映画(あ・か行)

July 01, 2008

逃げるが勝ち?でも逃げない潔さ!!/『漢城別曲−正』5

漢城別曲/1



“冬になると松の青さが判る”


●漢城別曲−正●
●演出;クァク・ジョンファン
●出演;イ・チョンヒ/
 チン・イハン/ド・ジウォン/
 キム・ハウン/アン・ネサン 他
●DATA;韓国/2007年/全8話
●内容:18世紀、政治改革を実行しようとする王“正祖”と、それぞれの理想国家を夢見る若者たちの悲劇を描くドラマ。



 夕方、近所のスーパー・マーケットに行くと、レジ担当の奥さんが韓国ドラマの話をする。彼女は“韓国ドラマ”の大ファンなのだ。“韓国ドラマ”の話題で、知らない人とも旧知の友人のように話す不思議!?。「“韓国ドラマ”、畏るべし!!」、てな訳で、今月はまだ書いていなかった“韓国TV時代劇”のレビューをボチボチ書いていきます。今月の最初のレビューは『漢城別曲−正』。さて、どんな話かと言うと…。

●あらすじ

 18世紀末の漢城(今のソウル)。

 時の王、正祖は、汚職と腐敗にまみれた国政を改革しようと、遷都を計画していた。“遷都は豊かな朝鮮を作る道”と王は改革に燃える。だが、王宮にも、有力貴族にも多くの反対勢力がいた。そして、市塵の商人たちは遷都による既得権の喪失を心配していた。

 そんな中、市塵(王宮外郭にある特権的商人集団)の商人、高利貸しが連続し不審死を遂げる。左捕盗庁の武将サンギュは、真相究明に奔走していた。サンギュは、死因を調べるうちに、死穴に残された金の鍼(はり)と口腔に薬物の痕跡を発見する。また、内偵していた密貿易船から、中国の高級薬剤“八角”を発見する。しかし、その薬剤は“八角”ではなく、痕跡を残さない“毒の実”だった。

 不審死の現場には、男と若い女がいた。男はファン、密命を受け、官奴婢として苦役をしていた元両班の娘ナヨンを殺人者に育てたのだった。殺人者になっても、ナヨンは優しい気持ちを失わない娘だった。道で病に苦しむ老女の膿を口で吸い出し、鍼治療をする。そんなナヨンをファンは苦々しい思いで見詰めていた。

■ ■

 サンギュの父は政府の高官だったが、母は奴婢だった。サンギュには、庶子の生まれのために世の中を拗ねていた頃があった。そんな彼に立ち直るきっかけを与えてくれたのは、儒学者の娘のナヨンだった。サンギュが清に留学中、ナヨンの父は刑死、一家は消滅していた。

 市塵の総頭領に、若い貿易商ヤン・マノが選ばれる。彼は、低い身分の出身だったが、猛勉強をし通訳官になる。通訳官の特権を活かし、貿易で莫大な資産を作ったマノには秘めた想いがあった。自分に夢を与えてくれた主人の娘ナヨンを探して、幸せにすることだった。通訳官を辞して朝鮮全土を探してもナヨンの消息はつかめなかった。

 青春の頃、同じ場所で違う夢を見ていた3人の若者たち、両班の娘ナヨン、庶子のサンギュ、常人のマノ。数年の歳月の後、再会した三人だったが、殺人者、武将(警官)、大商人と、まったく違う立場になっていた。再会を喜ぶこともなく、三人は大きな陰謀に巻き込まれていく。>>>つづきはDVDでどうぞ!

漢城別曲/3
●歴史的背景

 歴史的に多くの王は神秘的な出生や、神々の子孫として君臨していた。だから、王権には不可侵な神秘力が働く。だが、朝鮮最後の王朝、李氏王権の成立は極めて政治的だった。初代王は高麗の武将“李成桂”は、高麗34代恭譲王から王権を簒奪、中国・明から冊立された王朝だ。国号決定(朝鮮)も、中国によって決定された。それゆえか?、李朝では、王権は絶対王制ではなく、多くの国法に縛られ、有力官吏の干渉も極めて強かった。

 本作は、王権を巡る政争が、物語の中心にある。22代王正祖の時世、祖父21代王英祖の頃からつづく、派閥争いで王権は弱体していた。老論、少論、僻派、時派と呼ばれる派閥はお互いの足を引っ張ることに、腐心し、多くの常民(一般庶民)は、洪水や飢饉、重税に苦しみ、貧しい暮らしを余儀なくされていた(現在も、北の国民は似た境遇かもしれない)。

 正祖だが、祖父(英祖=老論陰謀で荘献世子に死を命じる)、父(荘献世子=餓死による自決?)、自分(正祖=毒殺?)と三代に渡り、庶子出自になる。日本では、側室の子供であっても、他に跡継ぎがなければ、本妻の養子として、差別なく家門が世襲できる。だが、朝鮮の両班階級は、庶民の血が家門に流入することを嫌い、差別を法令化していた。母系優先と呼ばれる考えだ。今も女性が旧姓のままなのは、この考えが元になっている。

 正祖は、庶子ゆえに、差別的な幼少期を送っており、実父の死には深い恨みを抱いていた。王になったのち、恨みを胸に秘め、特権的な両班階級に対して改革を求めていく。これは実学に基づいた近代的な平等思想に立脚した考えだった。だが、正祖の早すぎる死によって、改革は頓挫。若すぎる死は毒殺と囁かれているが、証拠になる文献は残っていない。以降、祖父英祖の妃“大妃”が実権を握り、勢道政治が中心となる。キリスト教弾圧や、政争も激しさを増し、朝鮮半島は政治的な混迷の中に戻っていくのだ。

 ここらへんの李朝国史が判らないと、『漢城別曲−正』はなんだか???な部分もある。

******************************

 韓国KBSの1年連続時代劇(例えば、『ホジュン』『チャングム』『海神』『商道』『薯童謡』など)は、一座のように脇役が固定しており、悪役斑、お笑い斑、用心棒斑など、同じ俳優さんが出演していることが多い。だが本作『漢城別曲-正』は、おなじみの俳優の顔もなく、主演の3人も新鮮な顔ぶれ。それぞれに魅力的だ。

 韓国ドラマでよく感じるのは「この顔、どっかで見たな〜???」って言うご近所錯覚(?)。本作のナヨンは、友達にそっくりだし、マノさんは近所にそっくりさんがいる。ナンジュ役の男性も、高校の時見かけたような顔だ(笑)。親しい雰囲気の俳優さんが、悲劇的な役を演じている。これは、感情移入しやすいように思う。そんなところにも、韓国ドラマの人気の一端かもしれない。

■■■

 タイトルバッグは、色彩を押さえ、暗いシーンをコラージュしていく。殺人、拷問、陰謀…、謎の複雑さを予感させ、センスが良い!!。本作DVD紹介で、“フュージョン時代劇”と書かれていた。新感覚と言う程度の意味だと思う。実際、“フュージョン時代劇”がどんなものか?、???なのだが、本作『漢城別曲−正』は、他のオーソドックスな時代劇より、数倍絵づくりに工夫がある。演出のクァク・ジョンファンは、ロケを多用し、陰影の深いスタイリッシュな映像を作り上げている。

 回想シーンで映る春夏秋冬の美しい朝鮮の山河は、言葉どおり絵のようだった。印象的だったのは、池に浮かぶ東屋の四季。固定カメラで、桜、松青、紅葉、雪など、自然の変化を追っていく。これは根気のいる作業だ。凝っているのは、自然描写だけではない。他の韓国時代劇は、韓国民族村などの撮影施設や、スタジオ製作が多く、フラットなラィティングで、画面がのっぺりしている。だが、本作は、自然光を意識したライティング設計をされており、空間の広がりに、香の漂うような時代の空気感があった。また王宮内の光りの陰影、調度や、技楼の内装、遊廓の内部などなど、凝ったものが多く、見ていて飽きない。衣装や髪飾り、絵屏風、小物も研ぎすまされた美意識に支配されていた。

 また、アクションシーンも、スピード感があり、よく訓練された男優たちが、迫力ある武闘シーンを演じていた。お約束の主従を越えた男達の友情もあり、BL好きな同人誌作家さんには、美味しいドラマかもしれない。

■■■

 「アガシ〜!」と呼び掛け、本心を吐露するマノの純情さ!!。「ナンジャ〜!」と叫び、涙をこらえるサンジュ!!。惨死を覚悟で、正義を貫こうとするナヨン…。

 日本のドラマでは、これほど男性が一途に女性を想うシナリオはなく、こんなに女性が強い役のことも少ない。本作のナヨンは、自分の信念のもと、大義に身を殉じる女性だ。「逃げれば良いのに…。」と思っても、逃げない主人公たち。やっぱり、人生は逃げちゃダメなんだな〜〜〜、、、。。。(溜め息)。

 全8話は手頃な長さ、韓国TVドラマを見たことのない人にもお薦め!

にほんブログ村 テレビブログ 海外ドラマへ
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!

漢城別曲/2

moondrop_aco at 23:41|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

June 24, 2008

ヒロくんは、ドラえもんのいないノビ太くん?/『ヒーローズ/HEROES』5

ヒーローズ/1




















●HEROES /シーズン1 ●
●出演;マイロ・ヴィンティミリア/マシ・オカ/ヘイデン・パネッティーア/
  センディル・ラママーシー/アリ・ラーター/エイドリアン・パスダー/
  サンティアゴ・カブレラ/グレッグ・グランバーグ 他
●DATA;アメリカNBC製作/全23話/06年9月25日〜07年5月21日放映

 『Heroes/ヒーローズ』は、レンタル店での扱いが厚かった。エミー賞に複数ノミネートされ、大人気だった連続TVドラマ。内容は『デッド・ゾーン』と『4400』を足して2で割ったような作品(?)。アメリカTV番組は、“テロもの”と“超能力もの”が好きらしい。現在、日本TV系木曜深夜に放送中。前評判ほど熱くならなかったが、レンタルで既刊観了。思い出しつつ、ざっくりとした感想など…。

●登場人物など

 インド人モヒンダー・スレシュは、遺伝子学者。同じく遺伝子学者だった父チャンドラは、アメリカで謎の死を遂げる。チャンドラの住んでいたアパートには、全米の地図があり、父は何かを探していたことが判る。モヒンダーは父の死の謎解明と研究を継ぐために、渡米する。チャンドラのしていた研究とは?

 日本、東京。ヒロはヒーローに憧れるサラリーマン。平凡でさえないヒロだが、ある日、自分に不思議な力があることに気づく。親友のアンドウも巻き込み、自分の使命を探すため、アメリカに向かう。ヒロは世界を救えるか?。

 クレア・ベネットは、チア・ガールに似合う女子高生。幼馴染みのザックと、秘密を共有していた。クレアには、信じられない能力があったが、そのことは家族にも気づかれていない。ある日、クレアは火災の中の人を助けるのだか…。

 不思議な能力があるのはヒロとクレアだけではなかった。ニューヨークに住む画家アイザック・メンデスは、未来を予知するビジョンを描き出す。その中には、ヒロやクレアの姿もあった。アイザックのビジョンは恐ろしい未来を描いていた。

 看護士のピーター・ペトレリは、内向的な青年。彼は、空を飛ぶ夢を見るようになる。優秀な兄ネイサンは下院議員に立候補しようとしていた。優秀な兄に比べられることが苦痛で、家を出て暮すピーターには心を寄せる女性シモーヌがいた。シモーヌは、アイザックの恋人だったが…。

 ニキ・サンダースは、ネット・ライブで稼ぐ主婦。夫D.Lが服役中で、一人息子のマイカと暮している。ニキには幼い頃死んだ姉ジェシカがいた。ある日、鏡に映る自分に違和感を感じ…。>>>つづきはDVDでどうぞ!!

*************************************

※多少、ネタバレ含みます。ご注意ください。

 ある日、未来の自分が訪ねてくる!?。本作は、手垢のついたお馴染みの題材を、個性的なキャラクターで面白くしていた。ワイドショーなどで話題になったマシ・オカは、今までにはいなかったユル・キャラだ。彼はマルガオ、メガネのニホンジン!?、ドラエもんのいないノビ太くん風でもある。

 他の登場人物も、顔色の悪い病弱風看護士、不死身で無謀な女子高生、悪役顔のジェットマン(?)、識字困難症(?)ポッチャリ系の警官、マザコンでメカオタクな悪役、などなど、けっしてカッコいいタイプではない。、題名『HEROES』どおり、彼等は、複数系-es。『スーパーマン』のような一人のヒーローが世界を救うのではなく、複数のヒーローがお互いを補っていく。

 シーズン1では、マフィアのボスで実業家リンダーマンの陰謀の一端は判明するが、その背後にある謎の組織のことは謎のままにしてある。

■■■

 “シーズン1”では、コミック作家で画家のアイザックの見た【ニューヨーク壊滅のビジョン(近未来予知)】が、ストーリーを牽引していく。ヒロやピーター、他の能力者たちが、自分の能力に気づき、悩む導入部から、未来のヒロからのメッセージをけっかけに出会っていく。

 また『ヒーローズ』では、孤独なヒーロー像ではなく、家族の関係が手厚く描かれる。『バッドマン』のように秘密基地があるわけでも、大金持ちでもない。インド人学者スレシュと父と姉、クレアと家族、ピーターと家族、ニキと家族などなど、それぞれに問題や、悩みがある。クレアは学校へ通い、ニキは生活費を稼がなければならない。

 『ヒーローズ』では、主要人物以外にも、多くの超能力者が登場する。憧れ(?)の超能力にいたっては、役に立たない危険なものも多く、「超能力者って、大変だな〜〜」と思わせる。

 この点では、先行する『4400』と似通っている。『4400』同様に、アフリカ系アメリカ人とヨーロッパ系アメリカ人のカップルが登場する。以前のドラマには、なかったことだ。登場人物の他民族化も『4400』も同様だ。それだけ「世界の中心はアメリカ(!)って、ことなのかな〜〜〜」と、思ったりする。ちなみに、ヒロのお父さん役の日系俳優さんが、同性結婚が法律で許可され、白人男性と結婚した。ホントに、アメリカは進んでいる!!。

■■■

 いつもの脱線だが、時々、検索キーワード“超能力者になる方法”を探すお客さんがいる。もし、私に1つだけ超能力あるなら、「空が飛べたらな〜」とか、「病気を治せたらな〜」とか、妄想する。妄想ついでに、空を飛んでいたら、猟銃で撃たれるかもしれないし、病気が治せたら、殺到する患者さんで大混乱になるかも…、???と、思わずネガティブ・シンキング〜!。考えると、けっこう疲れる(汗)。特別に優れた能力って何だろう?

 本作『ヒーローズ』のヒロの能力は、けっこう優れものだ(!)。ほかに、他人の超能力を吸収できるなんてのもあるが、自分以外に超能力者が居なければ、役に立たない(汗)。いろいろな超能力なんてものは、ドラえもんのポケットのようなもので、役に立っているようで、実際には実益のあるものは少ないものだ。“タイムマシン”、“どこでもドア”、で十分な気がする。と、思うと、やっぱりヒロの能力は捨てがたい(笑)。

■■■

 コミックの実写版って雰囲気で、楽しめるSF娯楽作!。若干、残酷な描写もあり、好みが別れるかもしれない。シーズン2のレンタルが待ち遠しい。※寝ぼけて書いたので、のちほど修正します。

ブログランキング・にほんブログ村へPlease on Click!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!

ヒーローズ/2

moondrop_aco at 04:47|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

June 16, 2008

楽園の崩壊と、新世界の侵略/『アポリカプト』4

アポリカプト/1





















●アポリカプト/Apocalypto●
●監督・脚本;メル・ギブソン
●出演; ルディ・ヤングブラッド
●DATA;アメリカ/言語マヤ語/2006/138分/R-15指定

 アメリカの公開日は2006年12月8日。ファミリー映画が多いクリスマス・シーズンにこんなハード(!)な作品を公開するメル・ギブソンも相当にタフだ。『キリング・フィールド』を凌ぐ衝撃性!、未見の人、とくに若い人や女性は、無理に見ない方が良いかもしれない。あらすじと感想など…。

●あらすじ

 西暦1517年頃、中南米の密林、仕掛けられた罠に獣がしとめられる。歓声を上げ獲物を解体する彼等は、密林に住む部族の若者たち。部族長の息子“ジャガー・パウ”は、新婚だがまだ子供に恵まれない幼馴染みの青年をからかい、喧嘩になる。そんな様子を皆で大笑いして囃す彼等は、平和だった。密林の奥から、負傷した他部族の青年たちが逃げてくる。彼等のただ事ではない様子に、不安を感じたジャガー・パウ。獲物を持ち、家族の待つ村に帰っていく。

 村では、妻や子供、父が待っていた。他の仲間の家族も、獲物の到着に大喜び、幸せな夜を迎える。しかし、侵略者の影が村を狙っていたのに、誰も気づくものはいなかった。夜明け前、皆寝静まったいた。突如、村は教われ、多くの村人は殺される。ジャガー・パウは臨月の妻を穴の底に隠し、皆を助けるために、闘いを挑む。しかし、武装した略奪者にかなう筈もなく、生け捕りにされる。生き残った村人、数十名余は、数珠つなぎにされ、川を渡り、山を越え、王都に向かう。途中、疫病で死に絶えた村があり、謎の少女が予言をした。それは…。>>>悪夢を見る覚悟のある人、つづきはDVDでどうぞ!

***************************
アポリカプト/2
 2008年5月、アマゾンで未文明の部族が発見され、話題になった。本作の主人公、森の継承者ジャガー・パウの子孫のように感じた。先進国が歯の良い白アリのように地球資源を食い尽くそうとしている21世紀。未発見の森の部族の存在は、不思議な暗示を感じる。

 本作は、ニュー・エイジ的な傾向を持つメル・ギブソン監督の『黙示録的世界観』を描いた作品。評論では、「マヤ文明を過って描いている」との批判も多い。さまざま混合し、中心は“一の葦、白い肌の神ケツァルコアトル神”の伝説を持つ、アステカ文明の最後を描いた作品だと思う。

■■■

 アステカ、マヤ両文明には、凄惨な生け贄の儀式があった。太陽神に活力を与えるために、儀式方法は違っても、乙女、捕虜や奴隷が、太陽への捧げものにされている。本作では、その凄惨な神事をグロテスクに再現。もう〜、とんでもなく残酷だ。マヤ文明や、アステカ文明の遺物展を観たことのある人は覚えているだろうか?顔の中に顔のある仮面を。

 何気なく観ていたのだが、あれは、神官が生け贄にした犠牲者の生革を剥ぎ、それを被って踊る様子を表現した仮面。ピラミッドの前の競技場では、首をボールにサッカーをしたり、負けたら、次ぎの生け贄だったり…。この500年前の国々は、なんだかとんでもなく悪魔的な側面を持っていた。

 西洋文化に侵略されることにより、悪しき生け贄の儀式は、王家の滅亡と一緒に絶えることになる。今は密林に埋もれた、壮麗なピラミッドや遺跡を呑気に見ることが出来ても、刻まれた歴史とは惨いものだ。やはり、密林と云う過酷な環境に住む故の、食料不足や、疫病の蔓延などが、こんな人口抑制筴を招いたのかもしれない。

■■■

 神と勘違いして招いたエルナン・コルテスが“生け贄禁止令”を出したのが1519年。それでさえ、新たな侵略者との戦闘の始まりでしかなく、中南米の悲劇はまだまだつづく。

 メキシコは、カソリック的には特別な霊地であるらしく、今は、現地風俗と混合したマリア信仰や、ミイラ墓など、不思議な宗教地盤を守っている。小動物の殺生さえ禁じた歴史を持つ日本のようなノウテンキな国とは、比べようもない過酷な歴史だ。

 そのマヤ文明が予告する、世界の終末。それが、あと数年後に迫っている。諸説あるが、2012年12月23日、マヤ歴の終わりになっている。マヤの考え方なら、我々は新しい太陽の誕生を待つしかない。

 現在の地球温暖化は、太陽活動の活発化も要因の1つであり、縄文時代の地球、恐竜時代の地球などに比べれば、まだまだ小氷河期の終わり程度の気温推移らしい。次ぎに生まれる太陽が、どんな気候をもたらすか?答えは、もうすぐ出る…。

■■■

 セリフはマヤ語、全編を覆う濃密な密林の空気と、凄惨な血の味。ある種の映画の頂点だと思う。危険!取り扱い注意!な問題作。

ブログランキング・にほんブログ村へ>Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!

アポリカプト/3




moondrop_aco at 05:38|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

June 11, 2008

怒れる神の鉄槌!!それは隕石〜!/『アポカリプス 地球最後の日』3

地球最後の日





●アポカリプス 地球最後の日●

●監督;ジャスティン・ジョーンズ
●脚本;デヴィッド・マイケル・ラット
●出演;レット・ガイルズ/
    ジル・ステイプリー/
    トム・ナゲル/
    クリステン・クイントラル
●DATA; アメリカ/2007年






 巨大隕石激突による人類滅亡もの。巨大隕石は、パニックものの大定番。ハリウッド映画制作者たちは、大作を始め『ディープ・インパクト』『アルマゲドン』『アステロイド 世界崩壊の日 巨大隕石激突』など、手を替え、品(?)を変え、隕石を地球に衝突させる。隕石映画は、科学的な現実味をベースにしているのに、本作だけは、奇妙に宗教的な設定になっている。で、『黙示録的世界』に分類。あらすじと感想は…。

●あらすじ

 キャンプ場で歓談する男女。一人が小用を足しに木陰に入る。空から火球が襲い、彼は消滅する。次ぎ次ぎと落下する火球、それは地球軌道を横切る隕石群の始まりだった。

 カリフォルニア州モントレー郊外、森林レンジャーのジェイソンは仲間とパトロール中に、奇妙な降灰に驚く。謎の物体がモントレー市街に墜落したことを知った二人は、町の様子が気になる。奇妙な現象は続き、帰宅途中の同僚は犬とともに消えてしまう。娘の安否が気になっているジェイソン、そこに元妻アシュリーが来る。二人は、一人息子の病死の悲しみから不仲になり離婚していた。妻は、ロサンゼルスに住む娘リンジーのもとに一緒に行くように、ジェイソンに懇願する。

 車に乗った途端、大きな火球が墜落。二人は只事ではない危険を感じていた。道路を急ぐジェイソンとアシュリー、不思議なことに、路上に乗り捨てられた車には、人影がない。次ぎ次ぎ起る異常気象、地割れ、竜巻が二人を襲う。信仰深いアシュリーは、何故か、神のみわざを感じていた。車を失った二人は…。>>>つづきはDVDでどうぞ!

*******************************

 仮定だが、太陽系の外縁には“オールトの雲”と呼ばれる天体群がある。惑星になりそこなった岩石や、メタンや水、2酸化炭素を含んだ氷などが、太陽の引力で捕らえられているのだ。その質量は大きく、太陽系最大の惑星“木星”ほどもあると云う。“オールトの雲”と繋がるように海王星の外側には“エッジワース・ベルト”があり、ここは短期周期彗星の故里と云われている。

 地球がまだ地球でなかった頃、原始太陽の周辺では微惑星が衝突を繰り返しながら、現在の惑星の質量まで育っていったと云う。これは神話的な説だが、4000年前、金星は木星から飛び出て、今の軌道に収まったと云うのだが、これは意外と本当っぽい。金星級とは云わないまでも、ほんの数キロの大きさの隕石が地球に落ちたら、現在の文明社会は壊滅してしまうだろう。衛星写真で見る地球映像には、月のクレーターのような衝突痕がいくつも見つかる。北米やユカタン半島の隕石落下痕は有名だ。

 2004年5/21日付の“NASA News”によると、

 NASAと米国立科学基金によって設立されたリサーチプロジェクトチームの発表によれば「2億5000万年前に生物の大量絶滅(海洋生物90%、陸上生物80%)の原因隕石は、オーストラリア北西沖の海底に落下したものと裏付ける証拠を発見」と報道した。この隕石の落下痕(クレーター)の直系は200kmになる。6500万年前、恐竜絶滅を引き起こした隕石は、メキシコ・ユカタン半島に落下したものと云われている。

 大絶滅を起こすような巨大隕石が、地球に落下する確率は100万年に1回とも、壊滅的な気象変動を起こす隕石落下は、2600万年の周期(5億7000万年に6度あった)とも、地質学や化石資料から推測されている(!)。

 長々と脱線したが、預言者たちによると、そろそろ落ちる(?)の周期が巡っているらしい。誤差は数万年〜1億年程度あるので、杞憂なことなのだが(笑)。

■■■

 本作『アポカリプス 地球最後の日』だが、黙示録による最終戦争を巨大隕石に置き換えた作品。物理的な死以外に、神のよる消滅が加わっている。カソリックなどのキリスト教墓が土葬がほとんどの理由の1つは、最後の審判の時、キリストが再臨し、すべての死者が蘇り、審判の席につくことに由来する。良き人は、蘇った肉体のまま、永遠の生命を受け、天の国の住人になる。タロットカードの“最後の審判”には、天使トランペッターと、墓から蘇る死者が描かれる。非科学的な宗教観だが、この幻想がハリウッド映画界には、ハズレのないネタらしい。

 最初は、火球の衝突でキャンパーが焼け死ぬまでは、普通のパニック映画と思っていた。ところが、離婚した元妻が現れてから、ロサンゼルスに移動する車での宗教っぽい会話がえんえんと続く。会話は婉曲だが、元妻は夫を責める。幼い息子が死んだのは、夫の信仰が足りないからだと。この妻に『ヨブ記』を読ませたい(笑)。 ロサンゼルスにいる娘は、部屋にボーイフレンドを招きベタベタ、ハウス・シェアしている女友達のひんしゅくを買っている。ところが故郷に隕石が落下したと聞くと、ボーイフレンドと教会に行き、「ワタシッテ、ジツハ」と、信者さんなのを告白。ボーイフレンドは、焦りまくる。


■■■

 結局、この映画は、SFだと思って見る一般人に、キリスト教を布教する下手なサブリミナル映画のようだ(汗)。

映画の宣伝用リードは

『巨大なアステロイドが地球に接近し、ロサンゼルスの高層ビルなどがつぎつぎと崩壊していく…。隕石群・竜巻地震・津波など、驚愕のVFXで魅せる大都市崩壊ディザスター・ムービー!』

 これを書いた宣伝マンに「ウッソダ〜イ!!」と云いたい。期待したわりに驚愕しないし、VFXもてんでショボイ。それに『地球最後の日』の日本語タイトルも、あれしきの隕石で地球は粉々にならないと思う(爆)。

■■■

 悪口&悪たれを書いたが、ポテチや煎餅を食べながら、気楽に見るとソコソコ楽しいB級映画。また、日本とは違う宗教風土を考えるには、貴重なテキストになると思う。

 健気なボーイフレンドに1票!!

ブログランキング・にほんブログ村へ>Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!

moondrop_aco at 05:29|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

May 31, 2008

グッド・トリップ!陶酔と幻惑を体験!!/『アズールとアスマール』5

アズールとアスマール/2















●アズールとアスマール●
●監督;ミッシェル・オスロ
●日本語版監修・翻訳・演出;高畑勲
●声の出演;シリル・ムラリ/カリム・ムリバ/ヒアム・アバス/
      パトリック・ティムジット/ファトマ=ベン・ケリル
●DATA;フランス/2006年/ 99 分

 以前、観て、心の中で反芻していた作品。三鷹のジブリ美術館で作品展も開かれた『アズールとアズマール』です。さきほど、頭痛で目が醒めて、夜明けに感想に書いている。書いていると、不思議と頭痛が治る(?)。美しい記憶は、病気を治すのかもしれない。もし、美しいものが好きな人が、この作品を未見なら、人生損をしているかもしれない。さて、簡単なあらすじなど…。

●あらすじ

 ヨーロッパのどこか。領主の息子アズールは母を亡くし、アラビア人の美しい乳母ジェナヌに育てられていた。ジェナヌの子アスマールは、アズールと同じ年。二人は、優しいジェナヌの子守唄を聴いて兄弟のように育つ。子守唄は“ジンの妖精”のことを歌っていた。遠いアラビアのどこかに、閉じ込められている美しい姫君…。アズールとアスマールは、大きくなったら“ジンの妖精”を救って自由にしよう!と、冒険を夢見るようになる。

 月日は経ち、アズールの父は、領主らしい教育を施そうとする。兄弟同様に育った二人なのに、乳母の子、アスマールは見ているだけ。父の命令で、寝室も一緒ではなくなった。なんでも一緒だったのに、身分で分けられるようになった二人。仲が良いのに、ケンカばかりするように。それを見た領主は、乳母とアスマールを追い出してしまう。アズールも町の教師の家に…。そして歳月は過ぎた。>>>つづきはDVDでそうぞ!!

**********************************

 美しいアニメーション作品を最初に見た記憶は、ソビエト連邦の作品『雪の女王』だった。女王の美しいシーンはいつも脳裏に潜んでいる。本作『アズールとアスマール』を、人生の最初に見ることのできる子供は、幸せだ。何故なら、思い出すことのできる美しい記憶の1つが、アズールとアスマールの冒険だから。

 と、ジブリの宣伝担当のように書き出してしまった(汗)。でも、本音なので、仕方ない。本作『アズールとアスマール』は、特別、胸踊るようなハラハラどきどきなストーリーはない。心に響く言葉やシーンは人それぞれ。本作の感動の有無は、作品とヒトとの縁のように思う。

 ジブリのキャッチ・コピーは
   “海の向こうは、不可思議の国だった。”

 『アズールとアズマール』は、響きの綺麗なフランス語とアラビア語で語られる。フランス語には字幕はつくが、アラビア語には字幕はない(DVDには字幕付きも収録されている)。アラビア語に字幕がないのが、本作品では重要な要素になっている。美しい絵と一緒に、音楽のようにアラビア語を聴くのは心地良く、遠く異国を旅しているようだ。



■■■

 本作は、スキャナーで取り込んだ精密な手描きや、写真などの画像データを駆使した背景が特徴的だ。その背景に、ノスタルジックなプロポーションをした3CGのキャラクターが動く。背景だが、どこまで拡大しても大丈夫で、細胞まで描いてあるような錯覚を起こす。それほど、植物や建物、市場の果物など、微細に、精密に描かれている。それに比べ、人物は意外とあっさり、切り絵のようにシンプルだ。人物の味わいは、萩尾望都さんの絵や、物惣冬美さんの絵のようで、少女漫画チックな可憐さがある。

 ヨーロッパのシーンでは、豊かな自然がナチュラルな色彩で、アラビアのシーンでは、ビビットで濃密な空間が描かれる。どのシーンも、あまりの美しさに目眩が起りそうになる。大きな画面で見たら、トリップしてしまうかも…。それほど幻惑的な映像美が追求されている。絵の勉強をしている人には、大きな刺激になると思う。

■■■

 ジブリのサイトで、本作の字幕翻訳も手掛けたプロデューサー高畑勲さんが、詳細な解説を書いている(http://www.ghibli-museum.jp/azur/critique/)。他、物語あらすじや多数画像もあるので、是非、ご訪問ください。

 アズールはドチだし、アスマールは頑固だ、子供っぽいやりとりも多いが、小さい子は自分のことのように感じるだろう。大人の観客には、なじめない展開もあるかもしれない。だから、どうした?的な、理屈、刺激や展開を、本作に求めると、思考の迷路に迷い込んでしまうかもしれない。豊かなお伽話の底には、真理が潜んでいる。本作にも、あなどれない強いメッセージ性が隠れていた。これを見た子供たちが、異文化、異言語に興味を持ち、美しいものを愛する心を宿してくれたら、監督の意図は大成功だろう。制作者として、こんなに幸せなことはない。

 綺麗なものが好きなすべての人と、すべての子供にお薦め!!
 全国の幼稚園、保育園、小学校で必見作品!!

ブログランキング・にほんブログ村へ>Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!

アズールとアスマール/1

moondrop_aco at 04:27|この記事のURLComments(2)TrackBack(0)

May 14, 2008

神経症にはやや辛い!?ウィーンの黄昏/『クリムト』4

クリムト/1





















●クリムト●
●監督;ラウル・ルイス
出演; ジョン・マルコヴィッチ/ヴェロニカ・フェレ/サフラン・バロウズ/
   ニコライ・キンスキー/スティーヴン・ディレイン
DATA;イギリス・フランス・オーストリア・ドイツ共同製作/
    2006年6月公開/97 分

 グスタフ・クリムトやエゴン・シーレの絵を知らない人は少ないと思う。そんなクリムトの晩年を描いた作品が本作『クリムト』だ。さて、どんな映画かと言うと…。

●あらすじ

 死の病に伏すクリムトの病床に、友人で画家のエゴン・シーレが見舞いに訪れる。身動き出来ないほど憔悴っしきって様子のクリムトの脳は、追い求めても捕まえることの出来なかった“運命の女=ファム・ファタール”との思い出を追体験していた。

 すでに人気作家になっていたクリムトのアトリエには、美しいモデルが見事な裸身を見せていた。彼女たちにお茶やお菓子などの準備もして気遣うクリムトはモデルとの肉体関係も欠かせないものになっていた。しかし、彼にはプラトニックな関係ながら、クリムトの最大の理解者である恋人ミディがいた。ミディは高級モード・サロン「カーサ・ピッコロ」を経営し、時代を先駆ける職業婦人だった。

 パリ万博、クリムトは大作を出品する。高い評価に得意のクリムト、パーティの席で、彼のニセモノが登場するフィルムを見せられる。また、アラビア風ダンスを踊る美女が映っていた。その晩、クリムトは、フィルムの仕掛人である貴族の館に招待される。そこには、あの美女が、東洋風のガウンで待ち受けていた。彼女は、クリムトをベッドに誘う。隣の部屋では、クリムトの様子を覗くこの館の主人がいた。

 貴族に肖像画の依頼されたクリムトだったが、一夜をともにした美女を忘れることが出来ないでした。私生活では、ミディとの不仲、精神病を病んだ家族との関係、自分の梅毒の進行…と、不幸の足音が大きく聞こえてくるのだった。現実と幻想が、日常の中で曖昧に解け合っていた。彼の肉体は…。>>>つづきはDVDでどうぞ!!

****************************

クリムト/2 クリムトの装飾的な画風は、現在、放映中のNHK大河ドラマ『篤姫』のタイトル・バッグに使われている。数年前、日本の装飾絵画を集めた国立美術館“淋派展”にも、クリムトの絵が展示されていた。装飾的な美人画が代表作だが、よく見るとドクロが描かれることも多い。“メメント・モリ=死を想え”、一般的に、綺麗に見えるクリムトの絵も、神経症傾向の強い時などに見るとアブナイ!アブナイ!エロスとタナトス、酩酊するような強い薫りが、心に突き刺さる。

 クリムトの絵は後年、ナチスによって没収、焼却されたものもある。それほど、ヒットラーの妬みを買ったのか?あるいは、不健全な精神が産んだ退廃美術の代表としてクリムトがスケープ・ゴートにされたのか…。おそらく両方なのだろうが、ヒットラーが国民的な優良絵画としたものは、退屈で面白みのないものがほとんど…。

■■■

 クリムトを演じるのは名優ジョン・マルコヴィッチ!!彼が主役を演じただけでも、本作は50%成功したと言える。では、残りの50%はと?言えば、若干微妙だ。

 この前に感想を書いた『フリーダ』では実際の作品が多用され、重要なシーンで印象的に使われていた。しかし、本作『クリムト』では、著作権の関係があるのか?実作品があまり画面に登場しない。また、世紀末ウィーンの緊迫した政治状況や、既成の芸術協会と対立し、ウィーン分離派を作ったクリムトの芸術家としての側面があまり描かれていない。観ようによっては女癖の悪い絵描きさん風に感じられてしまう。梅毒なのに、女性と肉体的に関わるには相当にリスキーな行動だ。それほど、この時代のヨーロッパでは、梅毒が蔓延していたのかも…、これも怖い!?

■■■

 19世紀末、それまでの社会が崩壊し、ダイナミックに時代は変容する。そのうねりの中に、クリムトは生き、死んで逝った。映画の中に登場する親友エゴン・シーレも、クリムトと同じ1918年に死んでいる。死因はエンフルエンザ。クリムトの死から8ヶ月後のことだ。

 倦怠と渾沌、腐臭を放ちだした貴族社会…。ボンヤリ、美しい裸身を観ていると、この映画の毒素に気づかないだろう。彫像のような裸身、女性のファッション、お洒落な調度の数々、美術好きの人は必見かも!?

ブログランキング・にほんブログ村へ>Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!

クリムト/3

moondrop_aco at 01:35|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

May 12, 2008

歴史の不幸!悪が誕生する日。/『アドルフの画集』4

アドルフの画集



















●アドルフの画集●
●英語原題;MAX
●監督・脚本;メノ・メイエス
●出演;ジョン・キューザック/ノア・テイラー/リーリー・ソビエスキー/
モリー・パーカー/ウルリク・トムセン /ダヴィッド・ホロヴィッチ
●DATA;2002年/ハンガリー・カナダ・イギリス/108分/

 芸術家を題材にしたDVD。アドルフとは、あのアドルフ.。そう、ヒットラーの若き日を描いた作品だ。奇妙な男の友情と、時代の大きな潮流の中で、生きるべきものと、死すべきものが、入れ代わったような、運命の皮肉!?さて、どんな作品かと言うと…。

●あらすじ

 1918年(水晶の夜事件の20年前/ミュンヘン一揆の5年前)のミュンヘン。第一次世界大戦で、ドイツは敗戦。領土の割譲、巨額の賠償金、人々は、貧困と不況の中で喘いでいた。軍宿舎の中に、画家を志す若者アドルフがいた。その宿舎では、民族主義の政治グループが人材を求めていた。それは、人々の憎しみの対象をユダヤ人に向けるものだった。その会話を聞いていたアドルフは、無関心に席を立った。

 マックスは、鉄工所の一角で画廊を始める。彼は、画家を志していたが、戦争で右腕を失っていた。廃屋のような大きな空間に、デュシャン、エルンストやクレーの抽象作品や、斬新な大作が飾られていた。画廊のパーティには、裕福な人々が集まり、シャンパンのグラスを重ねる。そこだけ戦争などなかったよう。マックスは裕福なユダヤ人の家庭の出身だった。

 マックスの画廊を、アドルフが訪ねる。彼のスケッチブックには、丁寧な風景画が描かれていた。マックスには、絵には魅力を感じなかったが、何か違う情念を感じていた。マックスは、その情念を画布に表現出来たら、「面白い作品が生まれるのでは」と直感し、アドルフに資金援助を申し出る。

 アドルフの中の、激しい炎を見つけた男が他にもいた。彼の弁説の才能に気づいた将校は、予定していた弁士の代理をアドルフに頼む。政治に興味のないアドルフは、「ユダヤ人の悪口を言え」と言う将校の指示に従ってしまう。絵を描きながら、演説活動をするアドルフ。最初はまばらな聴衆相手、酒場や路上で演説していたアドルフは、演説中に奇妙な高揚感を感じる。また、彼のユダヤ人排斥の過激な内容は人気を集めていく。彼の反ユダヤ的なアジテーションを知ったマックスは不安に駆られる。アドルフが絵の道に専念するように、アドバイスと資金援助を続ける。

 白い画布に色を塗るアドルフ。だが、画布の上には何も生まれなかった。彼は自分の理想とする国家、軍隊のイメージを描くことに没頭する。それはゲルマン神話と偉大なローマ帝国の融合した、彼の理想国家だった。マックスは、アドルフのスケッチを見て、新しい芸術を感じ興奮する。「彼の絵は新しい時代を感じる」、マックスはアドルフの個展の準備を始めるのだが…。>>>つづきはDVDでどうぞ!

*************************************

 本作『アドルフの画集』は、歴史に想を得ているが、完全なフィクションで、原題の『MAX』になっているマックス・ロスマンと言う人物は存在しない。歴史的にこの時期のヒットラーが、絵ハガキなどを描きながら、軍に在籍し、国内の政党活動の調査などをしていたようだ。調査中に、演壇の弁士をやり込めるアドルフの気迫と弁説を聴いたドイツ労働党の議長がアドルフを政治活動の活動家にした言われている。映画では、巧みに虚実を織りまぜて、画家を目指す青年が、“20世紀最大の獣”と言われる政治家の誕生を描いている。

ヒットラー
 貧しいドイツ人と裕福なユダヤ人、映画の中で、マックスの家は大きな吹き抜けの居間、沢山の書籍、綺麗な奥さん、可愛い子供、社交界etc.、と社会的に成功している富裕なユダヤ人家族を描いている。かたや、アドルフの部屋は、暖房も調度もない、小さい部屋であり、彼の青白い顔は栄養失調のように見える。実際のヒットラーの当時の宿舎は、瀟洒で清潔な場所だったらしい。この様に、本作は戦勝国サイドのイメージによって作られたドラマの部分が多い。

 だが、実際に、歴史は大きな不幸、ユダヤ民族の皆殺し計画に突き進んでいくのだから、現実の方がよほども不条理で怖いように思う。単純に貧困や劣等感が“悪の化身”を産むと言う図式は通用しないものだ。

■■■

 昔、仲良かった友達がネオ・ナチ(?)だった。ドイツ語の勉強しかしないで、大学を中退しちゃったり、ドイツ空軍のプラモデルを作ったりしていた。もし、彼がドイツの若者だったら、「絶対!逮捕されてるもんネ」と、内心思いながら、彼のヒットラー礼讃を聴いていた。普段、気弱で神経症的な友達だったけれど、ヒットラーの話をしている時は、心底幸せそうだった。ま〜、、、困った趣味だとは思うのだが、おかげでヒットラー関連の図書をたくさん、面白く読むことが出来た。

 長い前ふりだったが、何故?あの頃のドイツ国民が熱狂的にヒットラーを信奉したのか?残虐な行為さえ、正当化した理想とは「何だったのだろうか?」と考えてしまうことが多々あった。歴史の不幸、ユダヤ民族の不幸、この映画『アドルフの画集』の中に、答えの断片があるように感じた。

■■■

 第一次世界大戦当時の軍集合写真に若き日のヒットラーが写っている。痩せた若者が後年、世界を震撼させる独裁者になるとは、写真からは伺えない。アドルフを演じるノア・テイラーは、戦勝国がイメージするヒットラーを忠実に演じている。実際の彼は、175cmあったし、身近な女性、子供などには、実に温和な人柄を見せたと言われている。マックスは長身で裕福そうで、アドルフは不健康に見える。ノアさんは少し、悪人顔過ぎるのが、それが、ヒットラーのイメージなのだ。ヒットラーの肖像写真は、不信なものが複数あり、彼が影武者を複数使っていたのが窺わせる。左の肖像画は二枚目過ぎるが、これは影武者の一人の写真と似ている。戦後、ヒットラー生存説が囁かれたが、それも影武者伝説の1つだろう。

 ヒットラーの絵(下に参照)だが、時々海外のオークションに出品されることがある。ウィーンの美術大学受験を2回失敗したと言われるヒットラーだが、きっと、選考担当の教授と趣味が合わなかっただけだろう(?)。教授は彼に、建築家を薦めている。(※当時の建築家は皆、絵が達者)歴史に「もし?」はないが、もし、ヒットラーが美大受験に合格し、建築家になっていたら、歴史が変わっていただろうか…。時代は違う独裁者を産んでいただけかもしれない。

■■■

 本作『アドルフの画集』は歴史のエッセンスを、戦勝国的な解釈で、面白い物語に組み立てている。もし、ヒットラーがユダヤ人を排斥、弾圧せず、周囲の国を侵略しなければ、彼の先験的なヴィッジョンは正当な評価を得られたと思う。彼はもっとも不幸な芸術家の一人なのかもしれない。

 ラスト.シーンの俯瞰が美しくて、悲しい。

ブログランキング・にほんブログ村へ>Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!


ヒットラー絵画

moondrop_aco at 02:56|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)

May 08, 2008

ボーン・ヘッドのヒーローはお茶目!?/『ゴーストライダー』5

ゴースヨライダー/G




















●ゴーストライダー●
●監督・原案・脚本:マーク・スティーヴン・ジョンソン
●出演;ニコラス・ケイジ/ラクウェル・アレッシ//ピーター・フォンダ/サム・エリオット
●DATA;アメリカ/2007年/123分


 『スパイダーマン』や『バットマン』と同じく、ダークなイメージのアメコミ・ヒーローもの。評判は賛否両論!?私は意外なことに泣けました。大好きですネ〜!!コノ雰囲気!。さて、どんな映画かと云うと…。

●あらすじ

 物語は開拓時代の西部で始まる。邪悪な魂を1000体集める契約書を悪魔に渡すのを拒んだゴーストライダーは、契約書を持って逃げる。契約書の名は、“サン・ヴェンガンザの契約書”。この契約書は、地上を地獄に変える邪悪なパワーを宿していた…。

 大観衆の中、スポット・ライトを浴びて登場したのは、移動サーカスのスター、ブレイズ親子だった。二人が演じているのは、オートバイ・スタント。息を合わせて、炎の輪をくぐる二人の危険なワザに、会場は大興奮!だが、ジョニーの目は、大観衆の中にいる恋人のロクサーヌのことだけを見ていた。

 ふたりのいつもの待ち合わせは、草原の中の1本の木。そこでジョニーは、ロクサーヌが転居することを知らされる。別れが辛い二人は、明日正午、駆け落ちする約束をする。家に帰ったジョニーは、父の癌が全身に転移し、余命わずかなのを知る。その晩、悲嘆にくれるジョニーの前に、不思議な男が現れる。男の名は、メフィストフェレス、「父の病気を治してやる代償に、魂を貰おう」と契約書を差し出す。迷うジョニーは書類に仕込まれた針で怪我をする。その血の一滴が契約書にしたたる。「契約は成立した」と男は言った。

 夢だったのか?ベッドで目覚めたジョニーに、元気そうな父が、「病気は治った」と嬉しそうに言う。その日のステージで、父は事故死してしまう。待ち合わせの場所にはロクサーヌが待っていた。だが、ジョニーは父の夢だった究極のオートバイ・スタントを目指し、黙って走り去る。ジョニーは17歳だった。

 15年後、ジョニーは、全米のスターになっていた。今度のチャレンジはトラックを越える90mの飛翔。本番直前に、ケーブルTVのインタビュアーとして活躍するロクサーヌが取材に来る。ロクサーヌとの再会にジョニーは有頂天。着地に失敗するが、死ぬような事故でさえ、ジョニーは骨折もしなかった。ハイウェイを追い、彼女とデートの約束をするジョニー。その頃、メフィストの息子ブラックハートが地獄を抜け出し、仲間ヒドゥンを集めていた。彼等が、地上征服を狙っていることを、まだジョニーは知らなかった。>>>つづきはDVDでどうぞ!

**********************************

ゴーストライダー/P

 冒頭のナレーションが、すごく良い!。

“西部は伝説で出来ている。
 人は伝説によって、偉大なもの、
 信じられないものが、
 地上にあることを知る。”

 この部分だけで、ズズズズッンと、物語世界に入れたら。本作は最高に楽しめる。くれぐれ、見逃してはいけない。

■■■

 昨年春、『ゴーストライダー』の宣伝のため、ニコラス・ケイジが来日した。TV向けの会見のゲストはライダースーツ姿のモト・冬樹さん。日本のそっくりさんと言うことらしい。モトさんは、育ちの良いところや、少しだけ(?)顔だちも似ているように思っていた。でも〜と云うか、やっぱりと云うか、ニコラスは困った様子だった。宣伝部は、人が悪い(汗)。

 本作の主演、ニコラス・ケイジは、どんなセルフ・イメージを持っているのか?モチロン、クールなナイスガイ。実はお坊っちゃんってキャラ?本作は、きっと彼のセルフ・イメージにピッタリの役柄だったに違いない。コミック好きで知られている彼は、上機嫌に、楽しく、変身ヒーローを演じている。

■■■

 ニコラス・ケイジ演じるジョニーは、すんごく変なヤツだ。女の子にストイックだし、オサルが大好き、お酒が飲めなくて、チェリービーンズをグラスに入れて食べている。読書家で、ライダーなのに、オタクっぽい(笑)。なんでも、アイデアはニコラス本人らしい。このキャラを、生真面目なニコラスが演じると、奇妙にはまる。オタクの似合うジョニー・ディップがやっても良かったと思うけれど、これは無理っぽい(汗)。もっと、ダークな映画になったかもしれない。変身後のボーンヘッドは、小さい頭、広い肩幅、長身、CGも自然で、なんとも愛らしい。こんな可愛いドクロキャラは始めてだ(笑)。

 他、悪魔学的な小技、こだわりが細部に見え、クスリっとするシーンも多い。悪魔メフイストフェレスは様々な文学作品に登場する悪魔界の人気キャラ。この人気者を名作“イージー・ライダー”のピーター・フォークが演じている。メフィストフェレスは、悪魔の中では紳士的で、博士と尊称されることもある。世界の終わりには、「神に許されることを望んでいる」とも言われている。彼が二度目に登場する場所は、大きな十字路。このシーンも脚本家のセンスを感じる。連続TVドラマ“スーパー・ナチュラル”を見た人は覚えていると思うが、十字路の真ん中は悪魔に会える場所だ。

■■■

 “ゴーストライダー”は見た目は怖いが、その働きはほとんど正義の味方。悪人を滅ぼす“贖罪の目=ペナンス・ステア”と言うスゴイ技を持つ。他、自分で作った炎をボールのように投げたり、灼熱の鎖を武器にしたり、どれも少しだけユーモラスだ。

 ラストシーン近く、邪悪な魂の眠る村、サン・ヴェンガンザに、二人のゴーストライダーが向かう。砂漠の中、疾走する、ヘル・ホースとヘル・バイク、そこにテーマBGM…、不覚にも胸に熱いものがこみ上げてきた。あ〜〜〜、、、がががが、、、ナンダガステキ!!。スッカリ、ニコラスの術中にはまってしまった。

 良い意味でB級の王道!予算潤沢に作った絵づくりは、心から楽しめます。
 悪役が弱いのも御愛嬌!


ブログランキング・にほんブログ村へ>Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!


moondrop_aco at 04:10|この記事のURLComments(0)TrackBack(1)

May 07, 2008

捜査の鉄則もホウレンソウ!?/『ウィッカーマン』4

ウィッカーマン/2


●ウィッカーマン●
●監督・脚本;ニール・ラビュート
●出演;ニコラス・ケイジ/エレン・バースティン/ケイト・ビーハン
●DATA;アメリカ/2006年/102分


 孤島もの映画。ニコラス・ケイジ主演作は、なんとなくハズレ感がある(笑)。神経質そうだし、マッチョでもないし、カッコイイかどうかも????。ハズレ感が、なんともハマッて、今回もレンタル。なんだか、リメイクなんだそうで、、、。

●あらすじ

 カリフォルニア州の警官エドワード・メイラスは、オートバイでパトロールをしていた。荒野の直線道路、走行中の自動車から少女が人形を落とす。乗用車を路肩に停車させ、「走行中に物を投げるのは危険行為だ」と人形を渡すメイラス。少女はまた人形を投げてしまう。人形を拾うため、車を離れたメイラスの目の前で、暴走する大型トレーラーが乗用車に激突。なんとか少女を助けようとするが、乗用車は爆発してしまう。怪我をしたメイラスは病院のベッドで、乗用車には遺体がなかったこと、乗用車登録もない不明車両だったことを知る。救助できなかった少女への罪悪感からか、メイラスは、少女の幻影を見るようになる。

 怪我も癒え、職場復帰直前のメイラスのもとに、突然失踪した婚約者ウィローから消印のない手紙が届く。それは、「娘が行方不明なので、助けてほしい」の内容にだった。同僚の忠告も聞かず、メイラスは、ウィローの住む島サマーアイルに向かう。その島は、ワシントン州(カナダ国境近く)にあり、島民は外界と断絶したコミューンを営んでいた。生活用品を届ける水上飛行機に同乗し、島に上陸したメイラス。案内された宿泊所のレストランでは、女性だけがくつろいでいる。活気のある女性、無口な男性…、まだ、メイラスはこの島の真実を知らなかった。

 8年ぶりに再開したウィローは魅力的だった。彼女から、行方不明の娘はメイラスとの間に出来た子供だ」と、衝撃の事実を告げられる。少女の幻影が、メイラスの行く手に現れては消える。少女しかいない学校、そこでの行われていた授業は驚くべきものだった。メイラスの必死の捜査は…。>>>つづきはDVDでどうぞ!

************************************

ウィッカーマン/1

 ニコラス・ケイジモノ(こんなジャンルあり?)の中では、なかなか面白い1本。原作を知らなかったので、最後まで楽しめた。原作は、1973年製作、クリストファー・リー企画で主役(警官ではなく島の領主役)の『ウィッカーマン』。フォークソングを多用したミュージカル風カルト映画として名作映画とのこと。(以下、多少、ネタばれが含まれますので、ご注意ください。)

 ウィッキペディアで原作『ウィッカーマン』を調べたら、詳細なあらすじが記載されていた。このあらすじがてんで(てんで(方言=とてもの意)面白い。題名の“The Wicker Man”は、柳の枝や植物の蔓で編んだ人型の籠(カゴ)のこと。“a wicker chair”だと、籐椅子のことになる。きっと、英語圏の人なら、題名だけである程度内容が判別できるのかも知れない。キリスト教以前の多神教の祭に使われる人形で、祭の時に生け贄とともに燃やされる祭儀道具らしい。字幕で、『水の巨人』と記述されていたが、意訳が過ぎる感がある。

 私は最初、『ウィッカ=Wicca(古代女神崇拝)』と勘違いしていたのだが、同じ勘違いを監督兼脚本のニール・ラビュートもしたように思った。『Wicca』と『ドルイド』を混同しているのか?故意に歪曲したのか?島を支配する宗教は、奇妙で悪魔的だ。「この魔女ども!」と云う台詞もあって、『Wicca』、『ドルイド』を信奉する人々が、もし本作を見たら、抗議行動を起こしてしまうかもしれない。とにかく、「ナンダカナ〜〜〜」なカルト集団なのだ(汗)。

■■■

 原作の島は、スコットランド北方、ヘブリディーズ諸島(500余島がある)の中の架空の島“サマーアイル”となっている。このスコットランドと云うロケーションが良い。初夏に行ったことがあるが、荒涼としていて、農作物の取れにくい霊気の漂うような場所。古代宗教の舞台なら、なんてたってスコットランド!!でしょう〜!!(スコットランド大好きデス)。本作では、舞台をアメリカに移しているので、島もワシントン州だ。たしかに北だけど、スコットランドとは印象が違いすぎる。

 原作あらすじを細部を比較すると、原作が実に良く出来た映画。こんな名作のリメイクはなかなか大変だ。原作以上に面白くないと、外野から云われたい放題になってしまう。案の定、ニコラス版『ウィッカーマン』は、アメリカの最低映画を選ぶ『ラジー賞』5部門にノミネートされたそうだ。オキノドクニ…。

■■■

 最低映画ノミネートはさておき、ニコラス・ケイジが大熱演している。寒そうな海に飛び込み、天井の床が抜け、水没した教会の地下墓地に閉じ込められ、自転車で転がり、蜜蜂に襲われたり、髪が乱れるのもお構いなし!!!孤島観光など「一人で行くものではない」と、つくづく思う(笑)。

 難点と云うか、監督さんの家庭的(恐妻家?)なトラウマなのか?随所に女性蔑視的な台詞がある。島は男尊女卑の逆で、ほとんど女性ってことになっている。信仰もドルイド教ではなく、女神サマーアイルが女王蜂で、島全体が蜂のコロニーのような設定だ。古代宗教で男性蔑視ってのは、ちょっと変!?それにね〜、捜査は一人はムリムリでしょ〜!!携帯電話だって、通信可能エリアを確認しなくちゃね〜!!衛星電話を携帯しなくちゃね〜。。。

 つっこみ満載!楽しい娯楽作!?クリストファー・リー版の『ウィッカーマン』も観てみたい。

ブログランキング・にほんブログ村へPlease on Click!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!


moondrop_aco at 03:57|この記事のURLComments(0)TrackBack(1)

April 12, 2008

寂しい〜!孤独と犬の物語(?)/『アイ・アム・レジェンド』4

伝説/2















●アイ・アム・レジェンド●
●原作;リチャード・マシスン
●監督: フランシス・ローレンス
●出演: ウィル・スミス,/アリーシー・ブラガ
●DATA;2007年作品 アメリカ 100分

 本当の“孤軍奮闘”な映画。

●あらすじ
 ニューヨーク、マンハッタン島。ネビルは愛犬サムと一緒に車を走らせていた。鹿を狩るためだ。荒廃した街並、置き去りにされた乗用車、人の姿はなく、街は静寂に包まれていた。鹿を追っていたネビルの前に、ライオンが現れる。狩りを断念したネビルはいつもの日課で日没まで過ごすことにする。ゴルフ、畑仕事、食料品探し、CDショップでのレンタル…。日のある間だけが、ネビルとサムの時間だった。

 ほんの3年前、サムは妻と可愛い娘と3人家族だった。子犬のサムも家族の仲間入りし、家族は幸せだった。そんな日々の中、ニュースで「遺伝子組み換えのはしかウィルスでガンが治癒できた」と医師が話していた。それは、夢の万能薬の発明のはずだった。ところが…。>>>つづきはDVDでどうぞ!

****************************

伝説/1

 冒頭、荒廃したマンハッタン島の風景に圧倒される。何故、ネビルとサムだけが生き残ることが出来たのか?他の生存者はいないのか?説明不足な描写が続く。現在と過去が錯綜しながら物語が進行する。彼の身分、家族のこと、なんとなく判る。ディテールをもっと知りたいと思う。

 この作品は、6時間ぐらいで、じっくり時系列に沿って描かれた方が、ずっと面白い作品ではなかったのか?後半になるほど、そんな気分にさせされる。後半部分は短時間で刺激的な描写の畳み掛けるように続いていく。前半の説明不足が功を奏し(?)、闇の中に棲む生物が何か判らないまま、恐怖感がどんどん増して行く。犬が可愛いので、犬の何か危険が迫っていると思うだけで、ハラハラドキドキ!!!犬バカの私は途中、号泣…、愛犬サムの名前は本当はサマンサだと判明するシーンは本当に泣ける。

 荒れた都市、闇に潜む人間を襲う動物、これは一昨年の映画『サウンド・オブ・サンダー』にもあった。本作と共通しているのは、科学の暴走。『サウンド・オブ・サンダー』では、荒唐無稽なタイムマシンによるバタフライ・エフェクトを描いたものだったが、本作は先端医療の失敗と云う、現実味のある悲劇が描かれている。医療は常に人類の幸せのために研究進歩してきた。その究極が不老不死だとしたら、経済社会は一旦破綻するしかないだろう。あるいは、極端な身分制度、長命種の高位人類は、短命種の階人類に二分類された世界が今後、出来上がってくるかもしれない。本作はそんな仮定の中で、起きるかもしれない、あるかもしれない未来を描いている。

■■■

 北海道などで回収された白鳥の死骸から毒性の高い鳥インフルエンザ・ウィルスが確認された。政府は、警察や行政などの政府関係者、医療従事者に先行してワクチンを投与する計画を発表した。もし、鳥インフルエンザが人間にも広く感染するようになった時、人口の何%が犠牲になるのか?政府は、最悪のシナリオを想定している。空気感染による大量死!!!、本作の世界は、あながちSFとばかり云っていられない。

 そう云った怖さを半減させ、フィックションの世界に引き戻す存在が“闇の住人=ナイト・シーカー”だ。紫外線に弱く、日光の中では暮らせない彼等はバンパイアの変種らしい。この設定が突飛で、リアルな前半部分と遊離した感もあり、物語の終わり近く旅の女性と子供が登場するのも唐突だった。劇場版エンディングを観ただけなので、ネット公開されたエンディング収録されたDVDをレンタルして、そちらのラストも観て観たい。物語としては別バージョンの方が、辻褄が合っているとのこと。※観てから、加筆します。

■■■

 
 ウィルスによる人類絶滅を描いた作品。日本では、小松左京原作『復活の日』が類似作品として先行している。本作は、長い物語を100分に押し込んだ感があり、言葉足らずな部分もあるが、たった一人の孤独な夜を犬と一緒に眠るシーンは心に残る。

 個人的には名作コミック平野仁さん作『少年の町ゼフ』を思い出してしまった。少人数の生き残り、希望のない戦い、人類治癒の可能性を持つ異星人の少女etc。リチャード・マシスンさんの原作を日本のアニメ界の才能が叙情性とか加えてアニメ化してくれたら、すご〜〜〜く面白いものになりそうな作品だった。

 特典映像でコミック版数編が付いている。そこそこ楽しい。

ブログランキング・にほんブログ村へ>Please on Click!!
◆ブログランキング参加中。乞う!クリック!

moondrop_aco at 00:31|この記事のURLComments(0)TrackBack(0)