June 14, 2008

あり得る未来…、21世紀の黙示録!?/『トゥモロー・ワールド』5

トゥモロー・ワールド/1




















●トゥモロー・ワールド●
●原題;CHILDREN OF MEN
●原作; P・D・ジェイムズ
●監督;アルフォンソ・キュアロン
●出演;クライヴ・オーウェン/ジュリアン・ムーア/マイケル・ケイン/
    キウェテル・イジョフォー/チャーリー・ハナムア 他
●DATE;2006年 アメリカ/イギリス 109分

 極限の少子化問題を描いた作品。世界の終末を、戦争で描いたものが多い中、本作は静かな滅びを描いている。邦題が英語風に『明日の世界/tomorrow world』に比べ、原題はストレートに『人間の子供/CHILDREN OF MEN』。

●あらすじ

 西暦2027年、荒れ果てた雰囲気の漂うロンドン。さえない顔の中年男がコーヒーショップでブラックを注文する。男はセオ、かつては社会活動家だったが、いまはしがない公務員だ。店のテレビでは、世界最年少の18才の少年がファンに殺害されたニュースが流れる。握手を求めたファンに悪態をつき刺殺された彼は、子供が生まれなくなった世界で一番若い人間だった。世界中で悲嘆にくれるファンの姿に、セオは嘆息をつき店を後にする。セオが店を離れた途端、店は何者かによって爆破され、多くの通行人が倒れた。あやうく難を逃れたセオが役所に着いても仕事をする気にならない。最年少の人類殺害のニュースを口実に仕事を早退する。

 セオは鬱病の治療を受けていた。唯一の慰めは森の中に棲む老夫婦を訪ねることだけだった。彼はかつては高名なジャーナリストだったが、今はドラッグを販売しながら、心を閉ざした妻、愛犬と一緒に隠れて暮らしていた。変な味のドラッグを試し、たわいのないジョークで笑いながらも、二人は深い悲しみの中にいた。

 世界は18年前から、子供が生まれていなかった。不可解な不妊が広がり、妊娠中の妊婦は流産し、新生児は誕生していない。子供の生まれないことの異常さから、世界は荒廃していった。社会機構は崩れ、辛うじてセオの暮らすイギリスだけが政府が維持されていた。そのイギリスに世界中からの難民が押し寄せ、難民は強制収容所に隔離されていた。

 そんなある日、セオはフィッシュと呼ばれるテロリストたちに誘拐されてしまう。セオのかつての妻ジュリアンは今はフィッシュのリーダーだった。ひさしぶりに会った妻からセオは国内移動用の許可証の依頼される。目的は不法滞在の難民の女性を移動させるためだった。>>>つづきはDVDでどうぞ!!面白い!!デス。

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トゥモロー・ワールド/2
 本作『トゥモロー・ワールド』は、一昨年、ヒットした『Vフォーヴァンデッタ』と似た構造の近未来SFだ。『Vフォーヴァンデッタ』ほど話題にならなかったが、『トゥモロー・ワールド』は『Vフォーヴァンデッタ』以上に強いインパクトがある。

 舞台は20年後のイギリス、世界はイギリス以外は崩壊しており、イギリス政府は特異な管理社会になっている。家族を失い失望の中で暮らす主人公、『V』では謎のウィルスでの大量死、『トゥモロー・ワールド』では世界規模での不妊…。2作とも極めて暗示的で、黙示録的でもある。黙示録的と云う場合、それは「神から与えられたヴィッジョン」と云う意味でだ。欧米の映画を見る時に、欧米の文化基盤になっているキリスト教の精神を感じざるを得ない。

 『V』以上に、『トゥモロー・ワールド』は聖書的であり、リアルで衝撃的だ。どんどん進み小子化、その原因の1つは構造的な新貧困層の拡大、それに加えて環境ホルモンによる人類の不妊化も加わっている。健康ブームに隠れているが、環境汚染による人類の染色体の異常発生率、生殖能力の低下はどんどん加速している。政府は、メタボリックシンドローム予防などで、健康延命を奨励しているは、人類が長命を望むほど世界は調和が保たれているか?それははなはだ疑問!!!

 その意味で『トゥモロー・ワールド』は実にリアルだ。

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 映画の見どころはクライマックス、6分を超える長回し。セオは人類の希望を託す女性セオを守るために市街戦の中を逃げ回る。途中、カメラに血しぶきが付き、レンズが爆風の粉塵で汚れていく。観客はいつしかカメラマンの目になって、その場にいるような臨場感に酩酊するような錯覚に陥るのだ。圧倒的な迫力に、映画の力を実感するとともに、セオが誰に傷つけないことにこの映画の深いテーマを思い知ることになる。深い霧の中、船を待つセオとキー…、動かないセオは死んでいるのか、生きているのか、我々は知ることが出来ない。ただ1つ言えることは、セオは充実感、達成感を感じているだろうと云うこと。

 人は何のために生きるのか?

 そのことを感じざるを得ない。『トゥモロー・ワールド』は、決して空想だけの世界ではなく、今、現在と地続きの可能性を含んだ物語だ。子供のいない世界で、多くの人が犬を飼っているのが印象的だった。


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moondrop_aco at 08:47 │Comments(0)TrackBack(0)この記事をクリップ! 洋画系 

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