲間の家族も、獲物の到着に大喜び、幸せな夜を迎える。しかし、侵略者の影が村を狙っていたのに、誰も気づくものはいなかった。夜明け前、皆寝静まったいた。突如、村は教われ、多くの村人は殺される。ジャガー・パウは臨月の妻を穴の底に隠し、皆を助けるために、闘いを挑む。しかし、武装した略奪者にかなう筈もなく、生け捕りにされる。生き残った村人、数十名余は、数珠つなぎにされ、川を渡り、山を越え、王都に向かう。途中、疫病で死に絶えた村があり、謎の少女が予言をした。それは…。>>>悪夢を見る覚悟のある人、つづきはDVDでどうぞ!
***************************

2008年5月、アマゾンで未文明の部族が発見され、話題になった。本作の主人公、森の継承者ジャガー・パウの子孫のように感じた。先進国が歯の良い白アリのように地球資源を食い尽くそうとしている21世紀。未発見の森の部族の存在は、不思議な暗示を感じる。
本作は、ニュー・エイジ的な傾向を持つメル・ギブソン監督の『黙示録的世界観』を描いた作品。評論では、「マヤ文明を過って描いている」との批判も多い。さまざま混合し、中心は“一の葦、白い肌の神ケツァルコアトル神”の伝説を持つ、アステカ文明の最後を描いた作品だと思う。
■■■
アステカ、マヤ両文明には、凄惨な生け贄の儀式があった。太陽神に活力を与えるために、儀式方法は違っても、乙女、捕虜や奴隷が、太陽への捧げものにされている。本作では、その凄惨な神事をグロテスクに再現。もう〜、とんでもなく残酷だ。マヤ文明や、アステカ文明の遺物展を観たことのある人は覚えているだろうか?顔の中に顔のある仮面を。
何気なく観ていたのだが、あれは、神官が生け贄にした犠牲者の生革を剥ぎ、それを被って踊る様子を表現した仮面。ピラミッドの前の競技場では、首をボールにサッカーをしたり、負けたら、次ぎの生け贄だったり…。この500年前の国々は、なんだかとんでもなく悪魔的な側面を持っていた。
西洋文化に侵略されることにより、悪しき生け贄の儀式は、王家の滅亡と一緒に絶えることになる。今は密林に埋もれた、壮麗なピラミッドや遺跡を呑気に見ることが出来ても、刻まれた歴史とは惨いものだ。やはり、密林と云う過酷な環境に住む故の、食料不足や、疫病の蔓延などが、こんな人口抑制筴を招いたのかもしれない。
■■■
神と勘違いして招いたエルナン・コルテスが“生け贄禁止令”を出したのが1519年。それでさえ、新たな侵略者との戦闘の始まりでしかなく、中南米の悲劇はまだまだつづく。
メキシコは、カソリック的には特別な霊地であるらしく、今は、現地風俗と混合したマリア信仰や、ミイラ墓など、不思議な宗教地盤を守っている。小動物の殺生さえ禁じた歴史を持つ日本のようなノウテンキな国とは、比べようもない過酷な歴史だ。
そのマヤ文明が予告する、世界の終末。それが、あと数年後に迫っている。諸説あるが、2012年12月23日、マヤ歴の終わりになっている。マヤの考え方なら、我々は新しい太陽の誕生を待つしかない。
現在の地球温暖化は、太陽活動の活発化も要因の1つであり、縄文時代の地球、恐竜時代の地球などに比べれば、まだまだ小氷河期の終わり程度の気温推移らしい。次ぎに生まれる太陽が、どんな気候をもたらすか?答えは、もうすぐ出る…。
■■■
セリフはマヤ語、全編を覆う濃密な密林の空気と、凄惨な血の味。ある種の映画の頂点だと思う。危険!取り扱い注意!な問題作。
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!


